EEATとは?知っておくべきGoogle検索品質評価ガイドラインのポイント
Google は検索結果を精査し、フィードバックを提供するために何千人もの従業員を雇用しています。この役職についている人たちは通常「検索品質評価者」と呼ばれます。
「検索をより有用なものにするためにはどのような変更が必要なのかを知るために、彼らのフィードバックは非常に役立ちます。評価者からの回答は変更を評価するために使用するのみで、回答によって検索結果のランキングに直接的な影響が及ぶことはありません」というのが Google の見解です。
つまり、レストランが顧客からの意見を取り入れるように、Google も検索品質評価者からのデータを採用しているのです。このフィードバックは、Google のアルゴリズムが意図したとおりに機能しているかどうかを評価するのに役立ちます。
評価者からのフィードバックは直接ランキングに影響を与えることはありませんが、時間の経過とともに、Google にアルゴリズムの調整方法についての情報を提供します。これらのアルゴリズムは、Web 上のコンテンツがどのようにランク付けされるかの鍵を握っています。
品質評価者が従う評価基準は、Google 検索品質評価者ガイドライン(Google Search Quality Evaluator Guidelines、英語)と呼ばれています。このガイドラインは、評価者が検索結果を判断する際の基準を定めたもので、Google が何を「高品質な結果」とみなすかを記しています。Google が期待することを念頭に置いてコンテンツを作成することで、検索意図との関連性を示し、上位表示の可能性を高めることができます。
まずは、Google のガイドラインで広く言及されている以下の2つのコンセプトについて知っておきましょう。
経験、専門性、権威性、信頼性(E-E-A-T)
Your Money or Your Life(YMYL)
この記事ではこれらの概要と伝え方について解説します。Google が定める期待値を把握し、自身のサイトのコンテンツにどのように適用できるかを考えてみましょう。
経験、専門性、権威性、信頼性(EEAT)の定義
E-E-A-T は簡単に言えば、特定のページに対するコンテンツの信頼性を測る指標です。E-E-A-Tが高いコンテンツは「検索者を満足させる可能性が高い」とみなされ、これは Google が検索を通じて実現したい最終目標でもあります。
(引用:Google 検索品質評価者ガイドライン)
あるページのE-E-A-Tを評価する際、評価者は以下の点を考慮するよう指示されます。
1. Experience(経験):
ユーザーに役立つ「実際の体験」に基づく情報が評価されます。 情報提供者が実際に体験したエピソードや詳細な描写があることで、Googleはそのコンテンツをより信頼性の高いものとみなします。
例:商品レビューでの使用感や、旅行記事で訪問した場所の写真を共有するなど。
2. Expertise(専門性):
提供される情報が専門的な知識に基づいていることを意味します。資格や職歴など、執筆者の専門性を示す情報をプロフィールや記事に記載することが重要です。
例:医療分野では医師や専門家の執筆、金融分野では証券アナリストの解説。
3. Authoritativeness(権威性):
情報提供者やサイト自体が、その分野でどれだけ信頼されているかを示します。業界団体や他の権威あるサイトからリンクを得ることで、権威性を強化できます。
例:信頼性の高いドメイン(.govや.edu)や、大手ニュースサイトからのバックリンク。
4. Trustworthiness(信頼性):
ユーザーが安心してその情報を信じられるかどうかに関わります。ユーザーレビューや実際の顧客の声を掲載することで、信頼性を向上させられます。
例:運営者情報や連絡先の明示、プライバシーポリシーの整備。
この基準は、ゴシップやファッションサイト、フォーラムなど、あらゆるタイプのページやサイトに適用されます。これらすべてのサイトに、E-E-A-T の評価が高い要素を含めることができるからです。
E-E-A-T の評価が高いとされるコンテンツの例とその条件をご紹介します。
ニュース記事:ジャーナリズムの理念に即した専門性を示していること、事実に基づく正確な内容であること、また訪問者が出来事をよりよく理解するのに役立つ方法で提示されていること。E-E-A-T の高いニュースソースは通常、編集方針と審査プロセスを公表しています。
医療分野のアドバイス:医療に関する専門知識または認定を受けた人または組織によって作成されていること。専門家による執筆 / 制作、編集、レビューを経た上で、定期的に更新されている必要があります。
科学的な話題に関する情報ページ:科学的な専門知識を持つ人または組織によって作成されており、確立された科学的コンセンサス(科学的合意形成とも。業界的にコンセンサスが存在する場合)を代表したものであること。
金融・法律・税金分野のアドバイス:信頼できる情報源から発信され、定期的に更新されていること。
ニッチなアドバイス(例:家の改築、子育てなど):信頼できる経験豊富な情報源から提供されていること。これらのトピックは個人の財政や総合的な幸福に影響を与えるため、信頼性が重要となります。
趣味に関するページ(例:写真、ギター演奏など):専門知識を持った人により執筆されていること。
一口に専門知識といっても、医療に関するアドバイスとアマチュア向けの写真撮影のヒントではその専門性に大きな差があります。そのため、何を専門知識として評価するかはトピックによって異なります。品質評価者は日常的な専門知識を評価するように指示されているため、コンテンツ作成者があるトピックについて専門家と言えるほどの経験を積んでいれば、正式な教育やトレーニングを受けていないことを理由にペナルティを受ける可能性はほとんどありません。
E-E-A-Tの評価方法
検索品質ガイドラインは Google の評価者(人)のためのものであり、検索エンジンのアルゴリズムではないことをまず覚えておきましょう。Google Public Search Liaison(Google 検索パブリック リエゾン)の Danny Sullivan 氏は、この関係を次のように説明しています。
Google のシステムが E-E-A-T を探しているわけではありません。E-E-A-T を使用するのは Google の評価者であり、彼らは「Google のシステムが良い情報を表示するためにうまく機能しているかどうか」を確認するために E-E-A-T を参考にしています。(評価を決める条件として)さまざまなシグナルがあり、正しく参照すれば人が見て良いと思う E-E-A-T 評価と一致します。
つまり、Google は「人間による優れた E-E-A-T 評価」の代わりにさまざまなシグナルを利用しているのです。
サイト所有者にとっては残念なことに、 Google から E-E-A-Tの概算に使用できる残りのシグナルは開示されていません。しかし、SEO の専門家は Google の品質評価者ガイドラインをもとにして、Web サイトが経験、専門性、権威性、信頼性を顧客に伝えられるようなベストプラクティスを編み出してきました。その分野に精通したライターを起用する、情報源を記載する、コンテンツを定期的に更新するなどさまざまな戦術がありますが、ベストプラクティスは業界によって多少異なります。
Your Money or Your Life(YMYL)コンテンツの定義
コンテンツを作成する場合、採用するトピックによって深刻度(ユーザーにとっての重大度)は大きく異なります。さらに、作成するにあたって他のトピックよりも E-E-A-T が必要となるコンテンツもあります。この観点から、Google は人の幸福、健康、財政、安全に影響を与える可能性があるページを「Your Money or Your Life」と呼んでいます。
「これらの YMYL ページは一般的に、ユーザーの間で “Google が信頼性と安全性に関して最も厳しい基準を採用している” コンテンツとして認知されています」と述べられています。「ユーザーのクエリが YMYL トピックに関連していることをアルゴリズムが検出した場合、Google はページの順位付けを行うにあたって、検索クエリへの応答として提示するページの権威性、経験、専門性または信頼性(E-E-A-T)の理解などの要因をより重視するようになります」
簡単に言うと、Google のランキングアルゴリズムは、YMYL トピックの E-E-A-T を示す要素により重きを置いているということになります。
まずは、作成しているコンテンツが YMYL トピックに該当するかどうかを知る必要があります。該当する場合はその E-E-A-T を強化し、定期的に更新するなどの戦略を立てましょう。こうすることで訪問者に最も正確な情報を提供し、検索でもコンテンツが上位表示されるに値するというシグナルを Google に送ることができます。
以下では、検索品質評価者ガイドラインの2.3項(英語)より、YMYL トピックの例をご紹介します。
ニュース・時事問題:国際情勢、ビジネス、政治、科学、技術など重要なトピックに関するニュース。ただすべての記事が必ずしも YMYL とみなされるわけではありません。スポーツ、エンターテインメント、ライフスタイルなどの話題は一般に YMYL とはみなされません。
公民・政府・法律関連:投票、政府機関、公共機関、社会サービス、法律問題(例:離婚、子供の親権、養子縁組、遺言書の作成など)に関する内容。
金融:投資、税金、退職後の生活設計、ローン、銀行、保険などに関するアドバイスや情報。商品・サービスの購入や送金を行うことができるサイトにも当てはまります。
ショッピング:購入に関するコンテンツやサービス(購入を許可するための Web ページを含みます)。
健康・安全:医療問題、薬、病院、緊急時の備え、活動の危険度などに関するアドバイスやコンテンツ。
集団:人々のグループに関する情報または主張。これには、人種、民族、宗教、障がい、年齢、国籍、退役軍人の地位、性的指向、性別、性自認などに基づく集団が含まれます。
その他:フィットネス・栄養、住宅情報、大学選び、就職活動など。大きな決断や人々の生活の重要な側面に関連する数多くのトピックが YMYL とみなされる可能性があるため、場合に応じて判断するようにしてください。
E-E-A-T の伝え方
前述の通り、PageRank アルゴリズムは E-E-A-T を判断するためのシグナルの1つです。たとえば、コンテンツへの被リンクを獲得することで Google に E-E-A-T を伝えることができます。しかし、SEO 業界では「すべての被リンクが同じ価値を持っているわけではない」というのがコンセンサスとなっています。
Google が、YouTube 動画のコメント欄に張られたリンクを政府機関のウェブサイトやワシントン・ポストからのリンクと同じように高く評価することはないでしょう。このため、フォーラムでスパムリンクを貼ったり、プライベートブログネットワークで違法なリンクを取得したりしてシステムを操作することは困難です。
被リンクだけでなく、サイトの信頼性を保証する方法はいくつかあります。ここでは、そのいくつかを紹介します。
「会社概要」ページを作成する:組織の歴史やスタッフを紹介することで、サイトの E-E-A-T を高めることができます。透明性を保ちつつ、コンテンツが信頼に値する理由を強調しましょう。会社概要ページは、数十年の経験に基づく専門的な意見を掲載するにはもってこいの場所です。
連絡先を表示する:会社概要ページとフッターに連絡先を記載しましょう。訪問者が簡単に連絡できるようにすることで、信頼できる会社であることを伝え、信用を築くことができます。
著者の経歴を掲載する:著者の経験や資格を紹介し、信頼できる専門家によるコンテンツであることを訪問者に伝えましょう。著者の SNS アカウントやメールアドレスなど、連絡先として有効なリンクを掲載します。
HTTPS を使用する:HTTPS の採用は急速に広がっていますが、Google は HTTPS のサイトをより上位にランク付けしています。HTTPS を使用することで訪問者の情報を暗号化し、より安全なサイトを構築できます。時に、セキュリティの高さはサイトの信頼性と比例して捉えられる場合もあるためこの指標は重要です。
また、コンテンツを通じて E-E-A-T を伝えるために、以下のようなポイントに気を配りましょう。
コンテンツ全体を通して焦点を絞る:たとえば、自動車整備士に対して水回りの相談をするのは明らかに的外れですよね?同様に、自分のサイトのテーマと無関係なトピックのコンテンツを公開すると、読者も混乱してしまいます。発信したいテーマをしっかりと確立し、関連するトピックがある場合はその関連性を説明するようにしましょう。
出典を明記する:根拠のない主張は単なる意見であり、信憑性も低くなります。情報の出所を明確に示すことで、情報源の E-E-A-T をあなたのサイトにできる限り引き継ぐようにしましょう。
コンテンツを常に更新する:これは、トピックが頻繁に変更される場合に特に重要な指標です。新鮮なコンテンツは最新の知見やトレンド、最新の出来事を考慮しているため、に適切だと捉えられる確率が高くなります。
信頼性の高いコンテンツで、訪問者と検索エンジンの双方にアプローチしよう
Google 検索品質評価者ガイドラインは、Google が評価するコンテンツの種類を詳しく説明したものです。これらの原則を念頭に置いてページを作成することで、検索エンジンによる評価を高めて表示順位を上げ、より多くの訪問者をサイトに誘導することができます。
さらに重要なのは、 E-E-A-T と YMYL は人を中心とした概念であるということです。この原則に沿ってオーディエンスに関連性の高い有益なコンテンツを届けることで、サイトのアクセス数を上げていきましょう。
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SEO エディトリアル ディレクター (Wix.com)
マーケターが検索エンジンの仕組みについて理解できるようなコンテンツを制作。検索エンジン関連ニュースのジャーナリストで、時に業界イベントでの講演も行っていた経験有り。