2021年5月6日7 分

ネットショップ作成事例:再購入率が 4 倍に、Velo by Wix やマーケティング機能を活用したサイト運営のポイント

最終更新: 2023年8月30日

豊富なテンプレートを使用することですぐに本格的なホームページ作成ができる Wix ですが、より高度なウェブ制作ができる開発プラットフォーム「Velo by Wix」や、サイトの流入施策に役立つ豊富なマーケティング機能も提供しています。こうした機能をフル活用しているのが、株式会社こはくが運営する金沢の名産品通販・情報サイト「イチバのハコ」。

今回、株式会社こはくの代表を務める山田滋彦さんに、Wix の様々な機能を活用したサイト運営のポイントや効果、同サイトで実現したいビジネスの展望についてうかがいました。

■単なる EC ではなく「金沢の魅力」を発信するサイトでありたい

ーー「イチバのハコ」について教えてください。

山田:「イチバのハコ」は金沢「近江町市場」の魅力と旬の食材を全国へお届けする EC サイトです。といっても、単なる EC サイトではありません。私が目指しているのは、地域が持つ自然や食といった潜在能力を発信すること。ひいては日本文化を未来に残すことにつなげたいと考えています。

ーーなるほど。だからホームページで、近江町市場を取材した記事や地域の歴史に関する情報などを積極的に発信しているのですね。

山田:はい、そうです。私たちはものが売れればそれでいいのではなく、お客様にはぜひ商品の背景にある生産者や流通者の想いや豊かな自然の恩恵を知っていただきたいのです。また、ニッチなポジションを取ることは、激しい競争環境を生き抜くための EC サイトとしての差別化にもなります。

ーーサイトはどなたが運営されているのでしょうか。

山田:現在、私以外に 3 名のスタッフが運営に携わっています。スタッフは全員 30 〜 40 代の女性で、金沢出身もいれば海外在住経験が長い者もいます。「イチバのハコ」ではお客様目線を大事にしていて、お客様と比較的近い属性のスタッフがそろっています。お客様の 70% 以上は女性で、そのうち約 60% は 30 ~ 40 代のお客様です。おかげで男性の私が考える企画が採用されないこともあります(笑)。

ーー「イチバのハコ」は Wix を活用して制作されています。Wix を選んだ理由など、制作の経緯について教えてください。

山田:「イチバのハコ」を公開したのは 2020 年の 4 月です。2020 年 1 月ごろからコロナ禍で既存の観光体験事業が壊滅的な打撃を受けているため、2020 年 3 月に食品通販市場へ参入することを決め、サイトを制作できるサービスを探していて Wix を知りました。制作を担当したのは私と社内のデザイナーの 2 人で、制作期間は約 1 ヶ月です。ネットショップは「Wix ストア」を使って作成し、お客様の声ページについては「Wix ブログ」、旬の食材の定期購入サービス「ツキのハコ」は「販売プラン」機能を使っています。

Wix はテンプレートが豊富で、少しカスタマイズすればいろいろなサイトデザインが作れるところが良いと思いました。ただ、私がイメージしていたページを制作するには基本のテンプレートだけでは難しく、もう少し踏み込んで細かい部分までこだわって制作したいと考えました。デザインを重視した理由は、競合になりそうな企業を分析する中で、デザイン力が弱い企業が多いと感じ、逆にデザインを強化することが競争優位性に繋がると考えたからです。

■Velo by Wix でサイトを細部まで作り込んだ

ーーそこでご活用いただいたのが、より高度なウェブ制作と Wix エディタへの機能拡張が可能な開発プラットフォーム「Velo by Wix」ですね。

山田:「イチバのハコ」のページのうち、「最新のお知らせ」や「メディア掲載」、「よみもの」は Velo の中のデータベース連携機能を使って制作しました。自分で英語のハウツーサイトなどを参照したほか、Wix Marketplace を通じて相談できるパートナーを探しました。その結果、2 名のパートナーの方に親身になってアドバイスをいただき、サイト制作に活かせました。パートナーのお二人には SEO 対策などその他の点についていろいろと助けていただいて、とても感謝しています。

ーーVelo by Wix で実現できたのはどんなところでしょう。

山田:まず、ページの細かなデザインがイメージ通りにできました。それから、そのイメージを保ったまま簡単に更新作業ができる点もいいですね。データベースは一度連携してしまえば、あとは管理画面の表のようなものを更新するだけでサイトに反映されます。現在、「メディア掲載」や「お客様の声」ページに関してはスタッフがコンテンツのアップデートをおこなっているんですよ。

■サイトが存続できたのは Wix のマーケティング機能のおかげ

ーーサイトへの集客はどのようにおこなっているのでしょうか。

山田:集客は主に Wix のマーケティング機能を活用しています。まず、SEO 対策では Wix SEO Wiz を活用しているほか、金沢や通販に関するキーワードをサイトに盛り込むようにしています。SEO 対策の効果はしっかり出ていて、狙ったキーワードでトップページに表示されています。ただし、ご承知の通り SEO はアルゴリズムの変更や競合出現で流動的なため、週次ベースで状況を確認し、また将来的に検索量が増加するもしくは検索量は少ないがサイトへの流入に繋がり易そうなキラーワードを定期的に探索しています。例えば、近江町市場は今年開場 300 年の年ですが、今年の中ごろから 300 年を祝うイベントが予定され、検索量が増加する可能性があるため、今からサイトに盛り込み始めています。

Facebook や Instagram でのダイナミック広告も Wix の機能を活用して出稿していますが、とても満足しています。実は以前も別の方法で同じように広告を打ったことがあるのですが、そのときはまったくコンバージョンしなかったんです。そのときとは状況も違うので単純比較はできませんが、今はコンバージョン率が 10% と高くなり、さらにサイトへの訪問者数も増えています。広告の精度もどんどん上がっていますし、正直、新規顧客の獲得はこれだけでいいと感じるくらいです。

新規顧客獲得にリソースを割かなくていいなら、ほかのことに注力できます。いま力を入れたいのは、リピーターのお客様が「イチバのハコ」を周りに紹介してくれるような施策です。たとえばポストカードを送付したり、Wix の機能を使ってメルマガを出したりしています。Wix はメルマガでもお客様向けのメールでも、オートメーション機能で自動化できるのがすごく便利ですね。

ーーWix のマーケティング機能はビジネスにどのくらい貢献できているでしょうか。

山田:「イチバのハコ」は公開した直後こそメディアに取り上げられたこともあって売上が伸びたのですが、そのあと一時的に落ち込んだ時期がありました。そこから再び盛り返せたのは Wix のマーケティング機能のおかげです。特にリテンション(再購入)率については、サイトを始めた頃は 10 %くらいだったのが、今は 40 %まで上がっています。本当に、Wix のおかげで生き延びているという感じです。

■Velo by Wix のさらなる活用で年商 1 億円のサイトを目指す

ーーお話をうかがっていると、マーケティングに関して非常に戦略的に取り組まれている印象を受けます。

山田:競争が激しい食品通販業界で、弊社のような後発かつ零細事業者の生存確率は低いので、マーケティングを中心に戦略面を重視しています。マーケティングでは当たり前ですが、ペルソナを設定して、カスタマージャーニーをつくり、お客様の困りごとを可視化、提供価値や施策を具体化し、KPI を設定して、施策ごとのレポートを確認し、効果測定をおこなう。こうした Web マーケティングに取り組むのに、Wix のマーケティング機能は大きな役割を果たしてくれています。

ーー今後のビジネスの展望について教えてください。

山田:Velo を使って実現したいサイトの機能がまだたくさんあるので、制作を進めていきたいです。また、弊社の強みである着地型体験(例:市場巡りツアーや料理教室)を一定の条件を満たしたお客様を対象に「Wix ブッキング」を活用し、現在オンライン料理教室を実施しているのですが、今後はさらに「体験」の販売も増やし、EC 事業との相乗効果を出したいですね。そして、「体験」はインバウンドビジネスの可能性も大きいので、国内で EC・体験を融合させた事業モデルをつくり、将来的にはインバウンドビジネスにも展開したいです

2022 年度中には「イチバのハコ」を年商 1 億円規模の Web サイトに育てたいと考えています。ただ、サイト規模が大きくなればオペレーションも煩雑になります。効率的に運営するにはオペレーションの簡易化が必須で、そのために Velo などをもっと活用していきたいと思います。

――ありがとうございました。

おすすめ参考記事▶︎ECサイト成功事例7選と制作事例【業界別】

間島ゆかり
 
コミュニケーションズマネージャー