マーケティングの種類:40手法の定義と特長を一挙解説
新しいテクノロジーとクリエイティブ思考の進歩によって、マーケティングは急速に発展しており、企業が利用できるマーケティング手法も年々増えています。ホームページを作成する、SNS でフォロワーを増やすといったこと以外にも、製品やサービスを宣伝する方法は数え切れないほどあります。
そこで、本記事ではさまざまなマーケティングの種類を紹介します。一般的に知られている 40 種類のプロモーション戦略に加え、これらを使用してビジネスをどう成長させられるかといった活用のコツをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
記事を読み進める中で優先したいものを選び、既存のマーケティング戦略に新たな手法をうまく統合できるよう計画を立てましょう。
マーケティング手法の一覧40種類
01. デジタルマーケティング
デジタルマーケティングとは、ある特定の戦略を指すのではなく、デジタル技術を活用したマーケティングを包括する言葉です。デジタルマーケティングの歴史はスマホやインターネットと同じくらい古いものですが、今日ではほぼすべての企業やマーケターが、少なくとも一つのデジタルマーケティング戦術を用いて、顧客を惹きつけるための新しくユニークな手法を実践しています。
実際、この記事で取り上げるマーケティング手法のほとんどがデジタルで行われています。代表的なものは以下の通りです。
コンテンツマーケティング
SNS マーケティング
検索エンジンマーケティング
モバイルマーケティング
メールマーケティング
オンライン広告
02. アウトバウンドマーケティング
アウトバウンドマーケティングとは、自然な集客を待つのではなく、顧客に積極的にアプローチする(アウトバウンド = 外向き)タイプのマーケティングです。デジタルマーケティングが一般化する以前は、主にコールドコールや印刷広告、テレビ CM などを使ったアウトバウンドマーケティングによる集客が盛んに行われていました。
アウトバウンドマーケティングは、現在でも人気のデジタルマーケティング手法の一つです。たとえば、膨大な数の購読者リストにメールを一斉送信するメールキャンペーンなどがこれに当てはまります。
アウトバウンドマーケティングは、製品やサービスに興味のない人たちにもメッセージを配信するため、批判にさらされることもあります。このタイプの手法を用いる場合は、自社の目標、ターゲットオーディエンス、KPI を慎重に検討し、戦略的に活用することが大切です。
03. インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングは、ほぼすべてのマーケティングタイプを包含する包括的な用語です。何が「インバウンド(内向き)」かは、具体的な施策というよりも、全体のマーケティングで使用されるテクニックによって決まります。
インバウンドマーケターの仕事は、消費者が十分な情報を得た上で意思決定できるようサポートすることです。顧客を一方的に追いかけるのではなく、役立つリソースやヒントを提供し、最終的になぜ自社の製品が顧客の問題を解決するのかを示します。
たとえば、ブログを開設して有益な情報を発信したり、メールやライブチャットで質問に対応したり、商品を販売した後もサポートを提供し続けたりといった一連のアクティビティがこれに当てはまります。
インバウンドマーケティングは、上述のアウトバウンドマーケティングとはまったく異なる戦略を採用しています。ここ数年、消費者を満足させ、顧客の生涯価値とロイヤリティを高めるためのアプローチとして、現代のマーケティング担当者の間ではインバウンドマーケティングの人気が高まっています。
04. コンテンツマーケティング
インバウンドマーケティングの中で特に重要なのが、コンテンツマーケティングです。インターネットを閲覧していると、企業のブログが増えていることに気付くかもしれません。実際、Google の検索結果には、企業が運営するブログ記事がたくさん表示されます。
しかし、なぜ多くの企業が自社のビジネスのためにブログを作成するのでしょう?また、ブログはマーケティングとどのような関係があるのでしょうか?
ブログは、最も効果的なマーケティング戦略の一つであるコンテンツマーケティングに欠かせない存在です。コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングの中でも最も重要だとされており、企業としてマーケティングを行うなら決して見逃せないものです。
コンテンツマーケティングは、文字通りコンテンツを作成し、配信することで、自社の製品やサービスを宣伝するものです。ブログ記事だけでなく、SNS への投稿、電子書籍の執筆、豊富なデータを含むインフォグラフィックの作成、ビデオコンテンツの作成、さらにはポッドキャストなど、作成できるコンテンツの種類はさまざまです。
どのコンテンツを選ぶにせよ、目標はターゲットオーディエンスに価値ある情報を提供してエンゲージメントを高めることです。製品やサービスに関する専門知識を生かして顧客に有益なサポートを提供し、最終的に製品やサービスへの関心を喚起することを目指します。
05. SNS マーケティング
SNS マーケティングの立ち位置は専門家により意見が分かれており、「コンテンツマーケティングの一分野である」という人もいれば「独自の領域」とみなされることもあります。
どのカテゴリーに分類するにしても、SNS マーケティングはマーケティングの中でも最も重要な手法の一つです。 SNS マーケティングの潜在価値は非常に高く、Facebook、Instagram、Twitter、Pinterest、LinkedIn、YouTube などの SNS プラットフォームを通じたブランドの宣伝が一般的です。実際、インスタグラムによる調査では、買い物客の 70% は、Instagram を見て次に買うものを探しています。
多くの企業は、SNS マーケティング戦略の一環として、これらの異なるプラットフォームを組み合わせて使用しています。どのプラットフォームを選ぶかは、ターゲットオーディエンスが最もアクティブに使用している SNS の種類や、企業としてどのようにビジネスを表現したいかによって大きく異なります。たとえば、飲食店であれば、ビジュアル重視の Instagram が特に効果的です。おいしそうな料理の写真や動画の投稿は、レストランにとって非常に効果的なマーケティング手法であるためです。
06. 検索エンジンマーケティング(SEM)
検索エンジンマーケティングは SEM とも呼ばれ、Google やその他の検索エンジンを主に使用するすべてのマーケティング施策を含みます。SEM の目的は、検索エンジンの検索結果ページ(SERP)に企業のページを表示させることです。ユーザーが何かを検索したときに、ランディングページやブログ記事といった会社サイトのページが検索結果に表示されれば、ユーザーに自社商品やサービスを知ってもらえる可能性が高まります。そこから、検索結果をクリックしてサイトを訪問してもらうのが理想の流れです。
検索エンジンマーケティングは、検索エンジン最適化(SEO)とクリック課金型広告(PPC)の 2 種類に大別されます。この二つの主な違いは、SEO はオーガニック(課金なし)であるのに対し、PPC は広告がクリックされるたびに料金が発生するという点です。
SEO 対策を始めるにはまず、Web サイトを検索エンジンで上位表示させるためのさまざまな要素について学ぶ必要があります。サイトの構造やページの表示速度といった技術的な対策と、ユーザーが検索しやすいキーワードをサイトに含めるコンテンツ最適化が一般的です。コンテンツマーケティングと SEO は深く関連しており、パフォーマンスの高いキーワードを豊富に含むブログやサイトのコンテンツほど SERP で上位に表示される可能性が高くなります。
PPC は SEO 施策と並行して実装できます。PPC 広告とは、検索結果ページの上部に表示される有料コンテンツのことです。Google で有料広告を出すなら Google 広告を試してみてください。Google 広告は PPC のマーケティング担当者に最も人気のある、信頼性の高いオプションの一つです。
07. オーガニックマーケティング
「オーガニック」という言葉は SEO 対策でもよく使われますが、お金をかけない自然(オーガニック)な集客を指します。このタイプのマーケティングは、コンテンツマーケティングや SNS マーケティングと合わせて、「オーガニックマーケティング」という強力な手法として知られています。
オーガニックマーケティングとは、ユーザーを自然にビジネスに惹きつけることを目的とした、有料広告を使用しないすべてのマーケティングを指します。有料のリンクや投稿のブーストなどの人為的なプロモーションとは異なり、マーケティングのベストプラクティスを踏襲して、検索エンジンや SNS プラットフォーム上で投稿を目立たせることを目指します。
この手法は、インバウンドマーケティングの基本である「魅力的な SNS コンテンツを作成し、SEO に強いコピーを作成してビジネスをより露出させ、顧客をブランドに惹きつける」という原則に基づいています。
一般的に、オーガニックマーケティングは見込み客を醸成し、時間をかけてビジネスに興味を持ってもらうことに重点を置いているため、広告よりも押し付けがましくないのが特徴です。
08. 広告
次に、広告についても少し紹介しておきます。広告とは既知の通り、広告キャンペーンを利用してブランド、製品、サービス、アイデアを世の中に広めるマーケティングの一分野です。
先ほども触れた PPC 広告や SNS 広告などオンラインで出稿するものから、テレビ、ラジオ、看板広告、QR コードなどの伝統的な手法まで、さまざまな種類があります。
SNS マーケティングと同じく、適切な広告プラットフォームを選択するには、ターゲットオーディエンスの属性や興味、メッセージの見せ方などを考慮する必要があります。たとえば、Instagram 広告は若いユーザーにリーチする傾向がありますが、Instagram の使用率が比較的低い高齢のオーディエンスにはほとんど広告を届けられません。
Facebook 広告 by Wix では、サイトのダッシュボードから直接 AI 主導のキャンペーンを実行し、コンバージョンする可能性が最も高いオーディエンスにリーチできます。
09. 動画マーケティング
これまで見てきたように、マーケティングコンテンツには、ブログ記事、SNS 投稿、ポッドキャストなどさまざまな形式が含まれます。動画もまた、コンテンツマーケティングで人気のフォーマットの一つです。
楽しく魅力的な動画をマーケティングで使用すると、ブランドをクリエイティブに表現してユーザーに視覚的にアピールできます。また、文字では伝わりにくいメッセージも、動画ならわかりやすく表現できるというメリットもあります。
動画マーケティングは、製品のプロモーションだけでなく、業界に関する実用的なヒントやインサイトの潜在顧客への提供のためにも使用できます。動画はビジネスに対する信頼とエンゲージメントを高める見やすいブログ記事だと考えてみましょう。
動画はホームページだけでなく、YouTube、Facebook、Instagram などさまざまな場所で活用できます。美しい動画を無料ですぐに作成できる Wix ビデオメーカーもぜひ試してください。
10. インフルエンサーマーケティング
Statista の調査(英語)によると、世界のインフルエンサーマーケティングの市場規模は 2019 年から 2 倍以上に拡大しました。国内でもインフルエンサーマーケティング向け需要は2023年に741億円、前年比120%と高い成長が見込まれています。(サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ)
インフルエンサーマーケティングでは、Instagram やその他の SNS プラットフォームを利用して、インフルエンサー(SNS で相応の数のフォロワー数を持ち、情報発信の影響力が大きい人たち)と提携します。インフルエンサーはそれぞれ得意分野を持っており、フォロワーは彼らがおすすめする製品やサービスに反応します。つまり、インフルエンサーがあなたの製品を推薦すれば、フォロワーは信頼できる情報として受け取ってくれるのです。その結果、ブランドをより多くのユーザーに宣伝し、新規顧客を獲得できる可能性が高まります。
一般的に、インフルエンサーの多くはスポンサー付きコンテンツで収入を得ているため、ブランドを宣伝する対価として報酬の支払いが必要となる場合もあります。たとえば、SNS 投稿 1 件に対していくら、という形で料金が設定されます。
非常に人気のあるインフルエンサー(フォロワー数 10 万人以上)は需要が高く、マイクロインフルエンサー(フォロワー数 1 万〜10 万人)やナノインフルエンサー(フォロワー数 100〜1 万人)よりも料金が高くなる可能性があります。特に SNS で活動を始めたばかりのナノインフルエンサーなどは、報酬の代わりに製品やプロモキットの無料提供で投稿を依頼できる場合もあります。どのインフルエンサーがブランドの市場や予算に合っているかをしっかりリサーチした上で依頼しましょう。
11. アフィリエイトマーケティング
インフルエンサーに有料で投稿してもらうだけでなく、アフィリエイトコンテンツをシェアしてもらうという方法もあります。これはアフィリエイトマーケティングと呼ばれます。
アフィリエイトマーケティングは、企業とアフィリエイターの 2 者間で成り立つビジネスモデルです。アフィリエイターは自分のファンに企業の製品を宣伝し、その対価として売り上げの一部(通常は売り上げの〇〇%)を獲得します。
まず、企業はアフィリエイターに直接連絡するか、アフィリエイトネットワークを利用してアフィリエイターを探します。アフィリエイターと条件面で合意したら、ネットショップへの専用リンク(アフィリエイトリンク)を提供します。
その後、アフィリエイターはブログの記事や Instagram ストーリー、YouTube の動画などに専用リンクを記載して商品を宣伝します。顧客がそのリンクをクリックして商品を購入すると、アフィリエイターにその分の手数料が支払われます。
アフィリエイトマーケティングは、ビジネスをより広く周知したい場合に最適です。SNS やブログで多くの読者を獲得しているアフィリエイターと提携することで、新しい顧客を獲得できます。
12. アウトリーチマーケティング
アフィリエイトマーケティングとインフルエンサーマーケティングの共通点は何でしょうか?それは、自社の製品やサービスを宣伝するために「社外の人と提携」していることです。
これはアウトリーチマーケティングの基本原則です。たとえば、効果的なアウトリーチ戦略としては、ブランドを宣伝して消費者に影響を与えられる人たち(SNS で活動するインフルエンサー、ブロガー、ジャーナリスト、その他の企業など)にメールを送信して関係を構築することなどが挙げられます。
これらの人々と繋がることで、有名なサイトや SNS チャンネルであなたのブランドに言及してもらえるようになります。これによって、ニッチにおけるブランドの権威が強化されるとともに、ブランドの認知度が高まり、露出が増えます。また、影響力があり、かつ将来的にビジネスに利益をもたらすかもしれない人たちと新たなネットワークを構築する良い機会にもなります。
また、多くの企業がバックリンク(外部サイトから自社サイトへのリンク)を構築するためにアウトリーチマーケティングを利用しています。信頼できる権威あるソースからのバックリンクを多く持つことは、SEO 対策としても有効で、最終的に自社サイトに多くのトラフィックをもたらすことができます。とはいえ、万が一不正行為などがあれば検索エンジンによってペナルティが課される可能性もあるため、リンクするサイトに関してはあらかじめ入念に調査しておきましょう。
13. メールマーケティング
中小企業のマーケティング担当者の多くが主要な顧客獲得チャネルとしてや顧客維持のためにメールを利用しています。
メールマーケティングは、見込み客や顧客にメールを送信して売り上げを増加すること、またはマーケティングファネルのさらに下流に誘導することを目的としています。メールだと顧客に直接アプローチできるため、高いリターンを得られる可能性が高まります。
目的に応じて、情報発信目的のニュースレター、新製品リリース、セール告知、ショッピングカートに入った商品のリマインダーなど、あらゆる種類のメールを送信できます。ただし、法的なコンプライアンスを維持するために、メール送信先の人があなたのブランドからのメール受信を許可していることを必ず確認してください。
メールの購読者を獲得するには、ホームページにリード獲得用のフォームを追加し、訪問者が名前とメールアドレスを入力する欄を設けましょう。目を引くデザインを採用し、メーリングリストへの参加を促すような魅力的なコピーを添えると効果的です。Wix では、テンプレートから簡単な操作で本格的なメルマガの配信可能です。予約送信やデータ解析で効果的なマーケティングを実行しましょう。
14. ゲリラマーケティング
上述したように、本記事で取り上げているプロモーション手法のほとんどは、デジタルマーケティングに分類されます。しかし、このゲリラマーケティングは、現代のマーケティングでは珍しく、オフラインで展開するマーケティング手法です。
ゲリラマーケティングは、斬新で型破りな手法を使って売り上げを伸ばし、ブランドの認知度を高めることを目的としています。SNS やモバイル機器などのテクノロジーを使用することもありますが、一般的には人通りの多い場所に少人数のグループを配置し、大胆な手法でブランドを宣伝します。たとえば、ストリートアートの形で公共スペースでのブランディングを行うことから、物理的な場所でポップアップを開催して没入型の体験を作り出すことまで、さまざまなアイデアを実践できます。
ゲリラマーケティングは低予算で実現できますが、物理的に人を巻き込むためのエネルギーと、綿密に計画を立てて迅速に実行するだけの準備が必要です。楽しく独創的な方法で商品やサービスを宣伝しで、ブランドの認知度を効果的に高められます。こちらのゲリラマーケティングの事例にも目を通してみてください。
15. 口コミマーケティング
「顧客にハッピーになってもらえれば、その感動は自然と広まる(=その人が周りにおすすめしてくれる)」という話を聞いたことがありますか?これは口コミマーケティング(WOMM)の基本的な考え方で、製品やサービスについて満足した顧客に口コミを広めてもらうことでブランドを宣伝する手法を指します。
この種類のマーケティングが重要な理由は 2 つあります。まず、WOMM 戦略を成功させれば、ブランドロイヤルティが高く熱心な顧客を獲得できます。次に、これらの顧客があなたの製品を友人にすすめてくれれば、より多くの潜在的購買者の獲得にもつながります。結局のところ、企業が一方的に自社製品を宣伝するよりも、人は信頼できる友人からのおすすめをより重視する傾向にあるのです。
WOMM 戦略の効果は決して保証されるものではありませんが、そもそもは顧客にハッピーになってもらうことが最も重要です。一流のカスタマーサービスを提供し、製品のデザインからブランドとして実践している価値観に至るまで、顧客のニーズに真摯に応えるためにベストを尽くしましょう。ブランドとして顧客を魅了できるようになれば、その評判は自然と広まります。
16. リファラルマーケティング(お友達紹介マーケティング)
リファラルマーケティング戦略は、口コミの効果を利用して商品やサービスを宣伝するものです。この手法では、リファラル(友達紹介)プログラムを組み立てて、商品を推薦することでプログラム参加者にインセンティブを提供します。一般的には、参加者が友人に商品の購入をすすめた場合、参加者とその友人の両方に割引が適用されます。
たとえば、Uber Eats では、アプリの招待コードを友人と共有し、友人が初回注文の際にコードを使用すると、無料の商品を獲得できます。
現在は終了していますが、Airbnb のお友達紹介プログラムでは、会員が友人に Airbnb をすすめて新規ユーザー登録を行ってもらうことで、将来の宿泊や体験の予約に使えるクーポン(トラベルクレジット)を獲得できるキャンペーンを行っていました。
リファラルマーケティングを導入することで、広告ではリーチできない潜在顧客にも、身近な友人や家族からのおすすめによって商品を知ってもらうきっかけケになります。
17. アクイジションマーケティング(新規顧客獲得)
「アクイジション(Acquisition)」は、「取得」や「獲得」という意味があり、これまで取引のなかった新規顧客と接点を持ち、取引を始めることを指します。後述するリテンションマーケティングやブランドマーケティングとは対照的な手法です。CTA(Call to Action:行動喚起)の観点から、ホームページ上に登録ボタンを戦略的に設置する方法などが含まれます。
アクイジションマーケティングの例としては、SEO、トップオブファネル(購買ファネルの初期段階)を狙ったブログコンテンツ、ランディングページ、SNS、Google 広告などが挙げられます。新規顧客の獲得やリードの獲得を直接目的としたものは、すべてアクイジションマーケティングに分類されます。
アクイジションマーケターの目標は、ターゲットオーディエンスのクリックを誘発する魅力的なコンテンツの作成です。フリーミアム製品や無料トライアルの提供、Web サイトのコンバージョン率の最適化など、新規顧客を獲得するために効果的なテクニックはたくさんあります。
18. リテンションマーケティング(顧客維持)
「リテンション(retention)」は、「保持」「維持」を意味します。強力なマーケティング戦略を展開するためには、セールスファネルの中で「リテンション」と「アクイジション」の両方の戦術を実施する必要があります。しかし、リテンションマーケティングでは明確な目標と KPI を定めなければいけません。
アクイジションマーケティングが新規顧客の獲得に重点を置くのに対し、リテンションマーケティングは既存顧客を呼び戻し、その顧客を維持することを目的としています。Harvard Business Review の記事(英語)によれば、これは ROI の高い強力な手法であることが研究で示されています。新規顧客の獲得は、既存顧客の維持に比べて 5 倍から 25 倍のコストがかかりますが、リテンションマーケティングで維持率をたった 5% 上げるだけで、最大 95% も利益を増加できるのです。
リテンションマーケティング戦略では、顧客との約束を確実に、しかも期待以上のクオリティで果たすことが重要となります。たとえば、手書きのメモでお礼を伝えるなど、最初から顧客の期待を上回るようなアイディアを考えてみましょう。また、顧客からのフィードバック調査を実施したり、顧客の問題点を解決するために特別な手段を講じるなど、顧客との関わりを深めることで期待した以上の効果が得られます。
19. ブランドマーケティング
ブランドマーケティングは、アクイジションやリテンションマーケティングとは異なり、売り上げ増加に主眼を置いたものではありません。ブランドマーケティングの主な目的は、ブランドに対する一般ユーザーの認識の形成です。
つまり、ブランドマーケティングでは、製品ではなく企業のアイデンティティやストーリーをアピールします。そのためにロゴを作成し、ブランドメッセージを統一して、キーカラーやホームページのデザインなどもブランドの印象に応じて調整する必要があります。また、説得力のあるブランドストーリーや、ビジネスとしての価値観を示すミッションステートメントの作成も重要です。
これらを効果的に行うには、ブランドの目指すものとターゲットオーディエンスの興味、価値観、ニーズが深く共鳴している必要があります。まずはアプローチしたいユーザー層についてリサーチし、彼らに直接語りかけるようなブランドを作り上げるところから始めましょう。
20. ビヘイビアマーケティング
ビヘイビアマーケティングは、消費者の行動(ビヘイビア)に基づき、関連性のあるアセットを用いてオーディエンスを惹きつける方法を探る手法です。たとえば、オンライン上での行動に基づいてオーディエンスを細かくセグメント化することなどが含まれます。
行動データを取得するために、まずはサイト上でのユーザーの行動を分析しましょう。これにより、特定のユーザーの興味や購入の準備状況について重要なインサイトを得られます。この情報を基に、異なるオーディエンスに合わせた特定のプロモーションキャンペーンを作成します。
ここで重要な役割を果たすのが、マーケティングオートメーションで(MA)です。たとえば、ホームページ上での特定の行動によって、そのユーザーに関連する Facebook 広告を表示し、関連製品をおすすめする自動メールを送信します。
21. ノスタルジアマーケティング
ノスタルジアマーケティングは、懐かしさを利用してブランドに温かく幸せな印象を作り出すマーケティングです。商品や広告に懐かしい記憶を呼び起こすような親しみやすいコンセプトを取り込むことでユーザーの信頼を獲得するため、新しいブランドの宣伝などでも活用することができます。
たとえば、8 ビット時代のビデオゲームはどこかレトロな魅力があるものです。同じく、コカ・コーラのガラス瓶と時代を超えた赤いロゴはどうでしょう。どちらも懐かしさを呼び起こし、私たちの心の奥深くにある純粋でシンプルな過去への憧れに訴えかけてくると思いませんか?
この戦略を活用するには、ターゲットオーディエンスに子どもの頃の記憶を呼び起こさせるような、ノスタルジーを前面に押し出した SNS キャンペーンが有効です。ただし、メッセージはブランドのストーリー、価値観、製品に沿ったものに適宜調整していく必要があります。
22. ニューロマーケティング
次に紹介するのがニューロマーケティングです。これは神経心理学を市場調査に応用したもので、脳の画像やスキャンを分析し、マーケティングの刺激に対する生理学的、神経学的反応を科学的に測定します。ある商品に心から満足しているかどうか、脳神経の反応データ分析を通して知ることができるのです。
これは人の行動を知る上で興味深いだけでなく、企業が本当に効果のある販促資料を作成する際の指針にもなります。マーケティングでは心理的側面を常に考慮する必要がありますが、ニューロマーケティングの基礎となるのは現実的な科学です。今後、ニューロマーケティングが発展することで、マーケティングアセットの作成、製品デザイン、ブランド開発において、データドリブンな心理的マーケティング戦略を取ることができます。
心理学の知識を応用したマーケティングテクニックは以下の記事をチェック!
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23. エモーショナルマーケティング
エモーショナルマーケティングは、主に感情を利用してユーザーの購買意欲やブランドへの関心を高めるマーケティング活動全般を指します。
エモーショナルマーケティングを効果的に行うためには、幸せ、悲しみ、怒り、驚き、恐怖、嫌悪(またはその中間)といった、一つの感情に集中する必要があります。たえば、ダヴの「リアルビューティ・キャンペーン」では、人の楽観性、受容性、自己愛などを喚起することで製品のプロモーションを行っています。
消費者の行動には考えるよりも感じることの方が大きな役割を果たすと言われています。色や数字によって呼び起こされる感情や感覚などをマーケティングに活かすという考えもあります。多くの人は意思決定の際、論理的思考よりも感覚により判断する傾向にあるからです。マーケティングでは、オーディエンスにどのような気持ちになってもらいたいかにも焦点を当てましょう。
24. 広報 PR
広報活動(PR)は、メディアがあなたのビジネスを表現する方法を管理するマーケティング施策の一種です。主にプレスリリース(ニュースとして価値のある情報やイベントに関する公式声明など)を発信することで、メディアにあなたのビジネスに関するコンテンツを掲載するよう働きかけます。
たとえば、事業の立ち上げ、最新の資金調達、最近の受賞、画期的な新製品、多額の慈善寄付などに関するプレスリリースを掲載してもらうよう、マスコミにアプローチするといった場合が考えられます。目的は、ブランドに対する社会の認識を高め、業界のリーダーとしてのの会社の存在感を強調することです。これにより、製品やサービスに対する需要を喚起できます。
他のマーケティング活動とも組み合わせられますが、PR はフルタイムの仕事です。多くの企業では、各社にとって理想的な形で報道できるよう、専門の PR チームを設けています。
個人事業主やスモールビジネスでも可能な広報活動については、以下の記事でコツを紹介しています。
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25. モバイルマーケティング
デジタル戦略の中核を成すモバイルマーケティングは、スマートフォンの登場以来、急速に普及が進んでいます。モバイルマーケティングとは、その名の通り、モバイル端末を中心としてプロモーションを行うマーケティングや広告活動のことです。
スマートフォンを持っているならおそらく一度は経験したことがあるプッシュ通知、SMS メッセージ、アプリ内マーケティング、QR コードなどは、いずれも製品やブランドを宣伝するためによく使われる手法です。
現代の消費者はどこに行くにもスマホを持ち運ぶ傾向にあるため、モバイルマーケティングはこの事実を利用してユーザーにアプローチします。また、携帯電話から何気なくウェブを閲覧するユーザー傾向を利用し、そのデータを使って潜在顧客にタイミングよくメッセージを送ることもできます。たとえば、携帯電話の位置情報サービスを利用して、ユーザーの位置情報を基にターゲティングを行うこともできます。
26. リレーションシップマーケティング
リレーションシップマーケティングとは、短期的な売り上げや取引に焦点を当てるのではなく、顧客と長期的な関係を構築しようとするマーケティングの手法です。リレーションシップマーケティングの目標は、自社ブランドを支持してくれる忠実かつ信頼できる顧客層の育成にあります。
このマーケティング手法では、顧客獲得よりも顧客維持を優先させます。また、SNS や Web サイト上のライブチャットなどを通じて質の高い顧客サービスを提供し、顧客の質問やニーズに応えることも重要です。
顧客との強い関係を築くために重要なのは、「製品を購入してもらうまで」の間だけ良いサービスを提供すれば良いというわけではないことです。たとえば、パートナー制度や特典付きのロイヤルティプログラムの提供、製品のおすすめ、または製品ケアのヒントやガイドなど、初回購入後も顧客に喜んでもらえるようなサポートを続ける必要があります。このような心遣いによって、ブランドを中心としたコミュニティを形成し、ファンとの生涯にわたる関係を築くことができます。
27. 音声検索マーケティング
音声検索マーケティングは、SEO の手法を音声検索に応用した比較的新しいタイプのマーケティングです。この手法では、Web 上でのキーワード入力ではなく、人の音声による検索を取り込むことでマーケティングを行います。音声検索自体は数年前から存在していましたが、Amazon Alexa や Google Home などのスマートスピーカー、Siri などのスマートフォンアシスタントの普及に伴い、最近ではますます一般的になってきました。
音声検索は、キーボードで入力した検索語句と異なる点が数多くあります。音声で検索する人は、より長いフレーズや完全な文章を使用することがあるからです。たとえば、パソコンを使っていてハンバーガーが食べたくなったら、Google に「ハンバーガーショップ」とだけ入力するでしょう。一方で、運転中の人は、Siri に「ハンバーガーはどこで食べられる?」とたずねるかもしれません。
Google は、検索エンジンの自然言語処理(NLP)機能を継続的に改善し、このような意味的な変化に対応しています。進化し続ける SEO の世界でトップを走り続けるには、音声検索マーケティングの仕組みをしっかりと理解し、サイトを音声検索に対応させることが重要です。たとえば、ブログ記事のタイトルを質問形で書くだけでも違いが生まれます。
28. パートナーシップマーケティング
パートナーシップマーケティングとは、2 つ以上の企業が互いの利益のために共同でプロモーション活動を行うことを指します。協力することで、お互いの会社が持つ異なるオーディエンスへとリーチを広げ、ブランドの認知度アップ、新規顧客の獲得、価値観を共有する企業との関係構築などに繋げられます。たとえば、Wix パートナープログラムは Web デザイナーや制作会社向けのプログラムで、クライアントをサポートし、Wix でサイトを構築するごとに報酬やさまざまな特典を得られます。
パートナーシップマーケティングに興味がある人は、まず同じようなターゲットオーディエンスを持つ企業のリサーチから始めると良いでしょう。理想的なのは、自社の製品を補完する他社製品を選び、顧客にどちらの製品も購入してもらうことです。もちろん、パートナー企業があなたのビジネスと直接または間接的に競合しないことを確認しておく必要があります。
パートナーシップマーケティングのオプションとしては、共同のウェビナー開催、共同の調査研究、特別な製品の共同リリースなどがあります。たとえば、あなたがスモールビジネスオーナーで、チーズの輸入販売を行っている場合、地元のワイナリーと提携して一緒に商品を販売するのも良いかもしれません。
29. UGC マーケティング
UGC(User Genereted Content)は、ユーザーの手によって制作、生成されたコンテンツの総称です。UGC マーケティングは自社の利用者や顧客を活用する手法です。消費者がマーケティングキャンペーンに参加できるような戦略は、すべて UGC(ユーザー生成コンテンツ)マーケティングとみなされます。
最も一般的な UGC マーケティング戦略は、ユーザーに製品を使ってもらい、その体験を SNS で共有してもらうことです。Instagram では、ブランドのハッシュタグを使用してすべての投稿を一箇所にまとめ、Story(ストーリー)やReel(リール)でブランドをタグ付けすることが一般的です。また、最近ではTikTok でのプロモーションも伸びてきています。
ユーザー生成コンテンツを共有する主なメリットは、エンゲージメントを促進し、ブランドの認知度を広めることです。さらに、実際のユーザーが製品を楽しんでいるようすを伝えるコンテンツは、他の消費者に製品を試してもらうための説得材料としても効果的です。
もっと詳しく▶︎ TikTokで収益化するコツや Instagram の収益化についてもぜひご覧ください。
30. シーズナルマーケティング
シーズナルマーケティング(ホリデーマーケティングとも)は、一年を通じて特定の時期に製品やサービスのプロモーションを行うことを指します。たとえば、お正月やクリスマス、バレンタインデーや毎年 6 月のプライド月間などです。
この種のマーケティングはあらゆるビジネスに適用できますが、季節感が重要なビジネスでは特に有用です。たとえば、チョコレートショップや花屋などは、バレンタインや母の日に向けたマーケティングに投資することが多いでしょう。
31. OOHマーケティング
OOH (アウト・オブ・ホーム)マーケティングは、「屋外広告マーケティング」とも呼ばれ、消費者が自宅外で接触する様々な形態の広告に焦点を当てたマーケティングアプローチです。
この手法は、ビルボード、バス停や交通機関内の広告、空港やショッピングモールなどの特定のロケーションでの広告、デジタルサイネージなど、さまざまな屋外広告媒体を利用します。OOHマーケティングの強みは、消費者が日常生活の中で直接目にする形でブランドメッセージを伝えることにあり、特に地域特有のオーディエンスや移動中の消費者にリーチするのに効果的です。
デジタル技術と組み合わせた、新宿の 3D デジタルサイネージ広告などを活用することで、話題性をもたらし、SNSで広く拡散してもらうといった効果も狙えます。このように、幅広い人々にリーチすることが可能なマーケティング手法は、ブランドの認知度向上に効果的です。
32. B2C マーケティング
企業と消費者の取引を指す B2C マーケティングは、消費者個人の購買力をターゲットにしたマーケティング手法です。多くの企業は B2C マーケティングに注力しており、特に消費者向けパッケージ商品(CPG)を販売している企業はその傾向が顕著です。これは、B2C マーケティングを通じて幅広い顧客層にアプローチし、迅速な意思決定を促して購買に繋げられるためです。消費者は自分自身で購入を決定することが多いため、企業のように稟議を回して関係者全員の承認を取る必要がありません。
しかし、消費者のニーズは常に変化し市場のペースも速いため、状況が一夜にして変化する可能性もあります。そのため、B2C ビジネスを行うにあたっては、マーケティングのトレンドと消費者行動のインサイトを常に把握する努力が必要です。
一般的な B2C マーケティング手法には、インフルエンサーマーケティング、SNS 上でのコンテスト、顧客ロイヤルティプログラムなどがあります。
33. B2B マーケティング
B2B マーケティングは、企業間で行われる取引に関わるマーケティングです。B2B マーケティングにおいても同じくターゲットは一人ですが、社内での役割、会社、業界に基づいてアプローチ方法が異なります。
消費者の購買とは異なり、企業が商品やサービスを購入するとなると、その前により多くのリサーチと関係者の承認が必要になってきます。B2B マーケティングは、マーケティング担当者がマーケティングに値するリード(MQL:Marketing Qualified Lead)をセールスファネルに導き、営業開発担当者が電話や製品デモを行うところから始まるのが一般的です。
B2B マーケティングのほとんどは、デジタルまたは業界固有のカンファレンスを通じて行われます。多くの B2B マーケティング担当者は、LinkedIn を職業データベースとして活用し、各業界に特化したターゲットとの繋がりを構築しています。
34. テレマーケティング
テレマーケティングは、電話を通じて製品やサービスを販売促進する手法です。企業から見込み客や既存顧客に電話をかけ、特別価格や新商品を案内します。たとえば、金融サービス会社がテレマーケティングを利用して新しいクレジットカードを宣伝するといった場合が考えられます。
テレマーケティングは、よりインタラクティブでパーソナルなサービスを提供し、顧客とすぐに信頼関係を築くことができるほか、専門的な質問にも明確に回答できるのがメリットです。
コールセンターを利用することも可能ですが、コールセンター運営では自動応答電話(ロボコール)の利用が増えています。電話勧誘は押し付けがましく、多くの顧客が嫌がります。テレマーケティングを行う場合は、ブランドへのダメージを避けるため、電話連絡を承諾した人にのみ電話をかけてください。ダイレクトメールの場合も同様です。
35. コーズマーケティング
コーズマーケティングは、非営利団体やその他の世界を良くする取り組みに対する企業の社会的責任を示すものです。コーズマーケティングを通じて、地域社会や自社の価値観を支持してくれる人たちとより良い関係を築くことができます。ブランドロイヤリティの向上に加えて競争優位性も高まるため、長期的なビジネスの成長に繋がります。
この分野で人気のある取り組みは、企業が環境に優しい施策を実践していることを示すサステナブルマーケティングです。売り上げの一定額の寄付を公言し、地域の団体と提携して特定の取り組みを支援できます。
36. イベントマーケティング
企業は、イベントマーケティングを利用してターゲットオーディエンスと永続的な関係を築き、記憶に残る体験を創出できます。イベントと一口に言っても、ソートリーダーシップに基づくカンファレンスやオンラインイベント、製品に特化したワークショップなど、その種類はさまざまです。
イベントでポジティブな体験を提供し、1 対 1 で有意義な顧客エンゲージメントと教育の機会を創出できれば、より多くの新規ビジネスを獲得できる可能性が高まります。ブランド主催のイベントに参加することで宣伝された製品を購入する可能性を高くすることができると言われています。イベントを開始する前に、参加者にどのような記憶を持ち帰ってもらいたいかを明確にしておきましょう。「人々の心に残る感情」を提供することで、最もインパクトのある結果が生まれます。
Wix 活用のヒント:本格的なイベントホームぺージと Wix イベントを活用し、参加申し込みの確認や座席表の作成などを行いましょう。
37. グローバルマーケティング
オンラインビジネスの世界的な普及に伴い、多くの企業がローカリゼーション(ある言語から他言語への最適化)を伴うマーケティングに取り組み、メッセージや製品を文化的、地理的な特異性に合わせて打ち出すようになっています。
グローバルマーケティングはターゲットとする人々の異なる文化を理解し、彼らのニーズに合わせてメッセージや製品を調整することに主眼を置いています。
言葉遣いや画像をローカライズし、特定の文化に適した製品を開発することは、すべてこのタイプのマーケティングに当てはまります。Wix はドイツ語圏のオーディエンス向けに、現地ならではのコンテキストを用いたユーモアあふれるマーケティングキャンペーン「We know what you're thinking」(ドイツ語)を展開しました。
各地域のオーディエンスの特性をきちんと理解し、それに沿ったコミュニケーションを行っているかどうかは企業イメージを左右する重要な要素です。リーチしたい地域や文化に精通した人や企業とパートナーシップを結んで、適切なローカリゼーションに取り組むことが大切です。
38. カンバセーショナルマーケティング(会話型マーケティング)
カンバセーショナルマーケティングは、ブランドと顧客のより簡単な会話をテーマとしています。消費者は必要な答えを瞬時に見つけることを期待しており、それに応える形のマーケティング手法です。
カンバセーショナルマーケティングの鍵は、迅速なサービス提供です。実際、99 Firms の記事(英語)によれば、顧客の約 73% は企業とコミュニケーションを取る上でライブチャットが最も有効な手段であると回答しています。
サイト訪問者が抱える問題や質問を解決するだけでなく、これらの対話を通じて見込み客を獲得し、販売ファネルを改善して、満足した顧客にリピーターになってもらうことができます。
自社ホームページにライブチャットを追加したり、SNS チャンネル、WhatsApp やその他のメッセージツールでの問い合わせを受け付けることで、カンバセーショナルマーケティングを取り入れられます。
チャットツールをビジネスに取り入れるメリットについては、こちらで詳しく解説しています。
39. プロダクトマーケティング
プロダクトマーケティングは、製品の需要や利用の促進を目指したマーケティング手法です。製品と市場の適合性を確認し、顧客の問題を理解するために役立ちます。市場調査、販売促進、カスタマーサクセスなどのデータを活用して、顧客に最も適したメッセージを届けることに重点を置いています。販売促進はすでにある商品への認知拡大に重きを置きますが、プロダクトマーケティングは商品が市場で売れる仕組みや方向性を最適化することが目的です。それぞれ、観点に違いがあります。
このタイプのマーケティングでは、セグメンテーション、ターゲティング、ペルソナといった概念を使用して、自社にとって最適な顧客を絞り込むことができます。また、競合他社の取り組みや、顧客が検討している選択肢をより深く理解できるのも、プロダクトマーケティングのメリットです。これらのインサイトにより、消費者に向けたメッセージの出し方と製品そのものを最適化し、売り上げを向上できます。
この手法で重要となるのが、企業の製品ライン全体にわたる取り組み効果の測定に役立つ、重要業績評価指標(KPI)の明確な設定です。たとえば、SaaS(Software-as-a-Service)企業は、トライアルやデモのサインアップ数、消費者誘導率、収益に関する目標を設定するのが一般的です。
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40. アカウントベースドマーケティング
アカウントベースドマーケティング(ABM、キーアカウントマーケティングとも)は、マーケティングと営業部門が一丸となって、特定のアカウントや企業をターゲットにパーソナライズされたメッセージキャンペーンや購買体験を作り出す手法です。ABM は、新規リードを獲得するためのアクイジションマーケティング手法として用いられるのが一般的です。
ABMの最大のメリットは、アプローチする対象を初期段階で絞り込めるという点です。自社の利益に繋がる企業にターゲットを絞った上で活動を展開するため、無駄を減らし、効率良くマーケティングを推進できるという利点があります。具体的には、ターゲットとした企業に対してクロスセルやアップセルなどをかけて売り上げを積み上げていく活動が基本です。したがって、クロスセルやアップセルをかけられるような複数商材、サービスを持たない企業では、ABMを導入しても高い成果は期待できません。
まとめ
以上、さまざまなマーケティング手法と種類について詳しく紹介しました。マーケティング手法は、CRM や AI 技術の発達により、今後もどんどん高度化し細分化されていくことが考えられます。
マーケティングの重要性はわかっていても、さまざまなタイプのマーケティングキャンペーンを同時に実施するのは一筋縄ではいかないでしょう。自身のビジネスや成長段階に合わせて、効果的なマーケティング手法が選択できるようになるためにも、現在どのようなマーケティング手法が実践できるのか考えることが重要です。
マーケティング活動を効率的かつ効果的に管理するには、ワークマネジメントツールの使用がおすすめです。Wix のデータ解析機能などで、売り上げの推移やマーケティング効果を手軽にモニタリングできます。
編集者:Miyuki Shimose ブログ コンテンツマネージャー