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海外で起業するには?女性起業家に聞いた起業のメリットや準備のポイント


海外で起業するには?

こちらの記事は Kaori Myatt さまよりご寄稿いただきました。


こんにちは! 私は 2015 年にフランスで起業し、現在も翻訳会社を経営しています。自分にとっては人生を賭けたチャレンジで、2024 年で 9 年目を迎えます。10 年という節目を前に、私を支えてくれ、今も大好きな Wix で起業について書くチャンスが与えられ、とてもうれしいです。ぜひ私の経験をお伝えしたいと思います。



海外起業のメリット・デメリット


海外起業と一言にいっても、なかなか簡単にできるものではないと思います。私の場合は20年以上続けたフリーランスの個人翻訳者・ライターとしてのキャリアが下地となって起業につながった形です。自分が得た翻訳プロセスやツールのノウハウと綿密なコミュニケーションでコツコツ築いたクライアントベースをそのまま引き継ぎました。


メリット


会社を持つメリットはなんといってもチームワークです。個人の翻訳者のときには自分一人でなんでもやらなくてはなりませんでしたが、苦手なことを人に任せて、自分は得意なことに専念できるのが大きなメリットでした。そして会社は資産になります。また翻訳者として大変苦労もしたので、翻訳者さんたちを支えたいという気持ちもありました。


デメリット


デメリットは利益がでなかったら自分の収入を犠牲にしても支払いをしていく必要があるので相当の覚悟と大きな器が必要です。(ストレスに強いメンタルも...)組織になれば社員からのプレッシャーも経済的な波もあり、楽しいばかりではいられなくなります。まさに真剣勝負。さらに会社が大きくなってくれば従業員の給与や支払いもおのずと大きくなり、重い責任がのしかかります。



海外での起業におすすめのアイデア


コンテンツビジネス


今、コンテンツビジネスはとても注目の的となっているんです。周囲の人たちからも「機械翻訳で翻訳者はいらなくなるでしょう」とか「AIがあるから仕事がなくなるんじゃないの」「翻訳は AI にとって変わる」といった声も聞こえてきています。ですがそんな声に反して私たちが身を置いている翻訳業界においては需要が拡大を続けており、翻訳会社はなくなっていません。そればかりか、翻訳者はいまだかつてないくらい忙しくなっています。

それは世界のありとあらゆる所からインターネットを通して正しい情報が要求されているからで、その数は膨大です。CSA リサーチの調査によれば、2023 年の翻訳・ローカライゼーションの業界規模は約 690 億ドル(約 10 兆円)を超えるばかりか、さらに年々5億ドルほども増え続けているため、翻訳ビジネスのポテンシャルは非常に大きいのです。さらに最近では翻訳だけでなく、SEO コンテンツ作成といった今までになかった種類のライティングの需要も増えています。



海外での起業におすすめのアイデア - コンテンツビジネス


海外起業のステップ(フランスの場合)


01. 会社の形態を考える


フランスでは日本の株式会社や合同会社のように、SA、SARL、SA、EURL、MEなど会社の形態を選べます。実はフランスでは 2017 年を境に個人事業者はすべて Micro Entrepreneur(ME)または Auto-Entrepreneur(AE)と区分されているので、フリーランスも小さな「企業」として扱われています。私の場合は収入がVATの簡易課税の上限を超えた段階で法人化を考えました。私が選択したのはSARL です。これは米国などの Limited Company に当たるもので、設立も管理も運営ももっとも単純で清算も簡単な形態だったからです。さらに後に大きな会社になれば、上場を目指してSAに変更することももちろん可能です。


02. 資金調達をする


SARLの場合、資金の下限がないため、極端に言えば1ユーロの資金でも開業は可能です。私は起業時はそのときに手元にあった現金1万ユーロのみを資本とし、その後資本金を増やしていきました。運転資金はその月に必要とされる合計額の最低でも3倍は銀行に置いておくようにしています。逆に言えば運転資金がショートしそうな時が予測されたらすぐに資金をいれられるように常に銀行などから借り入れができる状態にしておくことが必要だと思います。そのためには起業する前から銀行口座に常にお金がある状態にしておいたり、銀行やクレジットカードでのトラブルを起こさないように気をつけ、信用を得ておくことが大切です。



03. クライアントに知らせる


起業したらやはりクライアントとは密に連絡を取り合う必要があります。まず今まで個人の業務委託契約でやっていたところには会社の住所変更と登記についてのお知らせを送り、契約の形態を変更してもらいました。多くの会社は私が自分の足とコミュニケーションで営業して獲得してきたクライアントだったために、特に大きな問題もなく9割はそのまま契約変更のみで継続してもらえました。残りは残念ながら会社ではなく個人のフリーランス翻訳者がよいという会社で、それらの会社さんとはさよならすることになってしまいましたが、中の人たちが別の会社に移ったときには、また声をかけてもらえることもありました。ですので、起業にはコミュニケーションがとても大切だと思います。


04. チームを構築する


クライアントがいてもサービスの提供が滞ったり、対応がよくなかったら業務はうまく継続できません。私と一緒に働いてくれる人を探す必要がありました。幸いなことに、以前声をかけてくれた人に、一緒に働きませんか、と声をかけたら、すぐに数人集まりました。これも普段から交流する人がどんな人なのかを把握して、ネットワークを広げておいたことが功を奏したと思います。また、人集めをしたらちゃんと現地の法律に則って契約書を交わして契約した内容や約束を守らなければなりません。勤務に関する規則や契約書などもすべて現地語で作る必要がありますので、さまざまな知識を仕入れる必要があります。でもひとたび信頼できるチームができたら、怖い物なしです。


起業の際に Wix が便利な理由


Wix は多言語に対応していますので、フランス語と英語、そして日本語のウェブサイトの構築がとてもラクでした。またノーコードで自分の好きなデザインにできるのも大きな魅力のひとつです。私はデザインやプログラミングの知識があまりないので、テンプレートを選択してそれを自由にレゴ形式で組み立てることができる Wix が大好きです。色を変えるだけでなく、サイト内で使えるさまざまな機能を簡単に Wix アプリとして追加していけるのもすごい点です。


例えば起業の初期はすぐにお客さまに対応したかったので、Facebook と連動したメッセンジャー機能を実装しました。するとウェブサイトを見たお客さまが送ったメッセージをスマホで確認できて、迅速に対応することができました。SNSとの連携も抜群で、Twitter(現在はX)のアカウントを載せて現在のフォロワー数を表示させるなど、プログラミングをしていたら時間がかかるようなものも簡単に載せることができて本当に助かりました。写真や動画のインポートもラクラク変更できます。まるでプロが作成したような仕上がりも夢ではなく、短時間でサイトを構築できて、時間のない起業したての頃は Wix で大きく時間を節約できました。


弊社のフランス本社のWebサイト(www.word-connection.com)は今まで開発者がコードを書いて作っていましたが、体裁がよくなかったために、つい最近完全にWixに移行しました。SEO記事が多数あったため移行は大変ではありましたが、Wixチームの24時間体制サポートもあり、バグもすぐに解決出来て、今では大変快適に更新できる見やすいサイトに仕上がっています。


WordConnectionホームページ



まとめ 


海外では生活していくことすら大変なこともありますが、私はコツコツと働いてきた経験を元に Wix と一緒に起業を成功させました。今ではフランスと日本と 2 カ所に拠点を置き、社員も 2 社で合計 10 人以上に増やすことができました。まだまだ小さな会社ではありますが、翻訳を職業として認識してもらい、翻訳者の地位をもっと高めたいと思っています。AI は発達してきていますが、まだまだ人間の介入がなければ質の高いライティングも翻訳も難しいのが現状です。翻訳のお仕事がなくなってしまうのはまだまだ先のことのようです。



筆者:Kaori Myatt
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