2023年11月30日14 分
最終更新: 7月10日
公開日 2021年1月20日、更新日 2023年11月30日
メールマーケティングとは、メールを通して直接コミュニケーションをとり、情報を提供したり商品やサービスを紹介したりするために電子メールを利用するマーケティング手法です。近年は、LINE や Instagram、X(旧 Twitter)などの SNS が人気となり、メールマーケティングは、これらの新たなチャネルと組み合わせ、より効果的なキャンペーンを展開することが求められています。
メールマーケティングは、ビジネスにおいて強力なツールとして今もなお、進化を続けています。マーケティングキャンペーンの内容は、「一斉送信メール」から「ターゲットを絞った戦略的なメール配信」へと進化しています。
ブランドの宣伝や見込み客・顧客からのエンゲージメント獲得のために、メルマガ配信ツールを導入し、カスタマイズされたマーケティングを実施しましょう。
この記事では、初心者の方向けにメールマーケティングの基礎と、メールマーケティングの種類について詳しく解説します。
メールマーケティングは、見込み客や既存顧客に対してメール配信を行う、デジタルマーケティング手法のひとつです。コンバージョンの獲得、商品の宣伝、ブランドへの興味や忠誠心を高めるなど、さまざまな目的で使用することができます。
メールマーケティングの歴史は古く、1978 年に米国のコンピューター会社 ディジタル・イクイップメント・コーポレーション (Digital Equipment Corporation) の社員であったゲイリー・サーク(Gary Thuerk)氏が、約 400 人の顧客にメール広告を一斉送信したのがはじまりだといわれています。サーク氏がこの広告で叩き出した売上はなんと 1,300 万ドル(約 13.5 億円)相当。効果的なマーケティングツールとしての「電子メール」の大きな可能性が示された結果となりました。
目新しい手法ではありませんが、メールはどの業界にとっても機能する主要な戦略的チャネルであり、新規顧客を獲得するという点で成果が期待できる手段のひとつと言えます。実際、マーケティングメールの配信を行った企業が、投資額 1 ドルあたり平均 42 ドルの ROI(投資利益率)を獲得したという調査結果も出ています。メールマーケティングは、その他のマーケティング手法と併せて取り入れやすいマーケティング手法です。まだ取り入れていない場合はぜひ実施してみましょう。
そのほかの効果的なマーケティング手法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
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マーケティングの一環として配信するメールは、配信するコンテンツに応じて、企業や組織のさまざまな目的を達成することができます。主なメリットは以下の通りです。
商品やサービスの宣伝
ブランドへのエンゲージメント構築
Web サイトへのトラフィック誘導
見込み客から顧客へと転換
顧客ロイヤルティの向上
メールは顧客と直接的にコミュニケーションが可能なチャネルであるため、その他のマーケティング手段よりも優位性があるといえます。その理由として、SNS を挙げます。まだあなたのフォロワーになっていない見込み客のフィードにはあなたの SNS 投稿が必ずしも表示されるとは限りません。メールであればメール受信箱にダイレクトに届き、ユーザーの目に止まる確率が高まります。また、メールであれば購読者個人の好みやニーズに基づいて異なるメッセージを配信することができます。「一対多」タイプの汎用的なキャンペーンと比べると、個を重視したメールでのコミュニケーションの方がはるかにコンバージョンにつながりやすいといえるでしょう。
自動配信メールからメルマガの週刊配信まで、あなたが達成したい目的に応じて様々な種類のメールを活用することができます。これらを組み合わせて、包括的なメールマーケティング戦略を立てることができます。
メールキャンペーンは、スペシャルオファーを宣伝する、商品 / サービスについての資料や e ブックのダウンロードを勧める、無料トライアルへの新規登録を促すなど、特定の目的を達成するためにメールを送信することができます。
メールマガジンは、購読者に定期的な情報共有を行うために継続的に送信するメールです。最新のブログ記事や事例、商品の最新情報、製品の進捗状況や成果、近日開催予定のイベント情報など知らせることができます。
メールマーケティングオートメーションは、事前に定義されたトリガーに基づいて自動的に送信されるメールです。たとえば、新規登録したユーザーにはウェルカムメール、誕生日を迎えるユーザーにはお祝いメール、カートに商品を入れたまま動きのないユーザーにはリマインドメールを送るなど、ユーザーの状況に応じて適切なメールを自動送信します。また、顧客を育成しながら購入を促す役目を果たすドリップキャンペーンを活用することもできます。
自動トランザクションメールは、特定の取引の後に自動的に送信されるマーケティングオートメーションのもう一つの効果的な形態です。注文確認の通知、配送状況のお知らせ、予約やイベントのリマインダーなどのアクション(トランザクション)の完了に伴い自動配信されます。これらのメールは非常にシンプルですが、特にネットショップなどでは顧客の信頼獲得にとても重要な役割を果たします。
メールマーケティングの基本について理解したところでここからは 5 つの簡単なステップで効果的なマーケティングメールを作成する方法を学んでいきましょう。
メーリングリストを作成する
メール配信サービスを選ぶ
オーディエンスをセグメント化する
魅力的なコンテンツを作成する
キャンペーンを最適化する
メールマーケティングをはじめるための第一歩は、まず読者を獲得することです。メールアドレスを利用するためにはユーザーからの許可が必要だということを覚えておきましょう。メーリングリストの購入は避けるべき行為であり、メールマーケティング企業のほとんどが使用許可を求める厳格なポリシーを採用しています。また、米国の CAN-SPAM 法、EU の一般データ保護規則(GDPR)、カナダ反スパム法(CASL)など、各地域の適用法に準拠しているか確認しておくことも必要です。
このことを念頭に置いて、メルマガ登録者を獲得するために「ユーザーに自発的に購読登録をしてもらう」ような戦略を実施しましょう。ひとつの方法として、リードマグネットが挙げられます。リードマグネットとは、見込み客のメールアドレスと引き換えにあなたの独自コンテンツや試供品といった特典を提供し、まさに磁石のように顧客を惹きつけるという手法です。商品を無償提供するというよりは、以下のようにあなたの専門知識を利用して比較的安価に作成できるデジタル資料やサービスを提供するのが一般的です。
eブック
ウェビナー
お役立ち資料
ビジネスツールキット&ガイド
コンサルティング
クーポン
リードマグネットを決めたら、Web サイトに購読フォームを追加して訪問者に新規登録を促しましょう。ユーザーが購読したくなるような目を引くヘッドラインと思わずクリックしたくなる CTA を配置するのがコツです。たとえば、『メールマーケティング完全攻略チェックリスト』と題した資料をCTA「今すぐダウンロードする」 を設置することができます。CTA ボタンの横には購読者の名前とメールアドレスを入力するフィールドをそれぞれ配置しましょう。
購読フォームはポップアップ、サイドバー、ブログ記事など、サイト上にさまざまな形で戦略的に配置することができます。
メールマーケティングと一口に言っても、多数の購読者の管理や、ターゲットを絞ったメッセージの送信、メールの指標分析などさまざまなことが関わってきます。そのため、すべての作業をスマートに管理できる優れたメール配信サービスを選ぶことが重要です。以下の主要なサービスを比較して、あなたのニーズにあったものを選びましょう。
MailChimp
Wix のメールマーケティング機能 は Web サイトとシームレスに連携できる便利なツールです。メールの開封率、閲覧数、クリック統計などのアクセス解析機能が組み込まれており、メール配信後のパフォーマンスを分析することができます。また、メールのデザインも自由にカスタマイズできるため、ブランド仕様の本格的なメールを作成してオーディエンスに効果的にアプローチすることができます。
メール配信サービスとメーリングリストが揃ったら、興味、特性、行動に基づいてオーディエンスを分類しましょう。このプロセスは「セグメンテーション」と呼ばれ、ユーザー個人の嗜好により特化したコミュニケーションを行うのに役立ちます。セグメンテーションをしっかりと行っておくことで、ターゲットの欲求やニーズに直接響くメールを届けることができます。
購読者を分類するためのカテゴリーには以下のようなものがあります。
デモグラフィック:年齢、性別、所得などの要素から、ユーザーのニーズや関心事を把握することができます。
地理的位置:オーディエンスが居住する国や地域の情報は、世界各地の異なる興味、言語、文化に基づいたコンテンツ作成をするのに役立ちます。
Web サイト上での行動:ユーザーが訪問したページ、閲覧した商品など、ユーザーと Web サイトのインタラクション(関わり)を示すデータからオーディエンスの興味を絞り込み、より適したターゲティング戦略を組み立てることができます。
購買履歴:顧客が購入した商品の詳細をもとに、1 回限りの購入者とリピーターのそれぞれ異なるアプローチを行ったり、顧客の興味に応じてメッセージの内容を変えることができます。
購入金額:顧客があなたのサイト上で支払った金額を把握することで、顧客が無理なく購入できる額や手の届く額を設定できたり、どのような商品を購入する可能性が高いかを予測するのに役立ちます。
マーケティングファネルでのポジション:購読登録を行ったばかりの新規ユーザー、カゴ落ち状態のユーザーなど、それぞれのユーザーの状況に応じてメールを作成し、最終的に購入まで誘導することができます。
個人の興味・嗜好:サイト上でユーザーが作成したプロフィールやお気に入りに追加した商品を通じて各ユーザーの興味に関する情報を収集し、個人の嗜好をより良く理解することができます。
メールを送信する際はできる限り正確なターゲティングを行うことが重要です。これは、一斉送信メールで大勢のオーディエンスにアプローチする際も同じです。上記のようなカテゴリーを利用して特定のオーディエンスごとに異なるメールキャンペーンを作成することで、各オーディエンスに向けてより関連性が高く、説得力のあるコンテンツを届けることができます。
メールマーケティングキャンペーンをはじめるための準備はこれですべて整いました!次のステップはいよいよコンテンツ作成です。
自動配信メッセージ、メルマガ、新商品についての告知など、作成するコンテンツの種類にかかわらず、コンテンツ制作にはある一定のルールがあります。まず、配信の目標は「購読者に届いた段階で“読みたい”と思ってもらえること」であることを忘れてはいけません。怪しげな連絡や迷惑メールと判断されてしまわないように、オーディエンスにとって本当に価値ある内容のメールを丁寧に作成することがポイントです。
たとえば、実用的なヒントや限定コンテンツ、季節ごとのクーポンコードなど、購読者が喜ぶ特典や情報を提供するのも効果的です。
メール本文もユーザーからのエンゲージメントを誘発するものでなければなりません。オーディエンスに寄り添って語りかける(個人名を記載する、二人称を使用するなど)ことで関係を築きましょう。メールを書いているあなたの人柄がわかるようなあたたかみのある表現や、ユーモアを適度に交えるのも良いでしょう。単なる営業としてではなく、ユーザーにとって信頼できる「友人」からメールが届いたかのような印象を与えるのが理想です。Wix 公式ブログでもマーケティングやコンテンツ制作のヒントを公開してるので、マーケティングメールを書く際はぜひ参考にしてみてください。
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メールの作成と送信が完了したら、その結果を分析して継続的にキャンペーンを最適化していく必要があります。Wix のメール配信機能には、分析に役立つ評価基準をレポート画面で確認することができます。
中でも必ず確認すべき指標は次の通りです。
配信率:配信されたメールの割合を表します。メールが配信されなかった場合は、宛先のメールアドレスが存在しないことが考えられます。配信率が 95 % 以上であれば良好です。これ以下の場合は購読者リストを整理し、無効なアドレスを削除しておきましょう。
不達率:配信率の逆で、配信できなかったメールの割合を表します。不達率が高いと配信元としての信頼度が損なわれ、使用している IP がフィルタリングされたり、ブロックされたりといったリスクが生じる可能性があります。メールがスパムに分類されないよう、メーリングリストを定期的に整理して読者からのエンゲージメント率を向上させましょう。
開封率:購読者がメールを開封した割合を表します。この割合から、ユーザーが実際にメッセージに興味を示したかどうかが分かります。開封率が低い場合はメールのコンテンツの推敲、オーディエンスをより正確にターゲティング、ユーザーの目を引く件名の考案など、どのようにコンテンツを改善していけるかを考えましょう。
クリック率:メール本文に記載されたリンクをどれぐらいのユーザーがクリックしたかを表す指標です。また、リンクが複数ある場合はどのリンクが一番多くクリックされたかを見ることもできます。クリック率が低い場合はより戦略的にオーディエンスのターゲティングを行う、よりコンバージョンが見込める CTA に差し替えるなどの改善が有効です。
スパム報告:配信したメールがスパムとしてマークされたかを表します。これを回避するために、購読者リストがあなたからのコンテンツを受信することに同意した人を集めた「有効」なリストであることを再度確認しておきましょう。配信元としての信頼度を保ち、スパムフィルターをかけられないためにも、開封率は高く、不達率は低く維持することを心がけましょう。
これらの指標に基づいて、メールキャンペーンでうまくいった点と改善が必要な点を把握することが大切です。分析結果を利用してメールマーケティング戦略を改善し、購読者からのエンゲージメントを獲得してコンバージョンを高めましょう。
キャンペーンを最適化および改善していくにあたって知っておきたい戦略についてご紹介します。
メールの適切なエチケットを遵守する:読者にとって喜ばしく、楽しく読んでもらえる内容のメールを送信することを第一に考えましょう。購読者に対する思いやりと尊敬の気持ちを表現することが大切です。あなたのビジネスに興味を持ってメールを購読してくれたユーザーのみにメッセージを送りましょう。また、誤解を与えるような件名でメールを送ったり、事前に告知していた回数よりも配信頻度が多くなることがないよう、ユーザーに対する約束事項は必ず守るのが鉄則です。配信解除につながらないよう、ユーザーへのアプローチには十分注意しましょう。
配信のタイミングは慎重に:メールを送信する時間帯は十分に検討した上で設定しましょう。どの時間帯が最も効果的なのか確実な答えはありません。オーディエンスの年齢、所在地、職業などによってメールをチェックする時間は異なります。しかし、A / B テストを通じて効果的な時間帯を見出すことで、その結果を今後のキャンペーンに活かすことができます。
スマホ向けに最適化する:最近の調査結果では、メールの約 50 % がモバイル端末で開封されていることが実証されています(米国)。このため、メールのレイアウトは、PC はもちろんスマートフォン向けにも最適化しておくことが重要です。メールの件名を少し短くする、フォーマットを簡略化する、画像サイズを落とすなど、スマホの画面にきれいに収まるようデザインを調整しましょう。ユーザーが親指でタップしやすいよう、大きめの CTA ボタンを配置するのも効果的です。
付加価値をつける:ユーザーにメールを購読してもらうために、ガイドブックの無料ダウンロードやクーポンコードの提供など、何らかの価値を提供したという方もいることでしょう。その初回特典以降も、定期的に読者にとってメリットのある付加価値を提供しましょう。実用的な Tips や会員限定のコンテンツ、季節のメッセージや誕生日カードなど、顧客に喜んでもらえる工夫を続けることが大切です。その結果、より高いエンゲージメントを生み出し、ブランドへのロイヤルティ構築につながります。
ライター: Wix Team