執筆者:Matthew L. Kaminsky
サイトのターゲットと目的を絞り込んだら、次に考えるべきは「読者にメリットを提供し、自身のビジネスゴールを達成するためには、サイト構造とコンテンツにどのような工夫が必要か」ということです。
Web サイトの目的はより多くのコンバージョンを獲得することです。コンバージョンの定義は、新規クライアント登録、製品の購入、実店舗への訪問など、サイトごとに異なります。あなたのビジネスが最終的に求めていることに応じて、Web サイトの最適な構造を考えることが大切です。
目標の達成に向けたサイト設定
Web サイトはマーケティングのための重要なツールです。全体的なビジネスゴールの達成に向けてどう活用できるかを考えていきましょう。サイトの構造、コンテンツ、あなたのサイトがどのように検索されているかといった傾向も考慮する必要があります。
販売ファネルをふまえてサイトを構築する
販売ファネルはマーケティングの基本となる概念です。購入者がブランドと最初に接触してから行動を起こすまでの過程(カスタマージャーニー)を指します。
販売ファネルの一番上の部分は、幅広いオーディエンスの間でビジネスの認知度を高めていく段階です。ファネルのこの地点では、あなたのブランドはまだ「消費者に紹介された」のみ。ファネルの下層に近づくにつれて、一部のユーザーは離脱しますが、残ってコンバージョンにつながるユーザーもいます。こうして、ファネルが進むにつれて見込み客が絞り込まれていきます。コンバージョンを達成する人数は、Web サイトのコンテンツと構造がどの程度効果的に組み合わされているかによって異なります。
サイト構造を組み立てる際は、ユーザーが直感的に操作できるかどうかを重視しましょう。サイト内で欲しい情報を見つけやすいことが第一だからです。使いやすいメニューバーだけでなく、Web サイトのすべてのページに CTA を配置することも大切です。CTA はユーザーアクションを促し、販売ファネルに沿ってコンバージョンに導く大切な要素です。
サイト訪問者は、必ずしもWeb サイトのトップページから流入してくるとは限りません。Google はユーザーが検索した用語に応じて、最も関連性の高いページを表示するからです。そのため、すべてのページがいわばランディングページとしての役割を果たします。
最初に開かれたのがブログ記事でも製品ページでも、そこからユーザーのアクションを引き出し、ビジネスゴールを達成するために適切な CTA ボタンを配置するよう心がけましょう。
コンテンツの内容を検討する
Web サイトのコンテンツを検討するときは、それぞれのページの性質によって、カスタマージャーニーの中で該当する位置が異なるということを頭に置いておきましょう。
とあるユーザーが「使い方」を解説するブログ記事にアクセスした際に、すぐにセールストークを切り出すのは避けたいところです。この時点でユーザーはおそらくまだ認知段階にあり、製品を購入するかは考えていない可能性が高いからです。そのため、まずは豊富な情報を掲載したお役立ち記事を通じてページを印象付けることに注力しましょう。新しい見込み客を育てたい場合は、「もっと読む」やニュースレターへの新規登録を促す CTA を配置するのも良いでしょう。こうして関連性を印象付けておくことで、ユーザーが今後同様の製品やサービスを探す場合にまずあなたのブランドを連想してもらえる可能性が高くなります。
一方で、製品ページを読んでいるユーザーはおそらく販売ファネルの下部に位置しています。目的意識をもってサイトを訪れた、または Google 検索結果から直接到達したかに関係なく、これらのユーザーは製品を購入する準備ができているかもしれません。したがって、製品ページでは「売ること」に重点を置いた情報がユーザーと企業側の双方にとって有益となります。
人々が特定のページにアクセスするのには必ず意図と理由があります。ユーザーと調和して彼らのニーズに応えれば、コンバージョンにつながるコンテンツを作成しやすくなります。
目標達成における SEO の役割
結局のところ、顧客が販売ファネルをたどる過程は、ユーザーの検索意図とほぼ一致しています。したがって、ユーザーのニーズに合わせてコンテンツを提供する場合は、販売ファネルと検索順位の両方を最適化する必要があります。
Web サイトの各ページはそれぞれ異なる種類の検索意図に対応しており、この意図は購入者が現在ジャーニーのどの段階にいるかによって異なります。
たとえば、 Google で「パンケーキの作り方」を検索したユーザーの意図は情報目的である場合がほとんどです。そのため、レシピ形式で書かれた製品詳細や売り込み型のコンテンツは好まれないでしょう。逆に、商業的な調査や実際に購入の意思がある検索にはこれらのページが適しています。
ユーザー意図に無関係なコンテンツを提供すると、検索の可視性が低下するだけでなく、潜在顧客を永久に失ってしまう可能性も高くなります。
検索意図が重要な理由
ユーザーがトップページに直接アクセスしてサイトを閲覧し、コンバージョンを達成することもあります。もちろん、これが理想です。しかしほとんどの場合、ユーザーがコンバージョンに向けて販売ファネルを進むにはしばらく時間がかかります。
リードの育成には数か月かかる場合もあります。この期間中、ユーザーはたいてい Google であなたのサイトを何度も検索することが予想されます。そのため、カスタマージャーニーの各ステージでユーザーを引き付けるコンテンツを用意しておくことが重要です。また、Google やその他の検索エンジン向けに各ページとコンテンツを最適化することも重要です。
たとえば、結婚式用の花を専門に扱う専門店「フローリスト マリ」を例に考えてみましょう。結婚式の相談を受けるのはたいてい本番の数か月前、遅くとも数日前です。まず、ウェディングフラワーやパッケージのプロダクトページを用意すると共に、ブログ記事も公開して、ウェディングプランニングの初期段階にいるすべての人への認知度向上を図ります。ブログには「ウェディングブーケのアイデア」や「ウェディングフラワーの選び方」などの記事を掲載します。
後の段階でブログの読者から確実にコンバージョンを得られるように、ニュースレターの購読登録や PDF でダウンロード可能なプランニングガイドなども提供します。こうして認知度を高めておくことで、見込み客がいざ心を決めたときにブランドの名前(ここでは「フローリスト マリ」)を検索する可能性が高まります。あるいは、検索結果画面にブランド名が表示された場合は、優先的にそれに気づいてくれるかもしれません。
特定の商品を販売しない Web サイトでも、販売ファネルのコンセプトを踏襲してフォームの送信や予約などの他のコンバージョンを促進することができます。たとえば、窓の専門家という窓の施工会社があるとします。窓の価格はさまざまな要素に依存するため、Web サイトで単純に価格を提示することができません。代わりに、ユーザーには個々の見積もりについて営業チームに連絡するよう促します。
新しい「窓」を買うのは大きな決断で、価格もそれなりにかさみます。そのため、カスタマージャーニー全体でユーザーを何度もウェブサイトに惹きつける必要が生じてきます。そのため、この場合はファネルの初期段階でユーザーに役立つ記事とガイドを作成します。このコンテンツに「もっと読む」、「ショールームにアクセス」、「カタログを表示」などの CTA ボタンを配置するのです。
製品カタログは販売ファネルのさらに下の層をターゲットにしており、ユーザーにフォームに記入して無料の見積もりを取得するよう促しています。
同じ見込み客でも、検索内容によってはサイトにアクセスするたびに別のページから流入することも考えられます。すべてのページにコンバージョンを促進する CTA が必要なのはこのためです。
各 Web ページのコンテンツを作成するときは、以下の2つの点を考慮しましょう。
ユーザーは何を探しているのか?
次の段階として、ユーザーをどこに誘導すべきなのか?
自身のサイトのコンテンツをユーザーの意図に「関連」させておくことで、検索順位アップと販売ファネルの最適化が狙えます。
認識フェーズと「情報型」検索
販売ファネルの一番上にあるのは認識フェーズです。これは、あなたのビジネスを新しいユーザー層に紹介し、リードを生成する段階を指します。ファネルのこのフェーズは、情報収集を目的とした検索に対応しています。
そのため、現時点で商品やサービスの購入を進めるのは時期尚早です。検索者は情報を求めているだけなので、質の高い有益なコンテンツの作成に注力する必要があります。
食料品店などの場合はレシピの共有、レイキ治療に特化したビジネスの場合は「レイキとは」や「レイキの利点は何か」など、検索されそうなコンテンツを作成すると良いでしょう。
ファネルの早い段階でユーザーアクションが欲しい場合は、ニュースレターへの登録や、ソーシャルメディアのフォローが最適です。これらのアクションを通じてリードを醸成することで、ファネルの下層に進んでもらえる可能性が高まります。
興味フェーズと「案内型」検索
関心フェーズにいるユーザーはあなたのビジネスを認識していますが、まだ購入する準備はできていません。しかし、あなたのビジネスと製品についてもっと知りたいと思っています。
この段階での検索意図は「情報収集」に加えて、特定のサイトやページを見つけるための「案内」型が多くなります。特に、ユーザーが訪問したいサイトを決めている場合は後者の可能性が高いといえます。この段階で新しい見込み客との信頼関係を築くために、Web サイトの内容も推敲しましょう。ホーム、会社概要、お問い合わせページなどのコアコンテンツ全体に一貫したブランドメッセージを提示するのも効果的です。
決断フェーズと「購入意欲型」検索
販売ファネルの決断フェーズは、購入を検討しているが、まだ複数のオプションを調査しているという段階です。そのため、ファネルのこの段階にいる見込み客は商品を買う意思をもって Google 検索を行い、購入すべき商品のリサーチを行う傾向があります。
このフェーズでは「最高品質 プロテインパウダー」、「複層ガラス 三重ガラス 違い」、「フローリスト マリ レビュー」などの用語が検索されます。プロダクトページ、事例紹介、レビュー、お客様の声などのコンテンツが閲覧される可能性もあります。
ユーザーには明確な購入の意図があるため、この段階のコンテンツには販売を重視した CTA ボタンを含めるようにしましょう。
コンバージョンフェーズと「取引型」検索
ファネルのこの時点では、ユーザーは購入したいものを既に決めています。すでにあなたのウェブサイトに到達しているかもしれませんし、あるいは「赤いバラを買う」、「サッシの割引」、「フローリスト マリで買い物」のようなフレーズを Google で検索しているかもしれません。この場合の検索結果には、製品のクイック購入、見積もりの取得、折り返し電話の予約など、コンバージョンに直結するページが多く表示されます。
サイトが目標を達成しているかどうかを検証する
特定の指標を追跡することで、時間の経過に伴うウェブサイトのパフォーマンスを簡単に測定し、うまく機能している点と改善が必要な点を確認することができます。
KPI(重要業績評価指標)は、ビジネスの成功の指針となる重要な指標です。ビジネスゴールとマーケティング施策をつなぐ指標として KPI を活用することで、Web サイトが全体的な目標にどう貢献しているかを把握することができます。
KPI を設定して目標を追跡する
選ぶべき KPI は目標の種類によって異なりますが、常に次のことを考慮しましょう。
測定可能であること。
ビジネスの成功に不可欠な要素を追跡できること。
ビジネスゴールと深く結びついていること。
一貫して適用できること。
販売ファネルの各ステージで KPI を設定すれば、Web サイトのどの部分が業績に貢献しているか、およびどのページに改善が必要かを効果的に絞り込むことができます。
Web サイトでの売上が落ちている場合、チェックアウトのプロセスに問題があるかもしれません。または、ブランドの認知度が足りず、販売ファネルの上部に到達するユーザー数がそもそも少ない場合もあります。問題の特定に役立つ KPI の例は次の通りです。
販売ファネル上部での KPI
SEO はあなたのビジネスをまだ認知していない人々にアプローチし、カスタマージャーニーを誘発するのに最適な方法です。SEO 戦略がうまく機能していない場合は販売ファネルの上部に入るユーザーがそもそも少ないため、その後にコンバージョンにつながる人数も少なくなります。
ビジネスに対する認知度を上げるためには、以下のような KPI が有効です。
検索順位: Google の検索結果に表示される Web ページの数を追跡することで、コンテンツの品質とキーワード戦略の成功状況を把握できます。ユーザーのニーズと検索意図を理解できていればランキング上位に表示されるからです。
オーガニック検索からのトラフィック:Google の検索結果からウェブサイトにアクセスした訪問者の数を表します。
新規訪問者の数:認知度を高めるための戦略がうまく機能していれば、この値は大きく増加します。
KPI で販売ファネルの中間(MOFU)を追跡する
ユーザーがあなたのビジネスを認知したら、次はサービス内容に興味を持ってもらう段階です。検索順位とオーガニック検索からのトラフィックが好調である場合は、以下の KPI を追跡して訪問者がコンバージョンに向かっていることを確認しましょう。
2回目以降の訪問数:インターネット上でオーディエンスを構築および維持する上で、Web サイトがどれだけの効果を発揮しているかがわかります。
ページビュー:訪問中に閲覧された平均ページ数は、Web サイトのコンテンツがどれほど興味深いかを示す重要な指標となります。これが低い場合は、ウェブサイトの構造、ナビゲーション、CTA の改善を検討する必要があるかもしれません。
直帰率: 1ページのみ閲覧し、すぐ離脱した訪問者の割合です。直帰率が非常に高い場合は、コンテンツがユーザーのニーズを満たしていない可能性があります。
メール購読登録: Google アナリティクスで追跡可能な KPI です。ブログのコンテンツに対するエンゲージメントや有用性を示す指標になります。Web サイトのどこかにこのアクションを促す CTA が存在する場合は、必ず KPI に組み込んでおきましょう。
指名検索数:あなたの会社名が毎月検索された回数のことです。あなたのビジネスを認知している、またはビジネスに興味を持っている人の数を示します。これが増加している場合、SEO 戦略はうまく機能しているといえます。この指標はほとんどのキーワードツールで使用できます。または、Google トレンドを使用して追跡することもできます。
Matthew Kaminsky - Wix SEO エキスパート & オンラインインストラクター
Matthew は Wix の SEO 教育イニシアチブを担当しており、SEO を通じたサイトの可視性向上をサポートしています。
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