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SEO ローカライズと SEO ウェブサイト翻訳の方法




今回は、SEO ローカライズと SEO ウェブサイト翻訳の例として、海外展開の強化を図りたい多国籍企業 X 社をご紹介します。


X 社のマーケティングチームは地域ごとにターゲットを絞って展開したいと思っていましたが、多言語 SEO に関しては、時間がかかりすぎるためハードルが高いと感じていました。また、日本語から英語にローカライズしたウェブサイトではすでに最適化された SEO 対策を行っていたので、コンテンツを他の言語に直訳するだけでも十分な検索トラフィックが得られるのではないか?という観測でした。 そこで、X 社は最近の役員戦略会議で 、コンテンツは英語で作成し、他の言語に関しては Google 翻訳を使用した方がより効率的であると決定を下しました。そうすることで、より技術的なことにリソースを割くことができると考えたからです。これは戦略的な良い決断でしょうか?


残念ながら、答えは NO です。


次の会議で地域担当の営業マネージャーは、各言語のウェブサイトからリードを獲得できていないことを問題点にあげました。実際、翻訳されたページはどれも順位が上がらず、コンバージョンに至っていませんでした。なぜ、このような結果になったのでしょうか?

X 社の問題点は、SEO ローカライズではなく、翻訳に重きを置いてしまったという点です。


要因は、ローカライズ SEO を実施せず、英語コンテンツをコピーして翻訳して単に貼り付け、トラフィックが増えるのを待っていたことです。これは多言語ウェブサイトを扱う際にかなりよくあるシナリオです。



しかしながら、この X 社の方法では決して成功しません!


ウェブサイトを利用してグローバルビジネスを促進し、上位にランクインしてその国のターゲットとなるユーザーに訴求し、最終的にビジネスに収益をもたらすことは十分に可能です。そのためには、単純なコンテンツ翻訳ではなくローカライズ SEO が必要になります。

ここで、グローバル SEO を成功させるための下記の項目を説明します。



  • 翻訳における SEO 対策とは?

  • ローカライズ SEO とは?

  • ローカライズ SEO と翻訳の違い

  • キーワードのローカライズの活用方法

  • キーワードのローカライズの例



ローカライズ SEO の目的とは?


SEO ウェブサイト翻訳は、ウェブサイトのコンテンツをある言語から別の言語に直訳することに重点を置いており、多くの場合、機械翻訳によって行われます。SEO のウェブサイト翻訳の目的は、特定の言語で特定の地域内のオーディエンスにリーチし、ランキングを向上させることです。これは通常、直訳することによって行われます。



例えば、ドイツ北部のハンブルクに住む人々に対してリーチを獲得するために、英語のコンテンツを Google 翻訳を使用してドイツ語に翻訳してみましょう。ネイティブによる翻訳ではないため、英語の原文と同じ意図を持つものではなく、不自然な文章になっている場合があります。下記に例を挙げてみましょう。

​英語

ドイツ語

Stop beating around the bush

直訳: Höre auf, um den Busch zu schlagen

Stop beating around the bush

ローカライズされた翻訳: Höre auf, um den heißen Brei zu reden


ドイツ出身の方なら、この直訳が意味をなさないことはすぐにお分かりいただけると思います。


また、ローカライズSEOとは、ある言語から別の言語へ言葉を適合させるという点では翻訳と同じ基礎概念を持っていますが、ネイティブスピーカーの SEO 専門家が行うことで、以下のことを確実に行います。



  • キーワードは現地のオーディエンスに関連するものである

  • キーワードは、特定の市場における全体的なSEO順位に影響を与えるために、十分な検索ボリュームを持つ

  • キーワードが現地の検索意図に合致している

  • 見出し、URL、メタデータ、コピーは、現地のキーワードに最適化され、特定のオーディエンスをターゲットにしている

  • コンテンツは適切なトーンで書かれている

  • コンテンツは、現地のメッセージングガイドラインを遵守している

  • 多言語サイトに正しい翻訳の SEO 対策が施されている



簡単に言うと、ローカライズ SEO には、SEO 翻訳にはない重要な調査とプロセスが含まれています。翻訳だけに頼っていては、ローカライズされたキーワードで上位表示され、地域のオーディエンスをコンバージョンに導くコンテンツを効果的に作成する大きなチャンスを逃すことになるのです。



ローカライズ SEO のメリットとは?


グローバルなローカライズ SEO のアプローチは、ビジネスを支援するより効果的な選択肢になります。


  1. 新規市場への効率的な開拓戦略 :メッセージは、地域の調査、メッセージングガイドライン、検索意図に基づいて修正されるため、読む人の心に深く響きます。そして、オーディエンスが「自分たちの言葉で話している」「自分たちのニーズに応えている」と感じれば、コンバージョンにつながる可能性はぐっと高まります。このようなコンバージョンは、ビジネスの成長を後押しします(そもそも、海外に進出する理由はそのためではないでしょうか)。

  2. 全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させる: 誰かがあなたのウェブサイトにアクセスしたとき、滞在時間はどれくらいで、どのページを見ていて、コンバージョンに至ったかどうかを把握することが重要です。SEO ローカライズは、直帰率を下げ、ウェブサイトを閲覧する平均時間を増やします。これらの指標の向上は、コンバージョン率の向上と密接に関係しています。

市場別に対応したオーガニック検索の成長戦略:コンテンツを単に翻訳しただけでは、順位が保証されるわけではありません。米国で大量の検索ボリュームがあるキーワードが、イタリアでは全く検索ボリュームがない場合もあります。フランスでは、カナダのフランス語とはまったく異なるフレーズで表現されている可能性もあります(多地域と多言語の違いを考慮しましょう)。理想的なのは、それぞれの市場で、その地域特有の検索意図を活用することを目的とした、独自の SEO 戦略を持つことです。SEO ローカライズを攻略することにより、時間とリソースを費やして作成したコンテンツが、ランキング上位やオーディエンスの共感を呼び、コンバージョンを生み出す可能性を最大限に高めやすくなります。



キーワードのローカライズとは?



ローカライズ SEO の重要な要素であるキーワードのローカライズは、特定の地域市場に関連し、検索ボリュームがある言語と同等のキーワードを調査・特定するプロセスです。キーワードは、SEO 戦略を構築し、コンテンツ制作の優先順位を設定するために使用します。


重要事項:ローカライズされたキーワードがターゲット市場のオーガニックトラフィックに影響を与え、結果としてコンバージョンを生み出すためには、適切な検索ボリュームを持つことが必須となります。多くの場合、キーワードを直接翻訳しても、SEO のパフォーマンスにはほとんど影響がありません。

多言語サイトの管理能力を強化して SEO ローカライズでビジネスを成長させるためには、いかにキーワードのローカライズプロセスに取り組むべきかを検討するために、3 例を紹介します。


検索意図別のキーワードのローカライズ


シナリオ:日本に本社を置くある企業は、非常に人気のある加熱式タバコ製品を販売しています。同社は SEO を駆使してハンガリーに進出したいと考えています。



キーワード

検索ボリューム

市場

加熱式タバコ

2000

日本

fűtött dohány (heated tobacco)

0

ハンガリー

“dohányhevítő” (tobacco heater)

880

ハンガリー


「加熱式タバコ」のハンガリー語直訳を調べたところ、「fűtött dohány」というフレーズは、検索ボリュームがありませんでした。しかし、「dohányhevítő」(tobacco heater)は900件近くの検索ボリュームがありました。若干の言語的な違いはありますが、「dohányhevítő」と「fűtött dohány」というハンガリー語のフレーズを入力したときにユーザーが探している情報は同じで、つまり同じ「検索意図」を持っていることがわかります。


これは、検索ボリュームのあるローカライズされた検索意図にマッチしたキーワードを特定することが、素晴らしいコンテンツの機会となる主要な例です。現地オーディエンスが実際に使用するキーワードをターゲットにすることは、より価値があり、この場合、検索ボリュームの違いを見れば明らかです。


ここでの教訓:各キーワードの現地検索ボリュームをチェックし、類似のフレーズを検討しなければ、言語や文化の微妙な違いにより、貴重なオーガニックトラフィックを失うことになります。


検索ボリューム・競合度別のキーワードのローカライズ


シナリオ:「プロセス管理とは何か」に関するブログをドイツの読者に届けるために、英語からドイツ語にローカライズする必要があります。

キーワード

検索ボリューム

市場

what is process management

390

米国

was ist prozessmanagement

20

ドイツ

何も考慮せずに直訳を見直すと、ドイツでの検索ボリュームは米国の検索ボリュームの数分の一に過ぎず、このキーワードでコンテンツを作るためのリソース投入を躊躇してしまうかもしれません。しかし、今後米国とドイツの競争の度合いを拡大して検討することも必要になってくるでしょう。


米国における「プロセス管理とは何か」の検索結果上位をご紹介します。


Google検索で「What is process management(プロセスマネジメントとは)」と検索した結果のスクリーンショット。monday.com、Indeed、Wikipediaが上位表示。

次に、ドイツにおける「was ist prozessmanagement」の検索結果の上位をご覧ください。


Google検索で「ist prozessmanagement」と検索した結果のスクリーンショット。

両国の結果をさらに下にスクロールすると(長さの関係で画像には表示されていません)、ドイツと比較して、米国でははるかに大きな競合他社がランクインしていることに気づくはずです。実際、ドイツでの「was ist prozessmanagement」のキーワード難易度は 31 で、米国での「what is process management」の 51 よりはるかに低いです。このような観点から、このキーワードでコンテンツを作成すると、ランクインしやすいため、より有利になるということがわかります。


ドイツ語のローカライズされたキーワード群(コンテンツの一部でターゲットにしたいキーワードの関連グループ)を構築することで、この機会をさらに生かすことができます。

キーワード

検索ボリューム

市場

was ist bpm (what is bpm)

70

ドイツ

prozessmanagement definition (process management definition)

480

ドイツ

「wast ist prozessmanagement」と「prozessmanagement definition」の検索意図は同じです。さらに良いことに、「prozessmanagement definition」は英語のキーワードよりも検索ボリュームが多いことがわかります。

ここでの教訓:ランキングのチャンスは市場によって異なるため、時間をかけて深く掘り下げる必要があります。実際、競合他社は通常小規模で、大規模な競合他社のようなウェブサイトの権威がないため、英語よりも現地市場の方が重要なキーワードでランクインしやすいことがよくあります。現地語の検索意図に合致するキーワードを組み合わせれば、SEOの金脈を発見したことになるのです。



メッセージングと法規制別のキーワードのローカライズ


シナリオ :「クラウドファンディングの仕組み」というキーワードで上位表示されている英語の記事があり、それをスペインの読者向けにスペイン語にローカライズしたいとします。

キーワード

検索ボリューム

市場

how does crowdfunding work

590

米国

cómo funciona el crowdfunding

170

スペイン


ここでは、キーワードの直訳が検索意図に合致し、かつ検索ボリュームもある、非常に稀なケースを紹介します。この場合、URL、見出し、メタデータなどを翻訳すればよいのです(ただし、Google翻訳のような自動翻訳サービスに頼るよりも、翻訳者に依頼する方がよいでしょう)。

しかしながら、現地法規制という追加のステップを考慮すべきです。

例えば、スペインの資金調達に関する規制が米国とまったく異なることが分かったとします。この場合、残りのコンテンツを英語からスペイン語に翻訳するだけでは不十分です。その代わりに、スペインでのクラウドファンディングプロセスを調査し、コンテンツがその規制に合致していることを確認する必要があります。


ここでの教訓:SEO翻訳では、国際的なメッセージングや規制は考慮されていません。現地のオーディエンスが本当に必要としている情報を理解するために、翻訳のSEO対策に時間をかけるようにしましょう。誤った情報を提供してトラブルになることは、絶対に避けたいものです。



SEO ローカライズで真の SEO を成功させよう


多言語に関して、海外のオーディエンスにできる限り最高のユーザー体験を提供するには、海外市場のコンテンツもオリジナルコンテンツと同じ品質である必要があります。検索意図に合致し、十分な検索ボリュームがある現地語のキーワードをベースに、時間をかけてコンテンツを企画しましょう。


そして、最も重要なことは、直訳をしないことです。


ネイティブスピーカーと協力し SEO ローカライズのプロセスを受け入れることで、国際的なビジネスを成功に導くことができます。



 


Adriana Stein - ASマーケティング社 CEO 兼創設者


米国出身で現在ドイツ在住の Adriana Stein は、マーケティングエージェンシー「ASマーケティング」の CEO 兼創設者です。彼女は、グローバル企業のために総合的な国際マーケティング戦略を開発する、多言語 SEO 専門家のチームを率いています。





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