AI（人工知能）は、今年、最も注目すべきキーワードの一つでしょう。AI は雑多な作業を自動化して時間を短縮し、顧客サービスを向上させ、データ分析を支援します。昨今の大幅な機能向上により、利用可能性が飛躍的に改善しました。人手不足といったビジネスオーナーの課題を克服するために、経営者はどのように AI と機械学習を導入し、活用すればよいのでしょうか。

Wix のデータエンジニアである Eitan Shalev （エイタン・シャレヴ）は「私たちは皆、気づかないうちに日常生活で AI を使っている」と言います。検索エンジンにスマホのカメラや SNSと、これらすべてが強力な AI 技術に依存しています。また、ニッチな分野のビジネスにおいても AI は注目されています。さまざまな業界で、音声アシスタントとチャットボットの採用が多く見られるようになりました。

ビジネスオーナーは、カスタマーサポートの向上やホームページのインタラクティブ化などのために、チャットボットの利用を検討すべきだと Shalev は述べています。さらに、「AI は Eコマースサイトにおいても有効だ。顧客の過去の買い物行動やセグメンテーションについてのデータがあれば、AI はそのデータに基づき、顧客が興味を持ちそうな商品の提案ができる」と話しています。

02. VR・メタバースを活かした「没入型体験」サービス

VR（バーチャルリアリティ）やメタバース技術を使って、ユーザーに没入型の体験を提供するサービスへ注目が集まっています。

仮想空間で旅行やイベントに参加できる仕組みは、これまで一部の企業や大型プロジェクトに限られていましたが、現在は、身近なガジェットの発展により、個人や小規模事業者でも参入可能なレベルに進化しています。

360度カメラで、臨場感ある動画を収録
スマートフォン3Dスキャナーで、部屋や施設を丸ごと仮想空間に再現
ドローン映像やアクションカメラで、視点移動を楽しめるVR素材を撮影

こうしたツールの普及によって、映像や音響すべてを一人で作れるようになり、大手企業でなくても没入感の高いサービスを設計できる時代になっています。 ビジネスアイデアの具体例

自宅から世界を巡る「VRツアー」
インディーズアーティストによる「オンラインVRライブ」
映画・ゲームを通じて交流する「メタバース趣味コミュニティ」

一般消費者へのエンタメ提供だけでなく、他にも企業の研修、展示会、セミナーなどのビジネス用途でも活用が進んでいます。これからの時代、リアルとバーチャルをつなぐ「体験型コンテンツ」は、スモールビジネスアイデアとしても大きなポテンシャルがあるでしょう。

03. オンラインフィットネスコーチング

近年、インターネットを活用したオンライン健康・フィットネスサービスが急速に広がっています。パーソナルトレーナーや管理栄養士のサポートを、スマートフォンやPCを通じて自宅で受けられるスタイルは、忙しくても健康を意識したい人や、無理なく運動を続けたい人たちから高い支持を集めています。

今や、スタジオや店舗を構えなくても、スマホ・PC・アプリを活用すれば、

個人でも本格的なフィットネスビジネスを開業できる環境が整っています。 ビジネスアイデアの具体例

ビデオ通話でのパーソナルセッション
食事記録アプリやカレンダーと連携した習慣管理
スマートウォッチやウェアラブル端末から得たヘルスデータの活用
オンラインパーソナルジム
食事管理アプリ＋栄養士サポート
オンデマンド宅トレ動画配信

オンライン健康・フィットネスサービスは、少ない初期投資で始められ、リピーターも生まれやすいビジネスです。今後も継続的な成長が見込めるでしょう。専門的な知識や経験をお持ちであれば、それを直接「価値」として収益化しましょう。

04. 高齢者向け訪問・生活サポートサービス

日本では65歳以上の人口がすでに全体の約3割を占めており、2024年には過去最高を記録しました。それに加え、核家族化や共働き世帯の増加により、「近くに頼れる人がいない」高齢者が増えています。そこで、シニア世代の日常を支える身近な生活サポートの需要が急増しています。買い物の付き添いや、家の中でのちょっとした作業。スマホの使い方がわからないといったデジタルの悩みを解決する民間ビジネスへの期待が高まっています。

ビジネスアイデアの具体例

買い物代行や通院付き添いサービス
スマートフォンの操作出張サポート
独居高齢者への定期的な声かけ・見守り訪問サービス

この分野の魅力は、初期コストがほとんどかからない点です。体力やスキルを生かして、一人で始めることも可能であり、長く安定して続けられる仕事として、今後ますます注目されるでしょう。

05. ペット向けウェルネス・サービス

ペットを「家族の一員」として大切にする人が増える中、ペットの健康や快適さに配慮したウェルネス系サービスへの注目が高まっています。

以前は医療やトリミングといった基本的なケアが中心でしたが、今は“癒し”や“予防”にまでサービスが広がり、心と体の健康を支えるビジネスとして進化しています。

無添加・手作りのフードやおやつの需要増加
高齢ペット向けの介護用品やサポートサービスの普及
アロマ・マッサージ・フィットネスなど、心身ケアの多様化

こうした傾向は、大手企業だけでなく、小さな事業者や個人でも取り組める分野を広げています。特にECやSNSの活用によって、オリジナル商品や地域密着型のサービスを少人数でも展開できる環境が整ってきました。

ビジネスアイデアの具体例

オーガニック食材を使った「手作り犬用おやつ」販売
自宅に出張して行う「ペットトレーニングサービス」
「オンラインしつけ相談」など

ペットウェルネスは、単なる“モノ売り”ではなく、飼い主との感情的な信頼関係を築ける分野です。特定のペット種に特化したサービスや、飼い主同士のコミュニティ形成と組み合わせることで、ブランド化しやすく、リピーターも生まれやすいのが特徴です。

物価が上がっても「ペットのためには質の良いものを選びたい」と考える飼い主は多く、このジャンルは不況下でも安定した需要が見込めるでしょう。

06. リユース・中古品販売ビジネス

物価高や節約志向の高まりを背景に、中古品やリユース品を上手に活用する暮らしが広がっています。新品にこだわらず、「状態の良いものをお得に買う」というスタイルが当たり前になり、リユース市場は拡大を続けています。

フリマアプリやネットオークションの普及により、個人でも中古品を売買できる環境が整い、今ではリユースを軸としたスモールビジネスに多くのチャンスが生まれています。

状態の良い衣類や家具を安く仕入れて再販売
ブランド古着やヴィンテージアイテムに特化したオンラインショップの運営
使わなくなった子ども用品やベビーグッズの宅配買取サービス

こうしたビジネスは、仕入れコストを抑えやすく、在庫リスクも低いのが特徴です。

ビジネスアイデアの具体例

ファッションに特化した「オンライン古着ショップ」
中古家電を修理・清掃して再販する「再生家電EC」
子ども服の成長に合わせて送る「おさがりサブスク」

環境意識や節約志向が高まるなか、リユースビジネスは社会的にもポジティブなイメージになりました。特にニッチなジャンルに特化したショップは、ファンがつきやすくリピート率も高いため、少人数・少資本で長く続けられるビジネスとして注目されています。「無理なく始められる」「継続しやすい」「利益率が高い」という三拍子そろった、今後注目のビジネス分野です。

07. サステナビリティ・アップサイクルビジネス

近年、日本でも持続可能な開発目標 SDGs が広く認知されるようになり、政府が国を上げてサステナビリティに取り組んでいます。「環境に優しいブランド」はこれからの消費者に訴求するために重要なポイントになります。

環境への意識が高まるなかで、廃材や不要品に新たな価値を加えて生まれ変わらせるアップサイクルビジネスの需要が着実に伸びています。素材の多くは低コストまたは無料で仕入れられるため、利益率の高い商品づくりが可能です。また、「環境にやさしい」「世界にひとつだけ」という付加価値が、商品を選ぶ理由になります。

ビジネスアイデアの具体例

着物や古布をリメイクして、バッグやアクセサリーに
廃棄予定の木材や端材から、温かみのある家具やインテリア雑貨を制作
食品ロス品（規格外野菜・廃棄果実など）を活用したジャムやスナックの開発・販売

SDGsや循環型社会の文脈と親和性が高く、企業や自治体とのコラボの可能性も広がっています。副業として、まずはオンライン販売から始め、少しずつ事業化していく人も増えています。

08. オンラインサロンの構築

同じ趣味や興味を持つ人たちが集まるオンラインサロンを作ると、あなたの発言力や影響力を高めることができるでしょう。専門分野に関する質の高いコンテンツを共有すると、業界の権威としての地位を確立し、読者からの信頼を得られます。ウェビナーの開催、オンラインレッスンの提供、ライブ配信の開催、ブログの作成、または掲示板サイトの作成などがコミュニティの構築に効果的です。

顧客同士が自由に交流できるようにするのも良い方法です。会員限定エリアを設定することで、個人アカウントごとの「注文状況」や「予約の管理」はもちろん、他の会員とのチャットといった限定機能にアクセスできるように設定することができます。他にも、月額制のファン限定会員ページを作成することで、限定グッズ販売キャンペーンなどが実現できます。

09. ニッチEC（越境・専門オンライン販売）

実店舗を構えて行っていたビジネスやサービスをオンライン化し、ネットショップを立ち上げる流れはもはや一般的と言えるでしょう。最近は、Eコマースの拡大により、イラストのオンライン販売やドロップシッピング、NFT の売買、サブスクリプションボックス（月額制の定期便サービス）など、従来のEコマースで取り扱っていなかった商品まで販売できるようになりました。

現在の状況下では、ほとんどの事業者が Eコマースに着目し、新たなビジネスチャンスを掴もうとしています。ネットショップを開設してドロップシッピングを導入すれば、在庫を持たずに簡単に商品を販売することができます。また、オンデマンド印刷サービスを利用して、注文を受けた後に商品を作成すればさらに安心です。

Wix には、様々な専門サービスの設定に役立つ便利な Eコマースツールが多数組み込まれています。ドロップシッピング、注文と支払いの管理、豊富なデータに基づくインサイトを活用したショップのパフォーマンス監視など、高度な機能が数多く揃っています。

10. インバウンド観光客向け体験サービス

訪日観光客の増加にともない、「見る」から「体験する」へと、観光ニーズが変化しています。その中で注目されているのが、日本ならではの文化や生活を体験できる小規模な体験型サービスです。

特別な施設や大型設備は不要で、ガイドツアー、文化体験、地域の暮らしに触れるプランなど、英語スキルや日常そのものが価値になるビジネスです。こうしたサービスは、個人や小規模事業者でも始めやすく、利益率も高いのが特徴ですAirbnbの体験機能など、集客の場も整ってきています。

ビジネスアイデアの具体例

東京下町を巡る「路地裏ディープツアー（英語）」
田舎に泊まって農作業を体験する「民泊×農業体験」
アニメの聖地をめぐる「オタク文化ガイドツアー＋コスプレ体験」

近年、訪日外国人数が過去最高を更新しており、観光業はコロナ後のリバウンドを経て力強く回復しています。その中でも「ただの観光では物足りない」「リアルな日本に触れたい」といった声が増え、体験型サービスへのニーズが一層高まっています。

円安による追い風や、国内旅行の需要増もあり、訪日客・日本人の両方をターゲットにできる点も魅力です。低コストで始められ、地域に根ざしながら、世界に届けるサービスとして、今後も伸びていくと予想される分野です。

今後重要になる5つのビジネス戦略

01. アクセシビリティ

アクセシビリティとは、英語の”Accessibility”のことで、「利用のしやすさ」「便利さ」などと訳されています。物理的、認知的、環境的困難がある場合でも、すべての人が平等に、サービスや建築、ウェブサイトにアクセスし、容易に利用できるようにすることを指します。

Wix アクセシビリティエキスパートの Nir Horesh（ニル・ホレシュ）は、ビジネスを始めるなら、「アクセシビリティを考慮したホームページ」を設計すべきだと語ります。自社サイトのアクセシビリティを向上させることで、WCAG 2.0（ウェブアクセシビリティ国際規格の最新達成基準）に準拠できます。

米国では、1990 年に「障害を持つアメリカ人法（ADA）」が制定されました。また、日本でも 2021 年に「障害者差別解消法」が改正され、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮を行うことが、民間事業者にも義務付けられました。米国ではアクセシビリティ訴訟が急速に増加しており、アクセシビリティに対応していない企業のウェブサイトが訴えられる事例が増えています。まだ自社サイトのアクセシビリティに取り組んでいない企業経営者は早急に見直しが必要です。

Horesh によると、ホームページ制作者がアクセシビリティ意識を高めることが肝要だと言います。キーボードだけで操作できるようにすることや、視覚障害者が使用するスクリーンリーダーと互換性があること、色覚異常の人々がコンテンツを理解できるようにカラーパレットの選択にも配慮することなど具体的な改善策を取り入れましょう。これらの点を改善していくことで、すべての人々がより快適に利用できる Web サービスにすることができます。

Wix エディタには、アクセシビリティ支援機能が組み込まれており、コンテンツとデザインがウェブアクセシビリティの国際規格に準拠するようにサポートします。また、Wix の機能があなたのホームページにアクセシビリティの問題がないかをチェックし、必要に応じて修正を提案することができます。

02. データの透明性の促進

シスコシステムズが行った調査の結果を見ると、消費者は自分のデータが企業によってどのように取り扱われているのかについて、より高い透明性を求めていることが分かります。シスコシステムズの副社長兼副顧問かつ最高プライバシー責任者の Harvey Jang （ハーヴィー・ジャン）氏は、「組織は、顧客やユーザーが自分のデータがどう取り扱われているのかを理解できるように、個人情報の取り扱い方法を分かりやすく説明する必要がある」と述べています。

個人情報を扱う事業者は、自社サイトのプライバシーポリシー（個人情報保護方針）を作成し、公表することが非常に重要となります。プライバシーポリシーとは、ホームページがその訪問者や顧客のデータを収集、使用、管理する方法の一部または全部を示した文書のことです。

プライバシーポリシーの制定により、クライアントのプライバシーを保護する法的要件も満たすことができます。顧客に対し、収集する情報の種類とその使用方法について明確にしておくことは必要不可欠です。サイト訪問者のブラウザに保存される小さなデータであるクッキーの使用についても、言及しておくことが望ましいでしょう。顧客に対して、できる限り透明性を確保することは、企業の信頼性向上につながります。

03. 自社アプリ開発

普段の買い物からフィットネスクラスの予約まで、毎日のちょっとした用事にモバイル端末を活用する人が急増しています。既にビジネスサイトをお持ちなら、そこに独自のモバイルアプリを組み合わせてみるのも良いかもしれません。これからは、どんな事業者でもノーコードでオリジナルのアプリを作成できる時代です。自身のビジネスにも取り入れることをぜひ検討しましょう。

ノーコードでスマホアプリが開発できるプラットフォーム、「アプリビルダー」なら、リアルタイムでウェブサイトと同期したスマホアプリが手軽に作成できます。数百種類のビジネスソリューションを選択でき、ネットショップや予約システム、ユーザー投稿型フォーラムアプリなど、思いのままのデザインと機能を実現できます。

ビジネスニーズに対応した独自のネイティブモバイルアプリをいますぐ作成しましょう。

04. モバイルマーケティングの活用

モバイル端末の利用は増加の一途をたどっており、その勢いは衰える気配がありません。また、GSMA インテリジェンスが公表した第 3 回年次「グローバル・モバイル・トレンド」報告書によると、2025 年までには 37 億人、つまり世界のネット利用者の 72 % がモバイル端末のみのユーザーになると言われています。このことからも、事業者にとって、モバイルマーケティングへの投資は不可欠だと言えるでしょう。

モバイル端末でもパソコンと同じように使いやすいサイトにすることが、重要なステップの一つです。レスポンシブデザイン、簡単なナビゲーション、目立つ CTA（Call To Action）、「トップに戻る」ボタンなどが必要となります。こうした変更を加えることにより、モバイルファーストインデックスに移行している Google をはじめ、検索エンジンでの検索結果ランキングの向上につなげることができます。また、SMS マーケティングや Google 広告を設定して、地域の潜在顧客をジオターゲティングしてみるのもよいでしょう。

ヒント：Wix では、モバイルマーケティングのビジネス戦略を管理できる Wix アプリを提供しています。Wix アプリは、顧客をあなたのビジネスへとつなげ、顧客がサービスを予約し、商品を購入できるモバイルエクスペリエンスを実現できます。

05. 顧客サービスのパーソナライズ

パーソナライズされた顧客サービスとは、顧客一人ひとりの要望やニーズに合わせてサービスを提供することです。消費者は企業に対し「要望や好みを正確に把握し、スムーズなカスタマージャーニーの提供がされること」を期待しています。顧客の信頼を獲得すると、リピート顧客として、長期的な利益の増加にもつながります。

顧客サービスをパーソナライズするために、Google アナリティクスや Wix アクセス解析などの解析ツールを活用しましょう。これらのツールは、訪問者がどのようにしてサイトにたどり着いたか（例：検索エンジンや SNS などから）、どの商品が一番売れているか、何がユーザーの購買意欲を高めているかなど、訪問者の行動に関する情報収集に役立ちます。

こうして収集したデータを使うことで、訪問者ごとにパーソナライズされたサービスを提供できます。例えば、メルマガ配信キャンペーンを設定し、新規登録者へのウェルカムメールの送信を自動化することや、購入履歴に応じたカスタムクーポンなどの提供もおすすめです。工夫次第で顧客エンゲージメントを効果的に伸ばすことができるでしょう。

まとめ

この記事では、最新のビジネストレンドを反映し、2025年のビジネス環境で成長が期待できる有望分野のビジネスアイデアを紹介しました。

これらのビジネスアイデアを参考に、新しい新規事業の発見に繋げましょう。参入障壁が低く、初期コストが抑えられる、スモールビジネスならではの柔軟性を活かし、激動する世界情勢の中でも、成長し続けるビジネスを目指しましょう。

この記事を書いた人

下瀬美幸（Miyuki Shimose）

Wix 公式ブログ編集者／ SEO エキスパート•ブログライター