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ネットショップ開業の基礎知識:始め方と企業形態の完全ガイド


ネットショップ開業の基礎知識

ネットショップを開業したいけれど、何から始めればよいか分からない、失敗したくない。本記事では、そのようなネットショップ開業を検討中の人向けに、準備や手順、注意点を紹介します。ネットショップ作成ツール選びのポイントや開業手続きなど押さえておきたい基本が学べる完全ガイドとしてまとめました。


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目次



ネットショップとは?実店舗との違い


ネットショップと言えば「 Amazon 」、「楽天」、「Yahoo! ショッピング」が真っ先に思い浮かぶことでしょう。開業するにあたって、こういったネットショップと実店舗の特徴やメリット、デメリットについて確認し、自身のビジネスにはどちらが向いているのか改めて確認しましょう。

実店舗とネットショップの大きな違いは、販売場所です。ネット販売はオンライン、実店舗はオフラインの店舗そのものです。これら2つの特徴は、下の表のように大きく異なります。

実店舗

ネットショップ

販売場所

オフライン

オンライン

営業時間

従業員の営業時間内

無休

集客エリア

店舗の近隣

全国(全世界)

カスタマーサポート

店舗で接客

メール・チャット・電話

購入プロセス

商品を手に取って決める

商品写真や説明文、SNS

商品の届け方

手渡し

配達

信用

安心感がある

少し不安がある

コスト

低〜中

データ取得・分析

限定的

容易

このように、ネットショップはインターネットを利用するすべての人が、場所と時間を問わず購入できるという大きな利点があります。また、ネットショップは店舗の不動産に関わる費用や設備費などが不要であるため、初期費用やランニングコストを大幅に抑えられます。

ネットショップ開業から販売までの流れ


このようにメリットが大きいネットショップですが、開業するとなると具体的に何を決めていくのでしょうか。ショップ開業から販売までの流れを説明します。


ネットショップ開業から販売までの流れ


1 : コンセプト設計


まずは「どのようなネットショップを開業したいか」を固めましょう。具体的には

  • ネットショップ開業の目的

  • ショップのターゲット層

  • 取扱商品

など、事業の根幹となるコンセプトを設計します。コンセプトさえしっかりしていれば、ブランドイメージに磨きをかけ、ブレることなく競合他社との差別化を図りやすくなります。これらを基に、中長期的な事業計画を検討しましょう。また、どのようなビジネスモデルを利用するのかも決定しましょう。


  • D2C(Direct to Consumer):D2C とは、卸売業者、再販業者、小売業者などの中間業者を排除したモデルのことで、自社ブランド製品をオンラインストアから顧客に直接販売することを意味します。海外の有名な D2C e コマースの成功事例として、 Casper、 Warby Parker、 Glossier などがあります。

  • B2C(Business to Consumer):企業(法人)と一般消費者の取引です。たとえば、インターネットでの個人向けオンラインショッピングや地域の家電量販店、スーパーなどが B2C サービスにあたります。D2C ブランドと同様に、B2C ビジネスは消費者に直接製品を販売します。


D2C と B2C の大きな違いは、製造者と消費者との間に中間業者が介在するかどうかです。B2C は「企業と消費者の取引」ではあるものの、実際には企業と消費者の間に卸売業者や小売店が入りますが、D2C はよりシンプルな直接取引、つまり中間業者が介在せず、製造元が直接商品を販売する取引形態です。


  • B2B(Business to Business):B2B モデルはその名の通り、製品を他の企業に直接販売するモデルです。販売先の企業は、製品を最終的に使用する場合もあれば、製品を他の顧客に再販する場合もあります。


2 : 要件定義


次に「どのような EC サイトを作るか」を明確にします。ここで大切なのは、予算とスケジュールです。限られた予算と期日を明確にし、その範囲内で実現可能なネットショップ構築要件を固めていきましょう。どんな機能が欲しいか、または必要かを洗い出し、優先度順に検討します。



3 : プラットフォーム選定


ネットショップのコンセプトが決まり、必要な機能など要件も固まったら、それらを実現するためのプラットフォームを選びます。具体的には、 EC モール、 ASP 、 EC パッケージ、クラウド、オープンソース、または EC サイトを完全にゼロから自社構築するフルスクラッチなどの選択です。それぞれの初期費用やランニングコストに関しては次の表を参考にしてください。


​構築方法

初期費用

ランニング

コスト​

販売

手数料

代表的なサービス​

​ECモール

​約10万円~

約2万円~

あり

Amazon など

ASP(ECサイト制作プラットホーム)

無料~10万円

​月額サブスクリプション

あり/なし

​Wix Eコマースなど

ECパッケージ

約20万円~

約5万~

保守費用

運営人件費

​なし

​ecbeing など

クラウド

​約100万

​手数料

オープンソース

​約10万円~

​レンタルサーバー代

運営人件費

なし

EC-CUBE など

​フルスクラッチ

​約500万円~

​運営方法に依拠

なし

自社開発



4 : 決済方法の選定


ネットショップにおいて、決済手段は重要です。求める決済手段が導されていなければ、ユーザーは希望の商品が見つかってもサイトから離脱してしまいます。決済手段のニーズの変化に対応しながら、より利便性の高いサイトを構築することが重要です。


ネットショップでよく使われる代表的な決済方法と、そのメリットおよびデメリットをまとめました。参考にしてください。


  1. クレジットカード ネットショップで最も多く利用されているセキュリティ。セキュリティ対策が必要。

  2. コンビニ決済 クレジットカードがない人も買い物ができる。 セキュリティ面で安心前払いにしなければ料金未回収のリスクがある。

  3. 代金引換 商品受取時に支払いを行えるので一定のニーズがある再配達となった場合や配達が完了しない場合、代金が支払われない。

  4. キャリア決済 最近増えてきている決済方法、スマホ利用者をターゲットにできる利用限度額が比較的低く設定されているため、高額な商品には使えない

  5. 銀行振込 クレジットカードがない人も買い物ができる セキュリティ面で安心だが、銀行の営業時間が限られているためすぐに支払いが行われない可能性がある。

  6. 電子マネー 交通系ICカードなどを利用する比較的若いユーザーに有効。電子マネー対応のカート会社が少ない。

  7. 後払い ネットで購入する場合でも商品を手に取って確認してから支払いたいというニーズの層を拾える。決済手数料がかかる。

  8. ID決済 すでに持っているアカウントと連携するので支払いがスムーズ。決済手数料がかかる。



5 : サイト設計・デザイン制作

コンセプトに合ったデザインは大切ですが、使い勝手が悪く必要な情報が分かりにくいサイトでは、集客を見込めません。大切なのは、ユーザーにとって使いやすいサイトを目指すことです。

6 : 商品登録・各種手続き


販売する商品を実際にカートシステムに登録する作業です。価格や説明文などはミスがないように気をつけましょう。商品数が多い場合、 CSV ファイルでの一括登録機能があれば非常に便利ですが、この機能は有料オプションの場合もあるため事前に確認しておきましょう。


また、業種によってはネットショップ販売の許可や資格が必要な場合があります。たとえば、食品をネット販売する場合は食品衛生法に基づいた営業許可が必要です。



7 : テスト注文


準備ができたら必ずテスト注文を行いましょう。ユーザーが問題なく受注できるか、受注から発送までのデータ処理や従業員の作業工程を確認します。必要な改善点が分かれば、この段階で修正することが大切です。


8 : オープン・集客


いよいよサイトをオープン。ユーザーが利用しやすいサイトを目指して、継続的にサイトを改善していきましょう。




商品が売れてからお客様に届けるまでの流れ


商品が売れてからお客様に届けるまでの流れ

1 : 受注管理


商品が売れると、顧客の注文データを処理し、商品の発送準備を行います。入金処理から出荷までの作業はミスが起こると信用に関わるため、「受注管理システム」の検討をおすすめします。


2 : 在庫管理


在庫数の調整や管理を行いましょう。在庫不足は売り逃しが発生しますし、逆に在庫が多いと商品によっては保管コストが必要以上にかかります。


3 : 梱包・配送


注文を受けた商品は、倉庫に保管している場合は倉庫から取り出し、梱包後、配送業者に引き渡します。


4 : アフターフォロー


ユーザーの満足度を上げてリピートを増やすために、次回購入時に使用可能なクーポンを配布するとよいでしょう。万が一、ユーザーからのクレームを受けた場合は、誠意をもって対応しましょう。



受注管理システムとは?


受注管理システムとは主に、注文を受けてから入金処理を行い、商品を出荷するまでの管理システムです。在庫管理や帳票、納品書、請求書配送伝票の作成、購入者への確認および発送メールの送信も含まれます。これらをシステムに頼らず手作業で行うとなると、受注漏れや入力ミスが起こりやすくなります。スピード感を失わないためにも、一元管理できるシステムがあれば、顧客満足度の向上にもつながります。



実店舗とネットショップのメリット・デメリット


ネットショップと実店舗の違いについて述べましたが、さらに詳しくそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。


まず、ネットショップのメリットとデメリットを説明します。


ネットショップのメリット・デメリット

【メリット】

・24 時間 365 日、場所を問わず商品を購入してもらえる

・店舗の賃料や光熱費が不要で、開業から運営まで低コストで始められる

・実店舗よりも開業までの期間が短い

・企業だけでなく個人でも気軽に運営が可能


【デメリット】

・購入前に商品を直接手に取って確認できないため、返品を含むトラブルなどが起きやすく、クレーム対応が必要

・ショップの認知度や露出がうまくいかないと集客ができない

・実店舗でなければ売れにくい、または売ることができない商品がある


実店舗のメリット・デメリット


【メリット】


・購入前に手に取って確認できるので、クレームが起こりにくい

・顧客と直接会話をすることで商品の良さや注意事項などさまざまな情報を伝えられる

【デメリット】

・営業時間内にしか商品を販売できない

・店舗の立地が良くない場合は商品が売れにくく、立地変更も簡単でない

・開業までに時間がかかる

・店舗賃料や光熱費などのコストがかかる


ネットショップの最大の利点は、インターネットを利用するすべての人が、場所と時間を問わず購入できるという点です。商品によっては、世界中から購入することも可能です。また、ネットショップは初期費用やランニングコストを大幅に抑えられます。



知っておきたい4つの会社形態とは?


ネットショップ開業し、法人化を考えているなら知っておきたい4つの会社形態について紹介します。


知っておきたい4つの会社形態とは?

会社形態とは?


会社形態とは、出資者の責任の範囲で分けられる法人規格です。事業所得が増えると個人事業主では税負担が重くなるため、法人化することで、個人事業主を超える節税制度を利用できます。ひと言で「会社」といっても、日本の会社法では「株式会社」、「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」 の 4 つに分類されています。


これら 4 種類ある「会社」は、出資者が会社の債務をどの程度負うかという責任の範囲の違いによって分けられます。


会社の持ち主である個人が、出資額を超えてまで責任を負う必要がない場合を有限責任といい、株式会社と合同会社がこれにあたります。一方、出資額を限度とせずに責任を負う場合を無限責任といい、合名会社と合資会社がこれにあたります。経営者が無限に責任を負わなければならない可能性がある「合名会社」や「合資会社」を設立するメリットはなく、法人設立の際は、万が一のときのリスクが少ない有限責任である「株式会社」か「合同会社」のどちらかを設立するケースが多いです。


株式会社

合同会社

合資会社

合名会社

最低出資者数

​1名

​1名

​​2名

​​1名

出資者の責任

有限責任

有限責任

有限責任と

無限責任

無限責任

出資者の呼称

株主

社員

社員

社員

定款

必要

不要

不要

不要

定款費用

資本金 100万円未満:3万円 ・100万円以上 300万円未満: 4万円 ・その他: 5万円

登録免許税

「資本金額の 7 / 1000」または 「15万円」のどちらか高い方

「資本金額の 7 / 1000」または 「6万円」のどちらか高い方

6万円

6万円


株式会社と合同会社の違いは?


では、「株式会社」と「合同会社」にはどのような違いがあるのでしょうか。


認知度:

株式会社は、合同会社に比べて古くから存在し、世間一般の認知度は株式会社の方が高く、取引先や銀行の印象は良いでしょう。


資金規模:

株式会社は、「株式」の仕組みを利用し、広く大衆から資金を集めて、会社の規模を大きくできます。いずれは株式を公開したいという夢がある場合は、迷わず株式会社をおすすめします。


意思決定の方法:

会社での決定事項は、株式会社の場合は、株式の数が多い人の意見が通ります。自分が一番多くの株式を持っていれば、自分の思い通りに経営ができます。しかし、自分よりも多くの株式をもっている人がいれば、自分の思い通りに経営をすることは困難になります。

一方、合同会社の場合は、出資者の話し合いで決めることになります。社内の信頼関係が重要ですので、合同会社は、家族経営に向いていると言えるでしょう。


このように、将来、規模を拡大するのであれば「株式会社」、家族経営を続けるのであれば「合同会社」がよいでしょう。また、会社設立時の費用や手続きは合同会社の方が安くて簡単です。株式会社の設立において、登録免許税として支払う金額は 15 万円。対して、合同会社は 6 万円です。


その他に必要な費用の合計は、株式会社では 25 万円程度、合同会社では 10 万円程度です。「費用をかけずに簡単に設立したい」という場合は、合同会社にメリットがあるでしょう。



個人事業主 VS 合同会社


では、個人事業主としてネットショップを開業するのか、合同会社を設立するのか、どちらの方がメリットがあるのでしょうか。合同会社は 10 万円程度からと比較的低コストで会社設立できる上、個人事業主よりも信用度が高くなるため、金融機関からの資金調達がしやすくなります。


また、所得が高くなると、合同会社にかかる法人税の方が個人事業主にかかる所得税よりも税率が低くなるため、節税効果も期待できるのです。


ただし、個人事業主よりも経理事務が煩雑になり、税理士・会計士の手を借りる必要が生じ、そのための時間やコストが必要となるデメリットもあります。



ネットショップ開業に開業届は必要?


さて、ビジネスモデルと会社形態について理解がすすんだところで、開業届について解説します。 上記の会社形態に属する、「会社」を設立する場合は、会社名や所在地などの情報を「登記」する義務があり法律で定められています。一方、個人事業主の場合は、会社登記のような法律がないため、「開業届」の有無は大きな問題ではありません。


税務署が個人事業主を把握しスムーズに納税してもらうために「開業届」が存在するのです。個人事業主の開業届は税務署へ「開業しました」の申告を行うのみであるため無料です。また、開業届に審査はありません。


参考までに、会社の「登記」は法務局の管轄で、個人事業主の「開業届」は国税庁の管轄です。これらは異なる手続きです。



「開業届」と「確定申告」に関連性はない


開業届を提出したからといって、すべての人が確定申告を行う義務はありません。

ネットショップを開業する場合においても、「専業は 48 万円以上、副業は 20 万円以上」の所得がある方に限られます。開業届の有無は関係ありません。



開業届を出すメリット


1 : 「開業届」は個人事業主の証明になる


会社であれ個人事業主であれ、商売で取り引きするには「社会的な信用力」が大切です。

会社の場合は、会社名や所在地などの登記情報を公表することで社会的な信用を得られます。


個人事業主は法人登記の仕組みがないため、社会的な信用力がありません。 その代わり、開業届に税務署の収受印を受けることで、対外的な証明書として成立できます。

また、個人事業主が EC モールへ出店する場合、モールによっては「開業届」が必須です。具体的には、「楽天市場」は個人事業者としての「開業届」が必要です。そのほか融資を受ける場合や、保育園の申請に「開業届」が必要なケースもあります。

2 : 節税効果の高い青色申告ができる

開業届を出す最大のメリットは、節税効果の高い「青色申告特別控除」(通称:青色申告)を得られることです。

青色申告で確定申告すると、最大 65 万円を所得から差し引くことができます。


個人事業主が開業届を出さずに確定申告すると白色申告という部類になるため、この特別控除はありません。


3 : 「屋号」を付けられる

屋号とは、個人事業主の開業申請で登録できる商業上の名前であり、法人でいうところの「会社名」です。

屋号の登録は必須ではないので、ネットショップ名など自由に登録できます。登録すると次のメリットがあります。


  • 「本名 + 屋号」で銀行口座を開ける

  • 印象的な屋号で名前を覚えてもらいやすくなる

  • 屋号の知名度が上がればブランディングできる


屋号を名乗って活動し認知度が上がれば、取引先や社会の「信用度」が増します。

また、屋号名で口座を開設することで、プライベートと事業口座を分けられるため、帳簿管理も楽になります。


4 : 小規模企業共済制度に加入できる

小規模企業共済制度とは、独立行政法人中小企業が管轄する共済制度です。

この制度は、個人事業主か中小企業企業の事業者だけが加入することができ、かつ掛金を全額課税対象所得控除できます。最大設定すると、年間最大 84 万円が控除できます。この共済制度に加入する場合、確定申告書の提出が必要です。



ネットショップの開始に開業届を出す3つのデメリット


続いて、開業届を提出するデメリットを見ていきましょう。


1 : 失業保険(失業給付金)が受け取れない

サラリーマンの人は、会社で失業保険に加入していますよね。

失業や転職で無職となった場合に失業保険を受給できますが、副業で「開業届」を出している個人事業主は原則的に受給できません。

開業している個人事業主は、失業保険の受給資格である「失業中」とみなされないからです。ただし失業保険を受給する場合は、「廃業届」を出すことで受給資格を満たせます。

2 : 青色申告は複式簿記で帳簿をつける必要がある

簿記には「単式簿記」と「複式簿記」の 2 種類があります。

複式簿記は家計簿のようなシンプルな記述で OK ですが、複式簿記は少し複雑です。

青色申告の場合は、複式簿記で確定申告する必要があります。複式簿記を理解するには「簿記」の知識が不可欠ですが、最近はクラウドサービスを利用することで、こういった知識がなくても記帳が可能になってきています。帳簿に関しては、それほど心配はいらないでしょう。


3 : 事業所得が増えると税負担が重くなる

売上の少ないスタートアップ時はそれほど気になりませんが、所得が増えるにつれて税負担が重くなります。最大では 45 % もの税率が課せられます。

個人事業主の場合、特別控除や小規模企業共済制度などを活用した節税対策がありますが、法人化すればそれを超える節税制度を利用できるのです。

具体的には、次のような制度が利用できます。


  • 給与所得控除

  • 退職金制度

  • 出張費や慶弔費

  • 社宅制度


さらに、年度の収支が赤字の場合、個人事業主は 3 年間繰越できますが、法人は 9 年間繰越が可能です。

一般的に、所得が 400 万円~500 万円以上であれば、法人化したほうが節税効果は高くなると考えられます。



「開業届」はいつ出す?


開業届は、所得税法では 1 か月以内に提出するよう明記されています。しかし、何をした時点で「事業の開始日」になるのか明確な決まりがないため、任意の開始日で問題ありません。


個人事業主がネットショップを開業した場合も、開業届の提出は必ずしも必須ではありません。開業届に関係なく「専業は 48 万円以上、副業は 20 万円以上」の所得があれば、確定申告の義務が生じます。売上の実績が出始めてから青色申告で節税するために開業届を提出しても OK です。



ネットショップサイト開設に必要なもの


開業の準備が整ったら、ネットショップサイトを開設しましょう。ネットショップを始めるために、サービス事業者との契約が必要なものと、自社で揃える必要があるものがあります。


ネットショップサイト開設に必要なもの


1 : レンタルサーバー


レンタルサーバーには、大きく分けて共用・専用・VPS・クラウドサーバーの 4 種類があります。


利用目的やサイトの規模、予算などに応じてふさわしいものを選びましょう。また、長く付き合えるレンタルサーバーを選ぶ上では、稼働の安定性やサポート体制の有無も大切です。


2 : ドメイン


サーバーの契約と同時に独自ドメインも取得しておきましょう。


ドメインとは、「abc.com」や「abc.co.jp」など、お店の URL になる部分のことです。

実店舗でいえば「住所」にあたると考えるとイメージしやすいかと思います。


共用サーバー全体で使うドメインを「ドメイン」、世界で一つだけのオリジナルのドメインについては「独自ドメイン」や「オリジナルドメイン」と呼びます。


3 : ショッピングカート


ネットショップ運営のためのショッピングカートや受注管理システムを提供するサービスを、レンタルショッピングカート(ASP)と呼びます。


その他にも、決済システムやメールシステム、受注管理システム、顧客管理システム、商品・在庫管理システム など、事業者との契約が必要です。


4: 自社で揃える機材


パソコン・スマートフォンや発送用コードを印刷するプリンタなどは、自社で揃える必要があります。各種ソフトウェア、梱包資材も忘れずに揃えておきましょう。



ネットショップ運営8つのコツ


ここからは、ネットショップ開業し、ビジネスを成長させつつ運営するために何に気をつけるべきか解説します。



1 : 適切な製品を選択する


販売商品がまだ決まっていない場合は、市場のトレンドを調査して商材をじっくり考えましょう。


市場のトレンド商品を発見するには、Amazon などのオンライン マーケットプレイスや Google 検索で、どのような商品の売れ行きが好調であるかが簡単に分かります。Google Trends や Algopix などのツールも、人気商品検索に便利です。


また、キーワード検索の活用も便利です。キーワード調査ツールは、頻ぱんに検索される製品の発見や特定の製品カテゴリの競合他社の分析に非常に役立ちます。



2 : 商品の仕入れ方法を決める


製品に適した仕入れ方法を決めましょう。具体的には、ドロップシッピング、卸売業者からの購入、メーカーとの提携などが一般的です。


ドロップシッピング


ドロップシッピングはサプライヤーに商品の発送を委託する方法です。自分で商品の仕入れや梱包、発送をしなくても商品を販売できます。また、プリントオンデマンドサイトを利用することで、無在庫でネットショップを開業することができます。


卸売業者からの購入


メーカーや生産者などから商品を一定数量仕入れて、小売店に販売する卸売業者と取り引きできれば、安く大量に仕入れられます。


メーカーとの提携


販売したい商品が具体的に決まっている場合は、メーカーや生産者に直接交渉して取り引きする方法もあります。メーカーや生産者から仕入れる場合、仕入れる商品の数や価格、納期など、交渉が重要です。少し手間はかかりますが、他のネットショップが販売していない商品を仕入れられれば、ライバルが少ないビジネスに挑戦できます。


プリントオンデマンドで、ネットショップ出品


3 : 独自の販売提案を決定する


独自の販売提案( USP )を決定し、競合他社とどのように異なるかを理解しましょう。次のような要因に基づいて USP を考えてみてください。


価格、品質、スタイル、地理的要因


USP は、競合他社との差別化を支援するだけでなく、製品のポジショニングと全体的なブランディングの形成にとても役立ちます。また、これと同じ価値観を共有する企業やインフルエンサーとのコラボレーションも有効です。



4 : 強力なビジネスプランを作成する


ビジネスのすべての重要な詳細を、ビジネスプランに文書化しましょう。この文書には、ビジネスの運営方法や目標への発展プロセスを明確に記述します。強力なビジネスプランがあれば、チームの方向性が一致するだけでなく、適切なビジネス パートナーが見つかり、投資家へのアピールにもつながります。



5 : ネットショップ名とロゴを決める


ネットショップ名は、いくつか選択肢を作ってみてそこから選ぶことをおすすめします。キーワード調査を実行し、複数の言葉を組み合わせてみましょう。次のポイントを抑えるとよいでしょう。


  • 読みやすく、言いやすく、覚えやすい

  • 検索しやすい

  • ドメインとして利用可能

  • 別のビジネスで未使用


名前が決まったら、お店の顔となるロゴを考えましょう。Wix パートナーでオーダーメイドのデザイン作成を依頼するか、ロゴジェネレーターを試してみてください。



6 : ネットショップのプラットフォームを決めてサイトを作成する


次に、プラットフォームを賢く選びましょう。その際、次のような機能があるかどうかも検討するとよいでしょう。


1 : プロフェッショナルな外観でカスタマイズが容易なネットショップ作成ツール


2 : モバイルとデスクトップ両方に対応しハイパフォーマンスを維持する機能


3 : バックオフィス業務を簡素化、最適化、自動化できるツール


4 : 将来的にビジネスを継続できる価格設定モデル


Wix Eコマース は、在庫管理、価格管理、マーケティングなどの組み込みツールを提供する強力で安全なプラットフォームです。デザイナーが作成したテンプレートから好きなものを選び、カスタマイズできます。



7 : ネットショップの財務管理


ビジネスを確実に成功させるためには、財務管理が鍵となります。そのため、次の内容を把握し実行するとよいでしょう。

  • 毎年継続的に発生する経常費用

  • マーケティング予算

  • シーズンイベント計画

  • 在庫管理戦略

  • 返品履行のための資金確保

  • 送料を最小限に抑える

  • クレーム対応方法

  • 返金と返品の処理方法を確認


コストを削減し、ブランドの評判を維持し、顧客満足度を高めるには、返品を最小限に抑えることが重要です。そのために、適切な返品ポリシーを採用し、サイトの分かりやすい場所に掲載しておけば、長期的に損失を大きく減らすことにつながります。



8 : マーケティングプランを作成する


メールやコンテンツ マーケティング、インフルエンサーマーケティングなど、ネットショップのマーケティング戦略を強化する方法はたくさんあります。どの戦略に投資すべきか迷ったら、次のヒントに注意してください。


まずは収益性を考えます。マーケティング戦略に投資する際に利益率を適切に計算し、会社の成長に遅れないようにしましょう。


カスタマーレビューを大切にしてください。肯定的なカスタマーレビューは、顧客との信頼関係を築き、検索エンジンのランキングを向上させ、サイトトラフィックをアップさせることができます。このようなレビューは、ホームページや製品ページで多くの人に読んでもらえるような場所への掲載をおすすめします。


マルチチャネルやオムニチャネルのアプローチを検討しましょう。つまり、ネットショップを超えた販売戦略です。SNS、サードパーティーのマーケットプレイス、比較ショッピングサイトなどをフル活用して、新規顧客に興味を持ってもらいましょう。資金に余裕があって事業規模を拡大させたいなら、実店舗とオンラインとを融合させたオムニチャネル小売アプローチの検討もおすすめです。


マーケティングプランを作成


補助金、官僚制度、公的手続きについて


ネットショップ開設で利用できる補助金制度を賢く利用しましょう。それぞれの補助金について受けられる条件や金額を説明します。(ここに書かれている内容は執筆時現在の内容です。)


1 : IT 導入補助金

2 : 事業再構築補助金 

3 : ものづくり補助金

4 : 小規模事業者持続化補助金

5 : 地元の自治体や商工会議所による補助金


IT導入補助金


「 IT 導入補助金」とは、中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際に受け取れる補助金です。


A 類型とB 類型があり、B 類型であれば最大 450 万円が補助されます。申請額が 30 万〜150 万未満であれば A 類型、150 万〜450 万以内なら B 類型として申請します。


A 類型、B 類型ともに、補助率は 2 分の 1 です。事業に導入した IT ツール費用の自己負担額が半分補助されると考えると分かりやすいでしょう。


IT 導入補助金は中小企業者や小規模事業者にとって大変魅力的な制度だと思います。もしIT 導入補助金に興味があり、疑問等がある場合はぜひ、行政書士などの専門家に相談してみてください。



事業再構築補助金


経済社会の変化に対応するために、ビジネスの再構築を支援する補助金です。対象となる企業は、次の中小・中堅企業です。


1 : 売上が減っている

2 : 事業再構築に取り組む目途が立っている

3 : 認定経営革新等支援機関と策定した事業計画がある


補助限度額は、「通常枠」「グリーン成長枠」「グローバルV字回復枠」などさまざまな類型があり、事業の規模や内容によって 100 万円から 1 億円以上まで幅広く補助されます。


詳しい要件などは「事業再構築補助公式ページ」を確認してください。



ものづくり補助金


「ものづくり補助金」とは、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う設備投資等を支援する制度です。補助金額:100 万円~4,000 万円で、補助率は 2 分の 1 もしくは 3 分の 2 です。


気になる方は「ものづくり補助金総合サイト」を確認してください。



小規模事業者持続化補助金


補助上額は 50~200 万円で、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する場合、一律に 50 万円の補助上限上乗せが行われます(最大 250 万円)。補助対象となるのは、店舗改装、広告掲載、展示会出展費用、対人接触機会の減少を目的としたデリバリーサービス導入や、EC サイト構築が該当します。


対象となるのは、従業員が常時 20 人以下の法人・個人事業主です。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は 5 人。


詳しくは「持続化補助金公式ページ」を確認してください。



地元の自治体や商工会議所による補助金


地域の自治体や商工会議所において、独自に補助金制度を利用できる場合があります。お住まいの地域名 + 補助金で検索すると、ネットショップ開業に活用できる補助金が見つかるかもしれません。



まとめ


いかがでしょうか?ネットショップ開業に必要な基本、要点を押さえて紹介しました。ネットショップを開業するためには、十分な調査と準備が必要です。この記事では、開業準備を今から始めるという人に向けて、基本的な知識を紹介しました。 本記事で触れたように、ネットショップ開業から会社設立についてしっかり検討し、補助金を上手く利用してみてください。みなさんのスタイルに合ったネットショップが成功するよう、応援しています。


開業準備が整ったら、いよいよネットショップサイトを解説しましょう。簡単に小~中規模のネットショップを開設したいと考えているなら、Wix Eコマースがおすすめです。事業の種類に適したおしゃれな無料テンプレートや、便利な SEO 機能など、今すぐ体験してみましょう。


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編集者:Miyuki Shimose

ブログ コンテンツマネージャー


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