2023年6月11日11 分

ペルソナとは?作成方法やマーケティングへの活用法を徹底解説

最終更新: 2023年6月14日

消費者は、ブランドに自分のことを知られたくない、匿名でいたいとは思っていません。

むしろ半数以上の消費者(56 %)が、企業から提供されるものは、すべてパーソナライズされたものであってほしいと答えています。Salesforce 社の第 5 回 State of The Connected Customer 調査によると、消費者の 3 分の 2 は、企業が自分たちのニーズを理解し、先取りして「おすすめ」してくれることを期待しています。

では、このような深いレベルのパーソナライズ(ユーザーごとに最適化)を実現するにはどうしたらよいのでしょうか。そのためには、潜在顧客のペルソナを作成し、顧客のニーズや欲求、購買動機などを明らかにする必要があります。

この記事では、Eコマースマーケティングにおいて重要な役割を果たすペルソナの作成方法について詳しく解説します。

目次
 
ペルソナとは?

なぜ E コマースでペルソナが重要なのか?

ペルソナの具体例

ペルソナの作り方:5 つの重要なステップ

01. 顧客をリサーチする

02. 顧客データのパターンを特定する

03. ペルソナのテンプレートを作成する

04. 対策のプランを作成する

05. 測定と最適化を行う
 

ペルソナとは?

ペルソナとは、架空の顧客人物像のことです。既存顧客の行動データや購買情報などを調査し、そのニーズ、欲求、価値観、行動パターンを具体化することによって作成します。

ペルソナを作成することで、大衆を意識したマーケティングではなく、現実に存在する個人に寄り添ったマーケティングが可能になるのです。

顧客情報や行動情報を収集するためには、データ解析機能のついたネットショップサイトが必要です。ネットショップを作成するなら、EC サイト作成プラットフォームを比較し、事前に費用やメリットデメリットを理解した上でネットショップの作成方法を選びましょう。


 

なぜ E コマースでペルソナが重要なのか?

ペルソナは B2B の分野でよく語られるテーマですが、B2C の商材においてもその価値は変わりません。ペルソナは、以下の事柄を可能にします。

  • それぞれのペルソナに合わせた商品やサービスを提案する

  • 広告やメールなどのコミュニケーションのターゲットをより正確に設定する

  • 一貫したブランドメッセージを作成する

  • カスタマーエクスペリエンスのズレや欠落部を特定する

  • ターゲットとなる新しい顧客層を発見する

  • 顧客の欲求、ニーズ、動機に関する最新情報をチーム全体に提供する
     

プロからのアドバイス: ネガティブペルソナを作成し、ターゲティングをさらに細かく設定してみましょう。ネガティブペルソナは、その名の通りペルソナに似た購買者ですが、売上に結びつくことはありません。ネガティブペルソナをターゲット層から除外することで、マーケティングキャンペーンの精度をさらに高めることができます。


 

ペルソナの具体例

たとえば、あなたがスニーカーブランドを経営しているとします。スニーカーという共通の趣味を持つ購買者は、多様なバックグラウンドを持ち、購買習慣や興味などもさまざまです。

  • 都心部に住む、現場作業員の男性

  • アスレチックな 10 代の女性

  • 子育て中の 30 代女性

デモグラフィック(人口統計学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)、ビヘイビアル(行動学的属性)に関する手元にあるデータをすべて分析し、より具体性の高いペルソナを作成することが大切です。

以下のでは、ペルソナ作成の具体的な例を紹介します。あなたが設定するペルソナには、ここに挙げたカテゴリ以外にも、さらに多くの項目を含めて、より詳細なペルソナを作成することをおすすめします。


 

ペルソナ 1:都心部に住む「しょうたさん」


 

年齢・職業等:男性、38 歳、独身、建設作業員

場所:東京都、新宿区

趣味:自転車、アウトドア、将棋

購買動機:価格、耐久性

性格:負けず嫌い、頭脳派

しょうたさんは仕事熱心な人物で、仕事の出来栄えが良かったときに得る満足感が原動力の源となっています。アクティブな彼は、仕事場まで数キロの道のりを自転車で通うこともあります。スニーカーに関しては、耐久性や多用途性にこだわり、お買い得なスニーカーを見つけると、場所がどこであろうと手に入れるために赴きます。家を不在にすることが多いので、オンラインで購入したものをコンビニで受け取りたいと思っています。


 

ペルソナ 2:スポーティーな「あやかさん」

年齢・職業等:女性、19 歳、独身、学生

場所:東京、目黒区

興味:ジム、バレーボール、テニス、ハイキング、ダイビング

購買動機:快適性、性能

性格:負けず嫌い、クリエイティブ

あやかさんは元気いっぱいのハツラツとした大学生です。授業とサークル活動に打ち込み、そして週末にはハイキングやダイビングに出かける、といった日々を送っています。彼女のクローゼットには、いろんなスポーツやあらゆるシーンに対応する靴がぎっしりと並んでいます。快適で性能がよく、しかも個性的でスタイリッシュなスニーカーを常に探しています。送料と返品が無料であれば、オンラインでの購入にも前向きです。


 

ペルソナ 3:子育て中の「さとみさん」
 

年齢・職業等:女性、31 歳、パートタイム

場所:大阪、尼崎市

興味:子育て、旅行、ファッション

購買動機:歩きやすさ、スタイル

性格:分析的
 

さとみさんはパートタイムで働き、日々忙しい二児の母親です。子育てとファッションについての最新トレンドを常に SNS で把握していたいと思っています。家族でレジャーに行くことを楽しみます。彼女は、購入した商品がすぐに自宅に届けられる場合のみ、ネットショップを利用します。欲しいものであれば、送料を払うことにも抵抗はありません(購入前に何週間もかけて商品を比較検討する傾向があります)。また、返品が無料であることが購入の条件です。子供を連れてたくさん歩いても疲れず、そしておしゃれなスニーカーが好きです。


 

ペルソナの作り方:5 つの重要なステップ

ビジネスの規模にかかわらず、ペルソナはチームを正しい方向へと導くのに役立ちます。広告メッセージからブランディング、カスタマーサポートから商品開発まで、あらゆる面で活用可能です。そのことを踏まえながら、ペルソナを設定する 5 つの重要なステップを紹介します。

01. 顧客をリサーチする

顧客を徹底的に調査し、もっとも重要なセグメントに焦点を絞ります。何から手をつけていいかわからない場合、まず、ビジネスにとってもっとも価値の高い顧客に焦点を当ててみましょう。また、商品カテゴリーや購入場所(例:対面購入者とオンライン購入者)ごとに、顧客を調査することもできます。

  • 分析を掘り下げる:顧客に関する基本的なデータ(年齢、性別、居住地域、平均消費額など)は、ほとんどの CRM システム(顧客管理システム)で確認することができます。Wix ストアなら、アクセス解析機能 を通じて、これらのデータ、および行動データにアクセスすることができます。


 

  • 商品レビューを徹底的に調べる:肯定的なレビューと否定的なレビューの両方を分析することで、顧客の問題点、価値観、商品に関する経験をより深く理解することができます。このデータを分析することにより、あなたのブランドを差別化する要因が、顧客の視点を通して見えてきます。
     

  • 営業チームやカスタマーサポートチームにヒアリングする:毎日顧客と接しているチームメンバーから話を聞きましょう。顧客からのよくある質問、不満、好きな商品の機能や特徴、商品の実際の使用方法をはじめ、そのほかにもさまざまな点について知ることができます。
     

  • 既存の顧客と話す:顧客と直接話すことで、潜在顧客に対する思い込みを検証したり、誤りに気付いたりすることができます。アンケートを作成する、商品レビューを依頼するメールを送る、個人的な電話インタビューを予約するといった方法を試してみましょう。
     

  • ソーシャルメディアを確認する:顧客や見込み客が、自社ブランドや類似ブランドについて、オンラインでどのような発言をしているかを把握することができます。競合他社が発信している内容や、彼らが行った顧客調査結果なども参考にしましょう。
     

  • 競合他社のホームページを評価する:競合他社が、どのような購買層にメッセージを伝え、価格などのコンテンツを提供しているかを観察します。カスタマーレビューを読み、売れ筋商品を購入している人をチェックするのもおすすめです。

02. 顧客データのパターンを特定する

データを入手したら、特定の顧客とほかの顧客を区別するパターンや共通の特徴を探します。先ほどの例では、ライフスタイルごとに顧客をグループ分けしました。

しかし、居住地域、職業、性格など、ほかの特徴のほうがより重要である場合もあります。最初から複数のペルソナを設定することもできます。あるいは、種類を増やす前に 1 つのペルソナから始めるのもよいでしょう。


 

03. ペルソナのテンプレートを作成する

ペルソナのテンプレートを決め、リサーチ内容を整理して一箇所に表示できるようにしましょう。あなたのビジネスにとってもっとも重要な属性を記入してください。たとえば、あなたのネットショップがほかの企業向け(B2B 向け)であれば、ペルソナには職種、意思決定権、会社に関連する目標などを含めます。一方、B2C のペルソナには、個人的な目標、世帯収入、人間関係などを含めることもできます。
 

ペルソナ設定に含めたい要素

  • 年齢

  • 職業

  • 学歴

  • 人間関係

  • 収入

  • 居住地域

  • 関心・趣味

  • 価値観

  • モチベーション/目標

  • 挑戦していること

  • 心配事

  • 性格の特徴

  • 購買行動

  • お気に入りのデバイスやメディア


 

04. 対策のプランを作成する

ペルソナが設定できたら、さまざまなチャネル(媒体)における販売戦略を策定しましょう。データ主導のアプローチにより、より質の高いコンテンツを提供することができます。それによって顧客の感情に訴え、顧客ロイヤルティを高め、より多くのエンゲージメントを生み出すことができるのです。

ここでは、ペルソナを活用して、パーソナライズされたコンテンツを顧客に提供する方法をいくつか紹介します。

  • ネットショップのデザインとコンテンツ
     
    商品ページやネットショップのデザインを確認し、適切なペルソナに魅力的に感じてもらえるように工夫しましょう。たとえば、「セール」のページと「新着情報」のページで、異なるペルソナにどう焦点を合わせることができるかを考えてみましょう。ネットショップのトラフィック、コンバージョン率、平均注文金額などの要素を見ることで、どのペルソナを優先すべきかを決定することができます。
     

  • 商品の提案と商品群
     
    ペルソナは、顧客の期待に応えるショッピング体験を形成する上で、重要な役割を果たします。たとえば、ファッションの小売業者であれば、さまざまなペルソナ(例:ファッションに敏感な人、外出の多い学生など)に対応した商品カテゴリーを作成することができます。また、それぞれのペルソナにあわせて商品説明を工夫することにも活用できます。
     

  • 広告ターゲティング
     
    ペルソナのデモグラフィック、興味、購買行動に応じてターゲティングを絞り込みます。新しい広告メッセージやフォーマットをテストし、ペルソナを元に悩みや、彼らがどのような価値観や目標をもっとも重視しているのかを洞察します。
     

  • メールマーケティング
     
    パーソナライゼーションには関連性が必要です。メールは、特定のコンテンツを配信するための理想的なプラットフォームです。顧客のペルソナごとにリストをグループ分けし、メッセージやプロモーションを顧客の好みやペインポイントなどに合わせて調整することが可能です。
     

  • インストアエクスペリエンス(店内体験)
     
    実店舗を持っている場合、カスタマージャーニーを理解することで、回遊性のある店舗のレイアウト設計が可能になります。また、最高の体験を提供できる店舗スタッフを配置することもできます。
     

  • 販売チャネル
     
    ターゲット顧客はどこで買い物をするのでしょうか?そのような顧客とつながることができ、あなたが販売を行うべきチャネル(例:Amazon、メルカリ、インスタグラムのショッピング機能 など)はほかにもありますか?ソーシャルコマースを導入し、マルチチャネル販売へとビジネスを拡大することも検討しましょう。

05. 測定と最適化を行う

ペルソナは生きた資料だということを忘れないでください。ビジネスの成長や流行の変化とともに、顧客の好みや気質も進化していきます。マーケティングの成果をモニタリングし、時間をかけてペルソナを更新していくようにしましょう。

プロからのアドバイス:マーケティング予算が十分ある場合は、フォーカスグループを作り、マーケティングやコンテンツのアイデアについて、A/B テストを実施してみましょう。それぞれのオーディエンスが何を求めているのかを深く洞察し、実践的なアプローチによるリアルタイムのフィードバックを得ることができます。最初に考えたマーケティングのアイデアがうまくいかなかったり、コンテンツがあるペルソナを惹きつけたとしても、別のペルソナを遠ざけてしまうこともあります。


 

まとめ

あらゆる顧客のタイプごとにペルソナを作成するのは大変な作業です。また、正確にペルソナを定義するためのデータ収集にも時間がかかります。まずは、ペルソナ作成のための情報収集からはじめ、実際にプロセスを始めることが重要です。

ペルソナを作成することができれば、ネットショップのマーケティング戦略や売り上げアップのための施策に活用できるでしょう。

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編集者:Miyuki Shimose

ブログ コンテンツマネージャー