9月16日12 分
効果的なマーケティング戦略を構築し、持続的な成長と成功を手に入れるには、「4P」(Product:商品、Price:価格、Place:場所、Promotion:プロモーション)を理解することが大前提です。この 4 つは成功するマーケティング戦略の支柱であり、ターゲットオーディエンスの心をつかむ魅力的な提案の指針になります。4P をマスターすれば、適切な顧客にリーチできるだけでなく、商品購入のしやすさや価格競争力、そして効果的なコミュニケーションが確保できます。
以下では、4P の各要素について掘り下げてゆきます。ソーシャルメディアキャンペーンに取り組んだり、無料ホームページ作成ツールで Web サイトを作ったり、4P は販促活動のあらゆる場面で力になってくれるでしょう。
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マーケティングミックスの概念を最初に広めたのは、ハーバードビジネススクールで広告学を教えていたボーデン教授です。1964年、ボーデンは「マーケティングミックスの概念」と題する論文を発表し、ターゲット消費者に対して企業が活用できるさまざまな広告戦術を論じました。論文では、企業のマーケティング目標の達成に必要なすべての要素を混ぜ合わせる(ミックスする)アーティストともいえる、マーケターにスポットライトが当てられました。
とはいえ、ミックスに含まれる要素についての確定的な合意が成立したのは、ミシガン州立大学でマーケティングを教えていたマッカーシー教授が 1960年にマーケティングの 4P となる 4 つの基本要素を定義してからです。それ以降、4P は効果的なマーケティング浸透戦略の中核として、専門家の間で広く採用されてきました。これまでいくつかの変更や追加がなされてきたものの、基本的な原則に変わりはありません。
以下では、マーケティングの 4P を定義し、売上の向上、競争優位の構築、ビジネス推進のためのスマート戦略の構築について、各要素が果たす重要な役割をご説明します。
当然ながら、商品は顧客に提供する品物やサービスのことです。新商品の発売にせよ既存品の改良にせよ、確実に消費者の需要を満たすようにすることがマーケティングの要になります。効果的な商品にするには、既存のニーズを満たすか、またはニーズを演出して需要を創出することが必要です。商品の差別化と、それがマーケティング活動に持つ意味について十分に理解しましょう。
また、商品のライフサイクル、つまり、市場への導入期、成長期、成熟期、衰退期についても把握する必要があります。マーケティングの観点からいえば、それらの知識によってライフサイクルの各段階に応じたメッセージング、KPI、価格設定、ターゲット層への柔軟な対応が可能になります。
以下のような質問に対する答えを考えることで、マーケティングミックスの要素に対する理解が深まります。
販売する商品は何か?
誰のための商品か?
顧客はどこで、どのように商品を使うか?
商品が満たす既存のニーズは何か?満たすべき既存のニーズが存在しない場合、どのように市場で新たなニーズを創出するか?
上記のニーズを直接満たすために商品が備えている特徴は何か?見落としている特徴はないか?
商品デザインやユーザーエクスペリエンスの主な要素は何か?それら要素には消費者のニーズを満たす相乗効果があるか?
商品の呼称は何か?
商品のブランドをどう確立するか?
商品は競合品とどこが異なるか?
ビジネスのマーケティングプランを策定するにあたり、これらの考察は一連のガイドラインの構築に役立つはずです。
価格は、消費者が商品に対して支払う対価です。一見シンプルですが、価格の決定は意外に難しいものです。利益を上げなければならない一方で、価格が商品の価値に見合っていると消費者に認識してもらうことが大切になります。
お手頃商品、高級品、あるいはその中間にある商品のいずれについても、価格はメッセージングの表現に大きく影響します。また、マーケティング対象である顧客の種類や、販売する国や地域とも深く関係しています。さらに、顧客獲得コストに影響する可能性もあります。
価格設定については、以下を考えてみてください。
買い手は商品やサービスの価値をどう認識しているか?商品の価格に対する買い手の認識とマーケティング戦略をどう整合させるか?
自分の提示価格と競合相手の提示価格を比較するとどうか?
オーディエンスは価格に敏感か?価格を下げるとより多くの買い手を獲得できるか、それとも利幅が減るか?あるいは、価格を上げると買い手が減るか、それとも利幅が増えるか?
カスタマージャーニーの理解により、顧客セグメント別に異なる価格を設定すること(パッケージでベーシック版とプレミアム版を設置するなど)は可能か?
マーケティングの第 3 の P は「場所」です。これは、マーケティング活動や流通活動を行う場所のことです。主に地域住民をターゲットにする実店舗のような物理的な場を指すこともありますが、商品の宣伝・販売に利用するさまざまなプラットフォームやマーケティングチャネルのようなオンライン上の場も含まれます。
場所は、アクセスしてくる買い手ペルソナ(典型的な像)のタイプを理解する役に立つ、商品やサービスのマーケティングで考慮されるべき大切な要素です。要するに、その商品を必要とし、かつ入手できる人々のタイプに配慮して商品を宣伝、販売するということです。その商品が見つけにくく、購入や使用に不便だと考える層に向けてマーケティングをすれば、その努力は行き詰まる可能性が高くなります。重視するのはローカルなマーケティングですか、それともより広い範囲のマーケティングですか?
同様に、このコンセプトは宣伝に最も効果的なオンラインチャネルを決定する際にも使用できます。日本限定商品であれば、イタリアのニュースサイトで宣伝する理由はありません。高齢者向けの商品を売るのであれば、TikTok の有料広告から始めるべきではないでしょう。
場所をマーケティング戦略に取り入れるにあたり、市場戦略情報に関わる以下の項目について考えてみましょう。
ターゲットオーディエンスがいる場所(物理的、オンラインの両方)は?不明な場合はマーケティング分析の追跡やレポーティングプランを実施します。
人々は当該商品をどこで探すか?店舗の場合はどのような店舗で探すか(例えば小規模小売店と大手チェーン)?オンラインの場合はどのプラットフォームを使うか?これらに基づき、狙うべき顧客セグメントをより効果的に構築します。
商品の販売ではどのような流通経路や販売店を利用できるか?
競合相手の販売場所はどこか?どのような実店舗やオンラインチャネルを使っているか?
マーケティングミックスの第 4 の P は「プロモーション」です。包括的ともいえるこの要素は、前述の 3 つの P である商品、価格、場所で特定した要素を使用してメッセージングを構成し、広告やマーケティングキャンペーンをつうじて商品を広めます。
この最後の要素を組み込むにあたっては、以下を検討してみましょう。
ターゲット市場にメッセージを伝える場として考えられるのは(例:ソーシャルメディアなどのオンラインチャンネル、PR、テレビ、ラジオ、ポッドキャスト、印刷広告、Eメールマーケティング)?
これらのオン/オフラインの場で顧客が最も共感する言語表現、媒体、ペルソナは?
プロモーションに最適なタイミングは?商品は季節品か?メッセージに影響を与えそうなイベントやその他の外部要因はあるか?
競合相手は、いつ、どこで、どのように商品を宣伝しているか?
これ以前に挙げてきた質問と同様、上記の質問に対する答えを考えることは、スモールビジネスの力強いマーケティング戦略を作成する役に立つでしょう。それは、消費者のニーズに応えることを約束し、価格にふさわしい価値を提供し、適切なチャネルで消費者にリーチし、適切なメッセージを使用することです。
マーケティングの 4P についての理解を深めてビジネスに応用できるよう、実例をご紹介しましょう。
Appleは、特に人気の iPhone については一流のマーケティング戦略を備えています。iPhone が消費者に愛される理由に、同社がマーケティングの 4P を駆使した理想的な製品、価格帯、流通チャネル、そしてブランドとしてのメッセージを構築していることがあるのは確かです。
商品:初代 iPhone は、絶妙なタイミングで消費者のニーズにダイレクトに対応しました。携帯電話はすでに洗練されつつあり(Blackberry の魅力を忘れる人はいないはずです)、Apple はそのトレンドを最大限に活用しました。iPhone の強みは洗練されたデザインだけではありませんでした。ユーザーエクスペリエンスの向上というニーズにも応えたのです。キーボードやスタイラスの煩わしさを取り除き、音楽デバイスを別に持ち運ぶ必要を減らしたほか、その他の重要な機能(出先で使えるインターネット、良質な写真機能、楽しいアプリ、ユーザーフレンドリーな画面)も加わりました。
価格:従来のモバイル機器にはなかった品質と付加価値が約束された iPhone は、モバイル界のパイオニアとなりました。さらに、その製造元は評判が高く多くの支持を集めている会社でした。そのため、他のブランドと異なり、顧客はプレミアム価格の支払いをすんなり受け入れました。この価格戦略は Apple に有利に働き、高級ブランドの魅力を保って中・上流階級の消費者を惹きつけながら維持されています。
場所:Apple は、特定の店舗だけに製品の販売を許可することで独占的なオーラを醸し出しています。このためにリーチに制限が生じる一方で、デザイナーズブランドの地位の確立に一役買っています。また、ブランドの流通コストを下げることで、資金を他の分野に回すことも可能にしています。
プロモーション:Apple による iPhone のプロモーション戦略の多くは、CM や印刷広告の形を取っています。広告は、ブランドの洗練されたスタイリッシュな美意識を紹介つつ、高品質なスクリーンや写真撮影機能を強調し、とりわけ視覚に訴えるように作られています。同社の製品が、競合品に比べて際立っていることを消費者に示すのがその目的です。また、年に 2~4 回行われる Apple イベントでのプレス向けプレゼンテーションによっても製品を宣伝しています。それは、Apple がオピニオンリーダー、先駆者としての地盤を固めながら、質の高い PR を提供する絶好の機会となっています。
Spotify もまた、4P を戦略的に適用することで成功を収めたビッグブランドです。以下にその手法を紹介しましょう。
商品:Spotify の主力商品は音楽ストリーミングサービスです。この技術が登場するまで、お気に入りのアーティストを聴く手段は CD の購入、デジタルアルバムや楽曲の購入、ラジオ、海賊版の入手などでした。音楽ストリーミングはこの問題を解消し、消費者に手頃な価格と利便性を提供して音楽産業のすき間を埋めました。
価格:Spotify は、音楽を聴くすべての人を顧客とし、さまざまな価格帯を提供して幅広いリーチを保っています。フリーミアムモデルを採用し、誰でも無料でコンテンツを聴くことができる一方で、プレミアムを支払ったユーザーには広告が消えるなどの特典を提供しています。また、カップルや家族向けにバンドルパッケージを提供してサービスをアップセルしているほか、学割によって若年層にプレミアムの購入を働きかけています。
場所:音楽ストリーミングによってアクセシビリティの大きな問題が解消されました。人々はもはや、店に CD を買いに行く必要も、音楽の違法ダウンロードを探す必要も、ラジオでお気に入りの曲を待ちわびる必要もなくなりました。Spotify はオンラインでサービスを提供しているため、ほぼすべての国で即座にアクセスできるようになっています。
プロモーション:オンラインプラットフォームである Spotify は、ホームページで集客することを目的に、プロモーションのほとんどを Web で行っています。商品は使いやすく、消費者の重要なニーズを満たしていることから、ファンによる口コミで商品が広まる傾向も顕著です。そのため、ソーシャルメディアマーケティング、特にインフルエンサーマーケティングがこのブランドの有機的なプロモーション戦略になっています。
4P の実践例を見たところで、これらの原則を自分のマーケティング戦略に応用する方法を考えてみましょう。このマーケティングミックスは、既存のマーケティングキャンペーンや商品の改善にも、あるいはゼロから新たなマーケティングキャンペーンを始める際にも活用できます。
その方法は以下のとおりです。
宣伝したい商品やサービスを特定し、その商品との関連に応じて前述の 4 つの P それぞれを当てはめてみます。
4P についての前述の質問に対する回答を見直し、別の回答に置き換えて再検討します。例えば、価格を上下させる、色やデザインを変える、別のプラットフォームで広告を打つ、新しいチャネルで販売する、などを行った場合はどうなるでしょうか?
ターゲットオーディエンスの立場で考えてみます。その商品は顧客であるあなたのニーズを満たしていますか?価格はあなたの価値観や商品への評価と合致していますか?商品やサービスについての情報が手軽に取得でき、アクセスしやすい場所で購入できますか?マーケティングプロモーションは、心に届く共感できるものですか?市場調査やユーザーテストを行うことも必要かもしれません。
プロセスを繰り返し、その過程で、価格設定、プロモーション、メッセージングについての A/B テストを実施します。最適な処方箋ができあがるまで、問いに対する考察と答えの調整を続けてください。また、キャンペーンやアプローチのマーケティング監査も定期的に行いましょう。
理想的なマーケティングミックスが完成しても、それで終わりではありません。商品は進化し、新しいマーケティングトレンドが起こり、顧客、競合先、そして環境は時間の経過とともに変化します。
ついては、商品のライフサイクルに応じ、四半期、半年、1 年単位でマーケティングミックスを見直すことが大切です。マーケティングの 4P は固定的なものではなく、継続的に強化して周囲の変化に適応させる必要があるのです。
編集者:Miyuki Shimose
SEO & ブログコンテンツマーケター