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WixのWebアクセシビリティ方針|すべての人にやさしいインターネットを目指して

更新日 2024年3月18日 (公開日 2021年5月24日)

Wixのアクセシビリティウィザード

ホームページを作成するすべての人に共通する目標は、「ホームページを通じて多くの人にアイデアやサービス、商品を知ってもらいたい」ということです。


この目標を達成するためには、サイトのトラフィックを伸ばすだけでなく、ホームページに訪れたすべての人がコンテンツをきちんと理解できること、すなわち「 Web アクセシビリティを確保すること」も重要であると、Wix は考えています。


すべての訪問者がサイト上のコンテンツをそのまま利用できるとは限りません。実際のところ、環境や年齢、身体的な不自由または特性のために、インターネット上の情報やサービスにアクセスできない人の数は世界で 10 億人(世界人口の 15 %)にのぼると言われています。この数字は今後減っていくべきものであり、昨今の Web アクセシビリティの広まりによってさらなる改善が期待されています。


Wix は 2016 年、Web アクセシビリティを提唱する先駆的な動きに加わり、Web 上でのソーシャル・インクルージョンの向上、および、よりアクセシビリティの高い Web サイトを作成できるような環境づくりを追求してきました。


Wix が数年にわたってアクセシビリティ機能の開発に取り組んだ成果のひとつ、Wix ユーザー向けの機能「Wix アクセシビリティウィザード」について、本記事では Wix の Web アクセシビリティ方針と併せて紹介します。


Wix アクセシビリティウィザードを使用して、アクセシブルな Web サイトを構築する方法については、オンライン講座「アクセシビリティ:誰もが使いやすいサイトを構築する方法」(日本語字幕対応)をご覧ください。




Wix が考える Web アクセシビリティとは


 Web アクセシビリティとは、様々なユーザーが、様々なデバイスを使いながら、様々な状況や環境で Web にアクセスできるようにすることで、すべてのユーザに優れたユーザーエクスペリエンスを提供するための施策です。Wix のアクセシビリティチームでは、 Web サイトにはこの「アクセシビリティ」機能が備わっているべきだと考えています。


この考えを念頭に、私たちは Wix で作成された Web サイトを、下記の方々を含む全てのユーザーにとってより使いやすいものにすることを目標に掲げています。

  • 目が不自由なユーザー

  • 肢体が不自由なユーザー

  • 耳が不自由なユーザー

  • 認知機能に不自由のあるユーザー

  • 状況に応じて、または一時的に身体・認知機能に不自由のあるユーザー


Wix は、個々の Wix ユーザーが作るサイトのデザインやコンテンツ、サイトのアクセシビリティの充実度などを管理することはできません。しかし、 Web アクセシビリティの向上に向けてユーザーを支援することはできますし、それが Wix が果たすべき責任であると考えます。


そのため、Web アクセシビリティに特化したテンプレートの作成、Wix エディタへのアクセシビリティ機能の統合、アクセシビリティウィザードなどの高度なツールをユーザーに提供したりと、Wix のユーザーコミュニティにこの取り組みを広めるための基礎固めを行っています。




アクセシビリティウィザード誕生の経緯


Wix チームは、Wix エディタ自体の高度なアクセシビリティ機能を開発するために丸 5 年の歳月を費やし、数千にのぼるバグの修正、アクセシビリティ機能を備えたツールの積極的な開発、スクリーンリーダー対応の改善などを行ってきました。しかし、真の Web アクセシビリティを構築するためには、Wix のホームページ作成ツールを充実させるだけではなく、個々の Wix ユーザーが作成するコンテンツのアクセシビリティも同じく向上させていく必要があることに気づきました。


この問題を解決するためにまず行ったのが、Wix ユーザーにアクセシビリティのチェックリストを提供することです。このリストをもとに、ユーザーは自分の作成したサイトのデザインが最も基本的なアクセシビリティ要件に見合っているかを確認することができます。また、このリストは、視覚インジケータを有効にする、カラーのコントラストを向上させる、サイト構造を組み立てる、適切なフォントを選択するといったサイトのコンテンツ調整を行う場合にも役立ちます。


しかし、ユーザーやアクセシビリティの専門家にリストについてのフィードバックを依頼したところ、ほとんどの人が「リストが長すぎる」「時間がかかる」という印象を受けたと回答したのです。これを受けて、ユーザーがサイト上のアクセシビリティに関する問題を簡単に見つけ、エディタですぐに修正できる新たなソリューションとして誕生したのが 「Wix アクセシビリティウィザード」です。



Wix アクセシビリティウィザードの仕組み


アクセシビリティウィザードは Wix が開発した多くのアクセシビリティツールの中でも最も洗礼された機能で、Wix エディタ上で利用することができます。Wix のアクセシビリティ機能は、 Web アクセシビリティの国際的なガイドラインである Web Content Accessibility Guidelines(WCAG 2.0)に準拠しています。現在、新しいバージョンである WCAG 2.1 および 2.2 に適合するための準備も進めています。


アクセシビリティウィザードは、Wix エディタを直接操作しながらよりアクセシビリティの高い Web サイトを作成できるツールです。わずか 3 ステップで、サイト上のアクセシビリティに関する問題を特定し、修正することができます。問題の内容と具体的な解決方法も表示されるので、サイトの調整がスムーズに進みます。この機能の特徴は次の通りです。



01. 自動スキャン&アドバイス


サイトのアクセシビリティを高めるための最初のステップは、今どのような問題が起こっているかを特定することです。アクセシビリティウィザードを開くと、まずサイトのスキャン許可を求めるメッセージが表示されます。


スキャンが完了すると、ウィザードがサイト上でアクセシビリティに関わると思われる問題点を表示します。代替テキストが入力されていない、テキストとアイコンのカラーコントラストが十分でない、サイト構造など見出しタグの階層が間違っているなど様々な原因が考えられます。これらの問題が発生している正確な箇所を画面で確認し、指示に従ってエディタでひとつずつ修正します。



Wixのアクセシビリティウィザードスキャン中


02. 具体的な解決策を提示


上記のステップが完了したら、サイトのさらなる調整のためのチェックリストが表示されます。このステップでは、上記のスキャンのステップで検知することが難しい問題の確認を行います。画面に表示される手順詳細に従ってサイトを確認し、それぞれのパーツを調整してさらにアクセシビリティが高いサイトに仕上げます。


サイトを修正したことで Web デザインなどに思わぬ影響が出てしまう可能性もあるため、このセクションの手順をひとつずつ進めてサイトを目視で確認することをお勧めします。発見した問題を修正したらサイトを再度スキャンし、新たな問題がないかを確認します。何も問題が検知されなかった場合は、完了画面が表示されます。


ここまで来たらサイトを公開し、すべての修正点を反映させましょう。アクセシビリティに関する法律は国や地域により異なるため、アクセシビリティの専門家にレビューを依頼してご自身のサイトが現地の法律に適合しているかを確認しておきましょう。


Wix の使い方のヒント:サイトを編集するときは毎回このウィザードを実行することをお勧めします。サイトに変更を加えたことで、アクセシビリティに関する新たな問題が発生してしまうこともあるからです。安全策として、毎回必ずチェックしましょう。



Wixのアクセシビリティウィザード設定画面


03. 高度なアクセシビリティ設定


サイトのアクセシビリティをさらに向上させるために、Wix プラットフォームには高度なアクセシビリティ機能が組み込まれています。ほとんどの機能は自動的に有効化されていますが、ウィザードからこれらの設定を直接確認・修正することができます。


  • スマートフォーカスリング視覚インジケータは、キーボードを使用してサイトを移動するユーザーをサポートする機能です。この設定を有効にすると、キーボードの使用時にスマートフォーカスリングが自動的に表示されます。フォーカスリングは二色構成で、サイトの背景色に関わらず常に表示されます。

  • メインコンテンツにスキップ:この設定を有効にすると、ユーザーがキーボードを使って各ページのメインコンテンツに直接スキップできるようになります。

  • 自動 DOM 順序:パーツをドラッグアンドドロップして、サイト内のパーツの順序を自由にデザインすることができます。サイトの自動 DOM(ドキュメントオブジェクトモデル) 機能を有効にすると、パーツの視覚的な順序でコンテンツを整理し、キーボードやスクリーンリーダーを使用する訪問者によりサイトを簡単に操作してもらえるようになります。

  • 高度な開発ツール:より高度な機能を希望するユーザーは、パーツに ARIA 属性を追加してスクリーンリーダーなどの補助技術を使用する訪問者のユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。また、Velo by Wix を使用して独自に構築したアプリとコンポーネントにカスタム属性を追加することもできます。



アクセシビリティウィザードの使い方:

  1. PC でエディタにアクセスします。

  2. トップバーで「設定」をクリックします。

  3. 「アクセシビリティ設定」を選択します。

  4. アクセシビリティ設定の「サイトをスキャン」をクリックし、設定を開始します。

アクセシビリティウィザードの使用方法についての詳細は、こちらをご覧ください。



Wixのアクセシビリティウィザード設定方法


Wix が Web アクセシビリティを重視する理由


すべての Wix ユーザーが使いやすいサイトをデザインできるようにすること、そしてインターネットをよりインクルーシブな場所にすることは Wix が果たすべき責任であり、サイト訪問者と所有者の双方にとってのメリットにもなります。ネットショップ、ビジネスサイト、オンラインポートフォリオなど、運営しているサイトの種類にかかわらず、アクセシビリティを高めることで法的なリスクを最小限に抑えながらブランドを強化し、サイトのパフォーマンスを向上させることができます。


マーケットリーチの拡大


かつては「サイトのアクセシビリティ向上と SEO(検索エンジン最適化)は同時に実現できない」と信じられていました。しかしこれは事実ではありません。代替テキスト見出しタグなど、Wix でも活用できる多くの Web アクセシビリティ機能は、実際にサイトが検索エンジンから高評価を得て検索順位を改善することに役立ちます。


インクルーシブな環境とは、サイトの成長に伴いオーディエンスと顧客層も一緒に成長していくことを指します。小売ビジネスの世界が急速に変化を遂げている今、障がいを持つ多くの人々がオンラインで買い物をするようになり、6 兆ドルを超える新たなマーケットが生まれました。これは、オンラインプレゼンスを重視するビジネスが「すべての潜在顧客に平等なアクセスを提供することが重要」ということを示したひとつの例だと言えます。


ポジティブなブランドイメージを助長


アクセシビリティの向上に熱心に取り組む姿勢はブランドイメージにも良い影響を及ぼすほか、ユーザーエクスペリエンスと顧客満足度を向上させるきっかけともなります。


また、 Web サイトとブランドのミッションの一部として「ダイバーシティ」を掲げることも、良好な顧客関係やブランドロイヤルティを維持するための鍵です。さらに、この姿勢を通じて、あなたのビジネスが社会的な変化とインクルージョンを尊重していることを訪問者に知らせることもできます。


イノベーションを積極的に後押し


アクセシビリティ関連のツール、機能、そして製品を活用することでサイト上の予期していなかった問題が解決され、結果としてすべてのサイト訪問者にメリットを提供することができる場合も多々あります。フルキーボード機能、スマートフォーカスリング、スクリーンリーダー向けのコンテンツ形式の調整など、利用できる機能は多岐にわたります。


Wix では Web アクセシビリティの業界標準を設定し、クリエイターや Web デザイナー、開発者、さらには業界の競合他社にもインスピレーションを与えられるような革新的なソリューションを提供することを目指しています。それを通じて、すべての人が Web 上の機能を完全に体験し、満足ゆくやり取りができるような世界をつくることが目標です。


多くの地域での法律上の義務


Web アクセシビリティは実際のところ、法律にも関わってくる概念です。多くの国の法律ではデジタルアクセシビリティが義務化されており、これを遵守しなかった場合は罰金が科されます。これらの規制は常に進化しており、地域によってその内容は異なります。


2016 年、ドミノピザが Guillermo Robles という目の不自由な男性に訴えられたのは有名な話です。Guillermo さんはスクリーンリーダーソフトを使用してオンラインでピザを注文しようとしたができなかったため、これが障がいを持つアメリカ人のための法律(Americans with Disabilities Act、ADA)に違反していると訴えました。ドミノピザが「デジタルサービスに ADA を適用しなければならないという規則はなかった」と請願した後、連邦最高裁判所はこの件を地方裁判所に提訴。結果として、この訴訟は障がいを持つ人たちとその支援者にとって非常に大きな意味を持つものとなりました。


日本でのWebアクセシビリティ対応に関する環境


2024年4月1日に施行される「障害者差別解消法」の改訂により、民間の事業者にとっては「合理的配慮」が義務化されます。これは、Web アクセシビリティの確保自体を義務化するものではありませんが、以下の場合には、「合理的配慮」の提供が義務化されます。

「合理的配慮」とは?

  1. 行政機関等と事業者が

  2. その事務・事業を行うに当たり

  3. 個々の場面で、障がい者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に

  4. その実施に伴う負担が過重でないときに

  5. 社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること 



この、「合理的配慮」の提供は、オンラインでのサービスにも当てはまり、環境を整備し、Web アクセシビリティを確保することの重要性は高まっています。


これから、Web アクセシビリティ対応に取り組む方は、デジタル庁が公開している「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(デジタル庁)に一度目を通してみることもおすすめです。





Wix における Web アクセシビリティの未来


Wix は Web をすべての人にとってより良い世界にするために尽力しています。アクセシビリティ専任のチームは今後も、ユーザーとサイト訪問者により便利なサービスを提供できるよう、さまざまな取り組みを続けていきます。


Wix は国際的なムーブメントである Web アクセシビリティの動向に強く興味を持っており、Wix ユーザーの皆さんと共により良い機能を開発していきたいと思っています。


\全世界ユーザー数2億人以上/


 

Wix とは?


Wix は、ノーコードでフルカスタマイズが可能な Web サイト作成プラットフォームです。サイトを構築し、ビジネスを成長させるための強力な、SEOツールやマーケティングツールを提供します。まずは無料でホームページ作成をはじめましょう。


Miyuki Shimose

編集者: Miyuki Shimose

ブログ コンテンツマネージャー

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