SaaS（サース）とは？PaaSやIaaSとの違いや事例を解説
SaaS は、「Software as a Service（サービスとしてのソフトウェア）」の頭字語です。ソフトウェアを個々のデバイスにインストールする代わりにオンラインで利用するもので、ユーザーにはソフトウェアの使用許可とアクセスが提供されます。SaaS モデルでは、プロバイダーのサーバーがすべてのソフトウェアやデータをホストします。プロバイダーは、アプリケーションのセキュリティ、利用可能な状態の維持、アップデート、パフォーマンス管理などに責任を負います。
SaaS は、一般的にはサブスクリプションベースで提供され、ユーザーとなるにはログイン名、パスワード、有効な定額払いプランへの加入が必要です。SaaS によるソリューションは、ホスト型ソフトウェア、オンデマンドソフトウェア、または Web ベースソフトウェアと呼ばれることもあります。
この記事では、知っておきたい SaaS の基礎知識と種類について、初心者にもわかりやすく紹介します。
SaaS、IaaS、PaaSの比較
SaaS に加えて、サービス型インフラとして知られる IaaS、サービス型プラットフォームとして知られる PaaS などのサービス型オプションがあります。この 3 つがどう違うか簡単に比較してみましょう。
IaaS
IaaS は、簡単に言えば仮想ネットワーク空間を使用してサーバーを提供するサービスです。サーバーや保存スペース、ファイアウォール、データセンターなどが提供され、ユーザーは自前でインフラを整える必要がありません。ユーザーは、アプリケーション、データ、ランタイム、ミドルウェア、オペレーティングシステムをカバーし、サービスプロバイダーは、仮想サーバーやストレージ、ネットワークを提供します。
PaaS
PaaS でユーザーがカバーするのはアプリケーションとデータで、その他はサービスプロバイダーが提供します。すなわち、アプリケーションを開発できる環境がすでに構築されているのが特徴です。
SaaS
SaaS は、サービスプロバイダがアプリケーション、データ、ランタイム、ミドルウェア、オペレーティングシステム、仮想化、サーバー、ストレージ、ネットワークまでのすべてを提供するのが特徴です。それでは、SaaS の例を詳しく見てみましょう。
SaaSの代表例
SaaS アプリケーションは、個人目的か商目的かを問わず、多くの人が何らかの形で日常的に利用しています。Gmail のような Google アプリから Amazon の Web サービスや Microsoft Office 365 まで、いずれも頻繁に使用されるソフトウェアアプリの代表例です。他にも、Netflix は定額制でオンデマンドのビデオを提供し、ユーザーはインターネットに接続しているデバイスでコンテンツを視聴します。多くの SaaS アプリケーションは、顧客が購入前に期間限定ながら無料でお試しできるフリーミアムモデルを採用しています。
SaaSの種類
今日では、B2C モデルと B2B モデルのいずれについても、あらゆる業界で多くの SaaS オプションが提供されています。また、多くのアプリケーションが複数の目的に対応する機能横断的な製品であることも注目に値します。ここでは、最も一般的な SaaS アプリケーションをいくつかご紹介します。
・Web ホスティングおよび E コマース：このタイプの SaaS を使えば、個人か法人かを問わず、すべてのユーザーがオンラインプレゼンスを構築できます。ホームページ作成ツールからブログ作成ツールやビジネスサイト、掲示板やネットショップ作成ツールまで、いろいろな試みが可能です。E コマース向けレンタルサーバーの場合、各 Web サイトは、オンラインでの商品販売に必要な決済ゲートウェイ、買い物かご、その他のビジネスニーズなど、専門的な機能を備えたオンラインストアを運営できます。Wix は、ユーザーが Web サイトを作成できる、クラウドベースの Web ホスティングプラットフォームの代表例です。
・顧客関係管理（CRM）：顧客関係管理アプリケーションを利用すれば、既存の顧客や潜在的な顧客とのやりとりを手軽に維持したり管理したりできます。CRM は、セールス、マーケティング、カスタマーサービス、分析など顧客志向の幅広い業務に役立ちます。CRM 向け SaaS の例には、Salesforce や Zoho などがあります。
・人事（HR）：人事の業務は、給与、研修、能力開発、健康管理、社員や求職者とのコミュニケーションなど、雇用業務のほかにも多岐にわたります。人事ソフトウェアの例には、カオナビ、SmartHR、人事労務 freee などがあります。
・コミュニケーションおよびコラボレーション：インスタントメッセージ、ファイル共有、コラボレーションプラットフォームなどにより、プロジェクトのコミュニケーションや情報共有が大幅に手軽になりました。リモートワークや在宅勤務の増加を受け、その重要性は特に高まっています。Slack は、コラボレーションとコミュニケーションの双方を可能にする SaaS の例です。
・プロジェクト管理：さまざまな業界の企業が SaaS を利用したプロジェクト管理を採用し、プロセスを合理化してチームがより明確かつ効率的にプロジェクトを理解できるようにしています。スケジュール管理、ファイル共有、報告、コミュニケーション、タスク管理、ビジュアルマッピングなどは、すべてこの種のソフトウェアに該当します。プロジェクト管理向け SaaS の例には、Monday.com、クラウドログ、Lychee Redmine、Backlog などがあります
・エンタープライズ リソースプランニング（ERP）：このタイプの SaaS は、ヘルスケア、製造、建設、ホスピタリティなどの業界で利用され、バックオフィス業務の一元化と自動化の役割を果たしています。これにより、セールス、会計、製造、調達といった特定の業務機能が一元管理できます。ERP の SaaS の例には、NetSuite や Sage などがあります。
・デジタル署名サービス（DSS）：デジタル署名サービスは、契約書や請求書などの書類作成を伴うオンラインビジネスに欠かせません。DSS ソフトウェアは、個人用か商用かを問わず、多様な目的において署名の安全性を確保します。プロバイダの例には、DocuSign や HelloSign などがあります。
・決済ソリューション：オンラインショッピングの世界において、安全な決済ソリューションは必要不可欠です。SaaS アプリケーションには、クレジットカード、銀行振込、定期払い、クーポンや特典による決済などが含まれます。SaaS 決済ソリューションの例には、Square や SB ペイメントサービスなどがあります
・データストレージ：データストレージのための SaaS アプリケーションは、大容量のドキュメントやファイル、画像の保存と共有に役立ちます。Dropbox、Google Drive、iCloud などはすべて、データストレージ SaaS の例です。
・会計：SaaS による会計処理は、財務管理に新しい手法をもたらし、企業の経営を劇的に変革しました。例えば、クラウドベースの会計ソフトを利用すれば、スモールビジネスでも財務管理が容易になり、会計士を雇わなくて済む場合も多くなります。会計 SaaS の例には、請求書の処理、会計帳簿の管理、給与計算などが行える Freee やジョブカン会計などがあります。
・コンテンツマネジメント（CMS）: SaaS 型の CMS（コンテンツ管理システム）はクラウド上でホスティングされ、インターネットを通じて利用できる Web サイト管理ツールです。特別な技術や知識がなくても、直感的なインターフェースを通じてコンテンツの作成、編集、公開が可能です。主な特徴として、どこからでもアクセス可能な利便性、自動アップデート、スケーラビリティ、高度なセキュリティ、コスト効率の良さが挙げられます。また、豊富なテンプレート、SEO 最適化ツール、マルチユーザー対応、バージョン管理機能なども提供しています。WordPress.com、Wix、Squarespace などが代表的な例で、個人や企業の Web 戦略に不可欠なツールとなっています。
SaaSのメリット
アクセシビリティーの向上：ソフトウェアのインストールやダウンロードの必要がなく、インターネット接続さえあればどんなデバイスや場所からでもアクセスできます。
自動アップデート：効率性については、ユーザーは時間とコストがかかるアップデートの心配がありません。所有型ソフトウェアと異なり、SaaS は自動でアップデートが行われます。そのため、プロセスが合理化される上に常時最新バージョンが利用でき、サービスが全体的に向上します。
信頼性とセキュリティ：クラウド上で稼働する SaaS アプリケーションは、より便利で安定した動作時間が確保されています。また、ホストはデータセンターであり、パフォーマンスをモニターしながらアプリケーションを保護する IT 担当者が存在することも少なくありません。
費用対効果：サービスとしてのソフトウェアを使用すれば、前払いのライセンス料や有償のアップグレード、メンテナンスの必要がありません。サブスクリプションベースである SaaS は、専用ハードウェアなどの大きな出費がなくなり、個人やスモールビジネスにとって利点が大きいといえます。
SaaSのデメリット
アクセシビリティーの低下：SaaS アプリケーションのアクセシビリティーについては、メリットがある一方でデメリットもあります。インターネットへの接続が悪かったり接続できなかったりするとアプリケーションが使えません。
セキュリティ：個人のデバイスでアプリケーションを使用したり、保護されていない Wi-Fi からインターネットに接続したりすると、セキュリティ問題が生じる可能性があります。これは機密情報の漏えい問題につながるかもしれません。
データ漏洩：すべての情報がクラウド上に保存されるため、個人情報が漏洩する可能性があります。例えば、ユーザーがサイバー攻撃やプライバシー侵害の危険にさらされる可能性があります。
機能性とパフォーマンス：SaaS アプリケーションはクラウド上で動作するため、デバイスによっては速度の低下やパフォーマンスの問題が生じる場合があります。
SaaSを始めるには
SaaS を始めるには、SaaS プロバイダーを選択してプランを購入します。購入後は、Web ブラウザやモバイルアプリからソフトウェアにアクセスできるようになります。SaaS プロバイダーを選ぶ際のヒントをいくつかお伝えします。
まず第一に、自社に必要な機能や特徴を備えたプロバイダーを選びましょう。他社にとって便利な機能が自社にとっても便利とは限りません。プランの内容と動作をしっかり確認し、すべての疑問を解消してから購入しましょう。
他のユーザーのレビューを読み、各プロバイダーの長所と短所を把握します。製品を実際に使用したレビューであることを確認してください。
さまざまなプロバイダーの価格を比較し、最善の価格を見つけましょう。常に予算内で最高のサービスを選ぶよう心がけてください。
まとめ
この記事では、SaaS （Software as a Service：「サース」または「サーズ」） について詳しくまとめました。IaaS や PaaS と比べ、SaaS はアプリケーションからインフラまで幅広いサービスを提供し、CRM、HR、プロジェクト管理など、様々な業務に特化したものが活用されています。
例えば、Web 構築に特化した SaaS である Wix なら、プログラミングの知識がなくても、AI 機能を使い、ノーコードでプロフェッショナルな Web サイトからネットショップまで作成できます。直感的なインターフェースや豊富なテンプレート、SEO 最適化機能を備え、ビジネスの成長をアシストするさまざまなソリューションが豊富に揃っています。
ビジネス効率化や、Web 管理コストの削減を検討している方は、さっそく Wix に登録してそのビジネスソリューションを体験しましょう。成功するビジネスは適切なツールから始まります。Wix でオンラインビジネスの第一歩を踏み出してみませんか？
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この記事を書いた人
Miyuki Shimose
SEO & ブログコンテンツマーケター
