執筆者:Maddy Osman
Web サイトは決して「作ったらそれで終わり」ではありません。ビジネスが成長し、変化していく中で、ユーザーがサイトにアクセスし、きちんと使えることを常に確認しておく必要があります。
サイト上で既存のページの URL を変更する際は、いくつか考慮すべき点があります。一番重要なのは、他のページからそのページへのリンクの有無です。また、そのページをブックマークしているユーザーがいるかもしれないことも覚えておきましょう。古いページからのトラフィックを新しいページにリダイレクトしなければユーザーは正しい場所にたどり着けないため、潜在的な顧客や閲覧数を失うことになりかねません。
301リダイレクトを使用すると、トラフィックを正しい場所に誘導することができます。301リダイレクトは、Web サイトのアドレス(URL)が移動したことと、コンテンツの新しい場所をブラウザに伝える役割を果たします。
リダイレクトは中小企業のホームページを拡張する場合や、ブログサイトの構造を見直す場合など、さまざまな場面で重宝します。中でも、301リダイレクトは Web サイトを再構築する際に、URL の SEO 的な価値を保持するために役立ちます。
この記事では主に以下のことについて解説します。
301リダイレクトの基礎知識
301リダイレクトはインターネット上のステータスコードで、ある URL を別の URL に永久にリダイレクトするために使用されます。ステータスコードはページの状態を分類するための番号のことで、 HTTP リクエストが成功(または失敗)したかどうかを理解するのに役立ちます。
「301」という数字は、特定の HTTP ステータスコードを指します。他の標準コードには、302(一時的なリダイレクト)、500(サーバーエラー)、および404(Web ページが見つからない)などがあります。
301リダイレクトは古い URL と新しい URL の2つのフィールドで構成されており、探しているページが別の場所にあることと、その現在位置をブラウザに知らせます。
301リダイレクトは、ユーザーを新たな URL に誘導するだけでなく、検索エンジンにもページの場所を知らせる役割を果たします。検索エンジンはこのコードを使用してインデックスを更新するため、これが SEO にとってもどれだけ重要かがお分かりでしょう。ご存知の通り、インデックスのわかりやすさ(インデクサビリティ)は SEO で不可欠な要素です。
301リダイレクトを使用するタイミング
URL に変更を加えるときは毎回、トラフィックをリダイレクトする必要があります。たとえば次のような場合です。
ドメイン名の変更
HTTP から HTTPS へのアップグレード
Web ページの移動
サイト構造の刷新
サイトのドメイン名自体を変更する場合などは、 SNS やメルマガでの告知を徹底すれば、表面的にはトラフィックをリダイレクトする必要がないように見えるかもしれません。しかし、古いサイトの URL をブックマークしているユーザーは一定数いるものです。SNS でドメイン変更のお知らせを見たからといって、ブックマークの記録をユーザー自身で変更することはほぼないと言えるでしょう。
ユーザーがブックマークされた古いリンクを開いた場合、正しい場所(新しいドメインのサイト)にたどり着けるかどうかはサイト所有者であるあなたの責任です。サイトを開いて404エラーが表示されてしまうと、ブランドにとって悪い印象を与えます。これに加えて、トラフィックや潜在的な売上まで失うことは絶対に避けたいはずです。
Web サイトの内部リンクを更新する場合も同じです。たとえば、会社概要ページに同じサイト内へのリンクを張っていたが、そのリンク先のページを移動した場合などはきちんとリダイレクトを設定しておきましょう。リンクが壊れているだけでも、ユーザーがその企業に対して抱く信頼感は揺らいでしまいます。
301リダイレクトと SEO
さて、ページをリダイレクトすると SEO はどうなるのかが気になるところですよね。これに対する答えは年々変化していますが、2016年に Google ウェブマスタートレンドアナリストの Gary Illyes さんは「リダイレクトはページランクに悪影響を与えない」ことを認めています。
これは、リダイレクトを行った場合でも旧ページのリンクエクイティ(リンクの評価価値)が新しいページに引き継がれるということを意味しています。
301リダイレクトを設定すると、検索エンジンがインデックスを更新するためリンクが評価されるまでには少し時間がかかります。検索エンジンがページの表示順位をスムーズに決定できるよう、リダイレクトを適切に設定することが大切です。
301リダイレクトで避けるべき間違い
301リダイレクトは簡単に設定できますが、一歩間違えると SEO に悪影響が及ぶ可能性があります。ここでは、設定の際に避けるべき間違いをいくつかご紹介します。
【NG 例 No.1】リダイレクト設定のタイミングが不適切
新しい URL の準備が整う前にリダイレクトを設定するのはやめましょう。現在公開されているウェブサイトから、まだ作成中のウェブサイトや、期待した内容とまったく違うコンテンツのサイトに移動してしまうことは避けたいものです。
また、その逆も要注意です。301リダイレクトが設定されていることを確認せずにドメインを移動しないようにしましょう。古いサイトと新しいサイトの間でトラフィックが分割されてしまうため、ユーザーだけでなく検索エンジンのクローラーをも混乱させることになってしまいます。
これについて、次の例を題材にして考えてみましょう。
2010年、米トイザらスは510万ドルを投じて新しいドメイン「toys.com」を購入したものの、ドメイン移行時に301リダイレクトを使用しないという致命的なミスを犯しました。Google 検索ではこの toys.com がまったく新しいドメインとして扱われたため、トイザらス公式サイトの SEO 効果は大きく低下したのです。
【NG 例 No.2】リダイレクトチェーンを作成する
リダイレクトチェーンとは、あるリンクをリダイレクトし、そのリンクを再びリダイレクトすることです。要するに、ブラウザに別のリンクに移動するよう指示を与え、その遷移先のリンクからまた新たな指示を与えるということです。これは、ページの読み込み時間を遅くし、検索エンジンを混乱させる可能性があります。
リダイレクトは明確かつ簡潔に設定しましょう。Web サイトを最近更新したという方は、一度サイト全体をチェックして不要なリダイレクトチェーンがないかを確認することをお勧めします。
リダイレクトのベストプラクティス:これから設定しようとしているリダイレクトと既存のリダイレクトを比較し、意図しないチェーンが発生していないことを確認しましょう。Wix は、リダイレクトを一括でアップロードする際に潜在的なループを検出することで、リダイレクトの設定前にチェーンの発生を自動で回避します。
【NG 例 No.3】リダイレクトが機能しているかどうかの検証を怠る
少々面倒に感じるかもしれませんが、301リダイレクトが機能し、正しい場所に遷移することを手動で確認しておくと安心です。Wix でリダイレクトを編集したら、ライブサイトを開いて正しく設定されていることを確認しましょう。
【NG 例 No.4】アンカーテキストとリンク先コンテンツの関連性がない
たとえば、多くの被リンクを持つ人気ブログを運営している場合などは、それらのリンクの設定方法について一度考えてみてください。リンク先とアンカーテキスト(リンクが張られるテキスト)は関連性があるものになっていますか?
ブログ「Web サイトのフォロワーを増やす10のヒント」が、「質の高いブログを書くための5つの方法」という別の記事にリダイレクトされていたら、ユーザーは混乱し、あなたのサイトに対する信頼が失われてしまう可能性があります。
301リダイレクトを使ったトラフィック増加のテクニック
301リダイレクトは、単にユーザーと検索エンジンを正しい目的地に導くためのツールにとどまらず、さまざまなケースでトラフィック増加に貢献します。
キーワードのカニバリゼーションを修正する
同じキーワードで上位表示しようとするページが複数ある場合(キーワードカニバリゼーションと呼ばれます)、301リダイレクトを使用して Web サイト上のページ間の潜在的な競合を防ぐことができます。
Google は2019年、「ダイバーシティアップデート」として知られるアルゴリズムの更新を実施しました。これは検索エンジンの結果を整理し、1つのドメインが上位表示結果に2回以上表示されないようにするための施策です。このアップデート(および今後予想される同じ方向性のアルゴリズム更新)を考えると、1つのキーワードのみでマーケットを攻めようとするよりも、複数の異なるキーワードで上位表示を目指すようにする方が良いと予想されます。
関連ページを統合する
直帰率(2ページ目を訪れる前に Web サイトから離脱する人の割合)が高い類似のページが2つ存在する、またはトラフィックが中程度でもっと増やせる可能性がある場合は、301リダイレクトを使ってこれらのページを統合し、アクセス解析結果の改善を図ることができます。
類似企業の買収
他のビジネスとの合併は、企業の成長を加速させるための有望なステップです。たとえば、ある企業を買収してその会社のサイトを吸収した場合、そのトラフィックを自社サイトにリダイレクトさせることで、サイトの権威性と閲覧数の向上が見込めます。
クローラーにとって使いやすい Web サイトに仕上げる
URL 構造が複雑すぎると検索エンジンは混乱してしまいます。301リダイレクトを利用すれば、こういった場合にも正確な URL の橋渡しをスムーズに行うことができます。コンテンツの主要なキーワードと関連するサブディレクトリ(/blog など)に加えて、カテゴリや日付などあらゆる要素を含んだ URL は、クローラーが処理する上ではあまり好ましくありません。
サイトが拡大し、ページ数が増えるにつれてこのような現象が起こりやすくなります。たとえば、以下の2つの例では、最初の 1) の方が検索エンジンにとって分かりやすい URL 構造です。
1) choosechicago.com/blog/top-chicago-attractions
2) choosechicago.com/blog/11/2020/top-chicago-attractions
Wixでリダイレクトを設定する方法
単一の301リダイレクト(シングルリダイレクト)は簡単に設定できます。古い URL と新しい URL を指定するだけで、残りの設定はすべて Wix が行います。
ダッシュボードで SEO ツールを開き、リダイレクトマネージャーをクリックします。
このページでリダイレクトの一覧を確認または新しいリダイレクトを作成することができます。新しいリダイレクトを作成するには、「+新しいリダイレクト」ボタンをクリックします。
画面上で旧 URL と新 URL を追加し、「保存」をクリックすると設定は完了します。
変更する URL が複数ある場合は、グループリダイレクトを選択します。この方法では複数ページのリダイレクト設定を一括で変更できるため、各ページのパスを個別に指定する必要がありません。たとえば、商品ページや古いランディングページなど、特定種類のページのグループをリダイレクトするときに便利です。
スプレッドシートを使ってリダイレクトリンクを一括でインポートすることもできます。これにより、リダイレクトのマッピングとアップロードをすばやく行えます。グループリダイレクトの設定ステップについての詳細は、こちらの動画(英語)をご覧ください。
Web サイトの URL 自体を変更する場合は、あるドメインを別のドメインにリダイレクトさせることができます(the-blogsmith.com を theblogsmith.com にリダイレクトするなど)。また、ブランド名を変更して新しいドメインを購入した場合や、.comと .net の両方のバージョンの拡張子を使用したい場合などにもリダイレクトが活躍します。
このリダイレクトを設定するためにが、まず2つ目のドメイン(セカンダリドメイン)を Wix に接続します。そこから、セカンダリドメインを Wix 上のプライマリドメインにリダイレクトすることができます。
301リダイレクトでユーザーと検索エンジンを正しく誘導しよう
301リダイレクトは、URL が移動した場合でも元の SEO 効果を維持するために役立つ機能です。301リダイレクトの効果をさらに高めるために、競合するコンテンツを含む類似のページを統合したり、合併した企業のサイトとコンテンツを吸収するなど、上記で紹介した例を活用して SEO 観点からサイトの質を高めていきましょう。
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