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カスタマージャーニとは?EC運営者が知っておきたいマーケティングの基礎


カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニーとは、「顧客が商品を購入するまでの道筋」のことをいいます。ネットショップの開設を考えているなら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

最近、オンラインで何か買い物をした時のことを思い出してみましょう。「購入する」をクリックするまでに、どれほどの時間がかかりましたか?購入を決めるまでに、どのような広告やサイト、メールを確認しましたか?


ここでは、Eコマース( EC ) におけるカスタマージャーニーとは何か、「カスタマージャーニーマップ」はどうやって作成するのかなど、ネットショップを成長させるためのマーケティングの基礎を、初めての方にもわかりやすく解説します。


EC におけるカスタマージャーニーとマップの作り方



カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客がブランドを認知した瞬間から、購入にいたるまでの道のりをまとめたフレームのことをいいます。

潜在顧客は商品を購入するまでに、何気なく生活し、考えを変えながら購入にたどり着きます。スマホでネットサーフィングをしたり、Youtube をみたりするなかで、無数の広告を目にし、最終的にAmazon やあなたのサイト、そして競合他社のショップで買い物をします。


このような具体的なプロセスをひとつひとつ、洗い出し、オンラインとオフラインの両方において顧客の動きを予測することで、EC ビジネスにおいて特に重要な「顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)」をより充実させることができます。


Eコマースマーケティングでは、包括的にカスタマージャーニーの主要なフェーズとタッチポイントを理解して、顧客にベストなタイミングでアプローチし、購入するチャンスを増やす方法を見極めることが重要です。


カスタマージャーニーを構成する 5 つのフェーズ


01. 認知


潜在顧客がブランドに気づく段階です。広告、ソーシャルメディア、口コミ、検索エンジンなどを通じ、商品やサービスを認知します。しかし、先にもお伝えしたように、多くの人はすぐに購入にはいたりません。この段階では、購入をまったく考えていない人が大半です。

この段階では、顧客がどんなふうにブランドを見つけたのか、どんな人たちなのか、ということをしっかり理解し、どのような潜在ニーズがあるのか分析しましょう。

  • 理想の顧客像、いわゆるペルソナと合致していますか?

  • デモグラフィック(性別、年齢、地域、所得、家族構成など)により、訪問者の行動に違いはありますか?

ここでは、顧客からブランド認知を獲得したということがポイントです。アクションを起こす絶好のタイミングだと言えるでしょう。ターゲットを再設定し、顧客の興味をさらに掘り下げ、最も関連性の高い商品へと導きましょう。

02. 比較検討


この段階では、顧客は商品に興味があり、どの商品なら買う価値があるのか検討している状態です。

競合サイトと比較しながら、「もっと他の選択肢はないかなぁ」と探し続けている人もいるでしょう。

  • 顧客がどの商品ページに時間を費やしているのか

  • どの商品を比較しているのか

  • どのブランドに注目しているのか

これらの点を追跡する必要があります。ネットショップは、実際に商品に触れることができないため、商品説明を工夫することも重要な施策の一つです。自社商品の方が優れていると納得してもらうために、ブランドへの信頼感を築き、購買意欲を高めるための施策を考えましょう。

例えば、ブランドイメージを体現する自社 EC サイトを開設することで、競合サイトと差別化し、購買意欲を高めることができるでしょう。

03. 決定・購入


顧客があなたのサイトで購入することに決めた段階です。購入方法がわかりやすく信頼できる決済方法を提供していることが前提です。このフェーズで一番大切なことは、決済の流れをシームレスにすることです。

  • シンプルな支払いフローの構築

  • 複数の安全な支払いオプションの提供

  • 返品ポリシーの説明

  • 商品がいつ届くのか

  • 購入に伴う手数料

丁寧な顧客対応とサポートを購入者が実感できるよう、必要な情報をすべて提供し、注文キャンセルを招くような不備や情報不足がないよう注意しましょう。

04. 再購入


一度購入した人がリピーターとして定着することが一番の理想です。売上を伸ばす上でも重要となります。優れたカスタマーサービス、素早い発送などにより、ポジティブな顧客体験を提供することができます。初めての購入をした顧客がいれば、その購入者がリピーターになるように継続してコミュニケーションを取ることがおすすめです。再購入を促すために、クーポンや割引を提供したり、会員限定商品などのインセンティブ戦略を取り入れましょう。

05. 拡散・推奨


カスタマージャーニーの最終段階にいる購買者が、商品とサービスに非常に満足した場合、友人や家族、SNSなどで、ビジネスを紹介してくれるかもしれません。このような行動を推奨するために、積極的に働きかける必要があります。ギフトの提供、感謝メッセージなどがそれにあたります。口コミは、他のどんなマーケティング戦略よりも、顧客に寄り添った信頼できる情報として受け取ってもらうことができます。さまざまな施策を練って、ブランドアンバサダーを育てましょう。

購入者がSNSで商品を紹介


カスタマージャーニーに影響を与える要因

顧客は、流動的で常に変化するものです。そして、個人的な好み、生まれ育った環境、他ブランドとのこれまでの関係など、さまざまな要因が購買行動を形づくります。

顧客とブランドとの関わり方を追跡しながら、以下のような事項の動きが、カスタマージャーニーにどう影響を及ぼすかについて考え、マーケティング戦略に落とし込みましょう。

  • 社会的および経済的変化 - 例として、感染症の拡大や世界経済の悪化などが挙げられるでしょう。企業も消費者も、これまでとは異なる状況に適応するために、購買行動が大きく変化するでしょう。世界情勢が不安定で将来への不安がある場合には、消費者はより慎重に行動します。

  • オンラインとオフラインのショッピングの融合 - オムニチャネル販売は、オフラインとオンラインの販売経路を統一して管理する販売戦略のことです。例えば、EC店舗と実店舗でデータを共有し、在庫管理を一元化することや、実店舗では試着や商品のショールームだけを担当し、購入はオンラインで行ってもらうといった施策が考えられます。オンラインとオフラインのタッチポイントがうまく混ざり合ったカスタマージャーニーをめざしましょう。

  • 企業責任 (CRO)- 企業は利益を追求するだけでなく、企業を支える社会に貢献するべきとする期待が年々高まっています。ブランドとして社会貢献活動が行われていなかったり、企業理念が顧客の価値観がとずれていたりする場合、カスタマージャーニーのフェーズにかかわらず、ブランドに対するエンゲージメントが低くなる可能性があります。

  • 選択肢の多さによる決定麻痺 - 実は商品の選択肢が多すぎると、逆に顧客を疲れさせてしまうことにもなりかねません。これを行動経済学では「決定麻痺」といいます。それを防ぐためにも、顧客が探しているものがどこにあるのか、わかりやすいサイトの構成にしましょう。不要な情報が取り除かれ、少数の似た商品と比較できるサイトデザインにすることがおすすめです。選択肢が多すぎたり、使いずらいサイトデザインだと、顧客の購買意欲をそぐことになってしまいます。



カスタマージャーニーマップが必要な理由

カスタマージャーニーマップは完璧なツールなのかと問われれば、必ずしもそうとは言い切れません。しかし、その有用性は非常に高く、カスタマージャーニマップを作成することで、営業、広報、商品開発などのチームが共通の認識を持って施策を考え、実行に移すことができます。

カスタマージャーニーマップは作成して終わりではなく、定期的に更新しながら、以下のような目的を達成するための強力なツールとなります。

  • 顧客とブランドとの関わり方の明確化 - カスタマージャーニーを慎重にマップ化することで、顧客とその習慣をはっきりと理解することができます。カスタマージャーニーマップにより、ビジネス視点ではなく、顧客目線で物事を見ることができるようになる。

  • 顧客維持率の向上 - カスタマージャーニーマップは、見込み客が、いつ、なぜ離れてしまったかを特定するのに役立ちます。たとえば、適切ではない表現や、誤ったタイミングで表示されたメッセージは、顧客の行動を後退させる原因のひとつになってしまいます。マップをもとに戦略を見直し、顧客体験の摩擦点を減らすことで、顧客を維持することができます。

  • 焦点と効率性の向上 - カスタマージャーニーマップを作成するには、マーケティングキャンペーンにはじまり、顧客がブランドと接する可能性のあるすべてのタッチポイントにいたるまで、さまざまな項目を洗い出す必要があります。そこから、各チャネルの健全性や、どのタッチポイントを誰が所有しているかを判断し、施策ごとの現実的な目標を決定することができるのです。

  • 収益の増加 - 顧客とブランドとの関わり方について詳しく知ることは、とても重要な作業です。この理解をもとに、コミュニケーションやコンテンツ、オファーやプロモーションなどをより的確に最適化することができ、売上の向上につながっていきます。顧客との関わりにおいて、思い込みや古い習慣に依存してしまうことがよくありますが、カスタマージャーニーマップを用いれば、これまで気づかなかった先入観やペインポイントの存在を明らかにすることができます。


ECサイトテンプレート


カスタマージャーニーマップの作り方

では実際に、どのように EC におけるカスタマージャーニーをマップ化するのでしょうか。ここでは、その 5 つのステップを紹介します。


ステップ 1. ペルソナの設定


マップを作成する前に、ターゲットとなる顧客像をきちんと定めていきます。増やしたいターゲットは誰ですか? 親世代、若年層、それとも、特定の趣味を持つ顧客?

ペルソナには、できるだけ詳しい情報を含める必要があります。「こうかな」というような思い込みや予想、「こうなったらいいな」というような理想とするデータではなく、必ず実際のデータをもとに仮説を立てていきましょう。さまざまなステークホルダーに話を聞く、顧客にインタビューする、ソーシャルメディアを利用する、ユーザーテストを実施するなど、さまざまな方法で情報を収集します。

自分が「こうだと思う」顧客の姿にもとづいて、ペルソナを設定することは避けましょう。ペルソナは、彼らが集まる場所などから得た情報や、ターゲットと直接話して収集した実際のデータを使って設定することがとても重要なのです。


ステップ 2. マップの分析対象の決定


カスタマージャーニーマップを作成するにあたり、どの顧客グループを分析するかを決定します。ターゲットとする顧客のタイプによって、マップの枠組みや見え方も異なります。一度にすべての顧客グループに対応しようとすると、データが混乱してしまうため、ターゲットの絞り込みが必要です。

まず、最も一般的な顧客グループ(すなわち最も価値のある、あるいは最も大きい規模のコホート)を選びます。このように細分化した上でデータを収集すれば、カスタマージャーニーマップをもとに、意味のあるアクションがとりやすくなります。


ステップ 3. オンラインでの行動分析


最初のステップとして、ウェブサイトの行動分析をします。訪問者がサイトに入ってきた経路としてあがった上位ページ、退出やバウンスが発生したページ、そして、最もコンバージョンの高いページを追跡します。これらのデータを調べるには、Google アナリティクスや Wix アクセス解析のようなツールの活用がおすすめです。


さらに、居住地域、新規ユーザーとリピーターの区分、使用デバイスといった、ペルソナと関連性の高い項目にそって、より具体的に絞り込んだデータを確認していきます。


こうした分析のステップをふんでみると、顧客が離れていくのはどのタイミングか、サイトを最適化すべきなのはどこかといったことが、きっとだんだん見えてくるはずです。また、購入者がサイト内のどのページに滞在しているかを追跡すれば、なにを購入したいのかを知ることもできます(ただし、サイト内のページ同士の繋がり具合によって、追跡結果に影響を及ぼす可能性があることに留意してください)。


ステップ 4. タッチポイントのリストアップ


ターゲットとなる購入者層との、オンライン、オフラインを含めたすべてのタッチポイントをリストアップしてみましょう。


タッチポイントの具体例

  • ブログ

  • SNS

  • 広告

  • 出版物

  • ポップアップストア

  • サイトバナー

  • 実店舗

  • ネットショップ

  • ヘルプセンター

  • 季節キャンペーン

リストが作成できたら、各チャネルにおいて、顧客がとりうる行動を検討していきます。たとえば、ブログにアクセスした人がいるとします。この訪問者は、メルマガに登録したり、宣伝しているコンテンツをダウンロードしたりするかもしれません。他のブログに移動したり、デモをリクエストしたりする可能性もあります。あるいは、バウンスしてしまうことだってありえます。


このステップの目的は、ひとつのページに含まれるすべての CTA と、訪問者の行動に影響を与えるかもしれないリンクやメッセージを監査することです。現実が期待と一致しているかどうかも検証してください。

Google アナリティクスWix アクセス解析、その他のソースから収集したデータと、予想される行動のリストを比較したとき、その結果は一致しているでしょうか? 各チャネルの目的をよりクリアにし、訪問者の気持ちや意図と自社の目標を一致させるには、どうすればよいかを検討しましょう。


ステップ 5. カスタマージャーニーの可視化


最後のステップとして、情報収集し検討を重ねた内容を、参照しやすいひとつのマップに落とし込みます。カスタマージャーニーマップの範囲は、目的によって変えることができます。たとえば、以下のようにカスタマージャーニー全体を表示することもできれば、改善の余地があると思われる部分だけに焦点を絞ることもできます。


マップには、顧客の感情、行動、各フェーズにおける組織内のチームの役割と責任など、あらゆることが網羅されます。顧客の行動を予測するツールとして、そして、チーム間のズレをなくし、認識を共有するためのツールとして、マップはいずれの役割も果たすことができます。



カスタマージャーニーマップの種類

  • 現状マップ - 顧客が現在どのようにブランドと関わっているかを示します。異なる顧客セグメントにおいて、行動を比較するのに役立ちます。また、商品の見つけ方によって、顧客の感情や行動がどう違っているのか、といったことを検証するのにも活用できます。

  • 未来像マップ - 顧客に望む理想のジャーニーを示したものです。具体的なゴールを設定し、カスタマージャーニーの重要なタッチポイントを特定することで、チームの結束を高めることができます。

  • デイマップ( 1 日のマップ) - これは、顧客の日々の活動やライフスタイルのすべてを理解し、新しい有意義なタッチポイントを開発することを目的としています。現状マップに似ていますが、顧客とのインタラクションが始点および終点ではないところが異なります。

  • サービスブループリント - カスタマージャーニーをサポートするために、チームがどのように機能しているかを確認し、最適化することが目的のマップです。これは上記マップのひとつを簡略化し、それぞれのフェーズで関係するチームメンバー、技術、プロセスに関する詳細を追加します。


カスタマージャーニーマップの作成例


ペット用品のネットショップを経営しているとしましょう。コア顧客(犬を飼い始めた人)がどのようにブランドと関わっているかを知るために、現状マップの作成を検討しています。この場合、例として、以下のようなカスタマージャーニーマップが考えられます。


フェーズ

認知

比較検討

購入決定

再購入

共有拡散

平均タイムフレーム

​1〜3日

​4日目

5日目

6〜24日目

​25日目

顧客の目標

子犬の上手な育て方を学ぶ

愛犬の QOLを向上させる商品を探す

子犬が喜び、反応が良さそう商品を試す

期待通りの状態や期間で商品を受け取り、フィードバックを行い、より多くの商品を探索する

他の愛犬家とつながり、ブランドからのサポートを感じる

タッチポイント

​ブログInstagram

Facebook

カンファレンス

リターゲティング広告、メールマガジン、ウェブサイト

​ウェブサイト、アプリ、発注メール

​メルマガ

カスタマーサポート

ウェブサイト

Instagram

Facebook

TikTok

ウェブサイト、対面式イベント、Instagram

Facebook

TikTok

顧客の感情

ペットに最高の暮らしとトレーニングを与えることに意欲的である

​ペットに良さそうな商品に興味はあるが、投資する価値があるかどうかわからない

​選択肢の多さに圧倒されつつも、購入意欲が湧いている

​商品に満足し、ブランドを高く評価している、あるいは返品を希望している

​愛犬家同士のつながりや、ロイヤルカスタマーとしての謝礼に喜んでいる

ページ

/blog/puppy-potty-training

/category/dogs

/products/dog-food


/subscriptions/dog-food

/events/puppy-celebration-day

​ビジネス目標

​教材の提供、ブランドの権威付け、メルマガ登録など

​信頼関係の構築、商品の紹介

​購入意欲の喚起、カゴ落ち対策

​再注文の簡易化

​忠実なフォロワーによるコミュニティの構築


カスタマージャーニーマップを活用することで、効果的なキャンペーン、商品、そしてマーケティングチャネルを把握することができます。より詳細な調査を進めたり、新しいキャンペーンを立ち上げたりする際、このマップをもとに発展させていくことができます。

カスタマージャーニーマップを活用してSNSキャンペーンを作成


はじめよう

EC におけるカスタマージャーニーマップの作り方に正解はありません。ここで紹介するフレームワークは、あくまでも出発点をサポートするためのものです。一度ベースラインを作ってしまば、あとはビジネスに合わせてカスタマージャーニーマップを更新し、再構築していくことができます。

カスタマージャーニーは常に進化していくものです。四半期に一度、または少なくとも半年に一度は、カスタマージャーニーマップを見直し、アップデートを行いましょう。カスタマージャーニーにおける摩擦を減らし、仮説でなく、調査した実際のデータにもとづき作成し、検証することを忘れないでください。


編集者:Miyuki Shimose ブログ コンテンツマネージャー

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