風景写真家サイトから学ぶ、風景写真の撮り方とテクニック 25 選



アメリカのコラムニスト、マリリン・ボス・サバントの名言「知識を得るためには学ばなければなりませんが、知恵を得るためには観察しなければなりません」 は、まさに写真家にぴったりな教訓と言えるでしょう。


撮影プロジェクトのアイデア探し、新しい撮影テクニックの研究、写真サイト作成など、どのような状況であっても、先駆者の事例から学ぶことは目的達成の近道となるからです。


この記事では Wix で作成された 25 名の風景写真家サイトを紹介しながら、それぞれ学べる風景写真の撮り方や撮影テクニックを紹介します。



01. UEDA PHOTOGRAPHY



新潟を中心に風景写真を撮影されてる UEDA さんのポートフォリオサイト。「美しい四季の彩りフォトコンテスト」最優秀賞、日本の自然写真コンテストを 2 年間連続で入選するなど、実力の持ち主です。トップページの風景写真は、雪一面の風景を、黄金色に輝く太陽の光をうまく取り入れ優しく温かい仕上がりにしているのが印象的です。


奥行きのある風景写真の撮り方

UEDA さんは自身のブログで、写真に奥行きをつくり後景を際立たせるテクニック「視線の誘導」に関して公開しています。

まず、写真の構成を前景・中景・後景の 3 つに分類します。後景に配置した山の壮大さを見せたい場合、① 下から上へ、② 大きなものから小さなものへ、と視線同線を作る構図を作ります。花や岩など近くの物をフレーム手前(前景)に入れることで、遠近感を演出でき、無意識のうちに前景の先にある山へと視線を向かせることができます。



02. Yasutomo kato



数々の写真コンテストを受賞し、月刊「デジタルカメラマガジン」の表紙を飾ったこともある華麗な経歴の持ち主 Yasutomo Kato さんのサイトです。Yasutomo さんは選び抜いた自身の作品5枚をスライドショー形式で Welcome ページに表示し、自身の世界観を表現しています。


3 分割法の活用方法

3 分割構図とは、画面を縦横ともに 3 分割し、その交点に撮りたい被写体を配置するテクニックです。風景写真のみならず、どんな被写体にも応用できる万能の構図です。グリッドラインの機能があるカメラは、グリッドを表示することでラインを目安にし、正確な位置に被写体を配置することができます。また、上記の写真のように水平線を入れる場合、全体のバランスが不安定にならないよう水平線は水平に保ち画面下から 3 分の 1 に合わせると、バランスの良い構図になります。



03. 別所隆弘



「世界最高峰のフォトコンテスト」の一つと言われる、 ナショナルジオグラフィックの「Nature photographer of the year 」をはじめとして、国内外の賞を多数受賞している別所隆弘さん。作品の雑誌掲載をはじめ、単行本の出版や講演など写真家として幅広く活躍する傍ら、アメリカ文学研究者としての側面もお持ちです。故郷である滋賀県の琵琶湖は、別所さんの風景写真家としてのの原点となったそうです。「 Around The Lake」を撮影テーマとして掲げ、季節や時間帯によって変わる様々な琵琶湖の表情を撮り続けています。


雲の表情を豊かに撮影するコツ

季節や時間帯、気温などによって表情を変える雲。そんな空一面に広がる雲の表情をよりダイナミックに写すには、超広角域をカバーできる広角レンズの使用がポイントです。空を写す場合は、空と雲を多めに入れることでメインの被写体の存在感を維持しながら、壮大さが強調された仕上がりとなります。

また、ホワイトバランスの設定やコントラストの強弱を調節することで表現の幅を広げることができます。たとえば、ホワイトバランスを「太陽光」「曇天」「電球」などその時の空模様に合わせて設定する、コントラストを上げて立体感を増す、といった調整ができます。「その瞬間の雲」を活かしたスケール感のある写真撮影に挑戦してみましょう。



04. Oscar Keserci



ギリシャ生まれフィンランド育ちの Oscar Keserci さんは数ヵ国語を操る国際派の写真家。デンマーク、ノルウェー、アイスランドなど北欧の風景写真を中心とした彼の作品は、世界 15 ヵ国で取り上げられるなどグローバルに評価されています。Oscar さんの作品は、北欧ならではのオーロラや広大な星空などの神秘的な風景が、まるで肉眼で見ているかのように忠実に写し出され、見る人の心をぐっと捉えます。


寒い場所での撮影テクニック

寒い場所での長時間撮影は、手がかじかんだり手袋が妨げとなりシャッターが切りにくかったりと、多くの写真家にとって悩みの種です。

北欧の寒い国々での風景撮影の経験がある Oscar さんは、自身のブログで、防寒用手袋を撮影時も使いやすくする工夫を写真入りで紹介しています。


  1. 防寒用手袋、長めの木製スプーン、キッチンナイフを用意

  2. 木製スプーンを手袋の中へ張るように入れる

  3. 手袋の親指と人差し指の部分に切り込みを入れる

  4. 親指と人差し指が切り込みから出るように手袋を着用する



05. Patrick Marson



フィリピン出身の風景写真家 Patrick Marson さん。趣味で写真を楽しむ Patrick さんにとって、写真は究極のストレス解消法だそうです。人一倍写真へのこだわりが強く、納得の行く写真が撮れるまで辛抱強く最高の瞬間を待ちます。彼の写真を見れば、その甲斐があったことが一目で分かる美しい作品に仕上がっています。


風景写真の仕上がりを一層高めるコツ

Patrick さんは自身が実践している風景写真の仕上がりを高めるコツについて、ブログでご惜しみなく公開しています。


  1. 撮影前に徹底的なリサーチを行う:撮影のロケーションと被写体となる風景について、天候、到着手段、撮影に適した時間帯、日の入りと日の出の方向など、出来る限りの情報を取集する。

  2. 自分のカメラを知り尽くす:基本的な機能と設定方法は記憶しておくこと。自分のカメラの機能を知り尽くすことで、長時間露光で雲の躍動感を出したり、スローシャッターで波の動きを捉えるなど、目的に応じた撮影テクニックを取り入れることができるようになる。また、各種レンズフィルターについても、どんな演出をしたいときにどのフィルターを使えばいいか熟知している必要がある。

  3. 自分だけの撮影技術を身につける:高いダイナミックレンジの作品を生み出すために、3 分割法やリーディングラインなどの基本構図や、露出補正に必要な ISO、シャッタースピード、アパーチャー、被写界深度を習得すること。続いて、多重露光、焦点合成など高度な技術も適用し、必要な知識や技術を網羅する。そして、自ら意図する仕上がりに近づけるためには自身のワークフローを確立する必要がある。そのためには実践あるのみ。

  4. 柔軟性を身につける:風景写真の撮影には、予測不可能な事が付き物。自然界の突然の変化にも素早く、かつ前向きに対応し、撮影の新しい視点を見つけること。

  5. 学び続ける:撮影技術のブラッシュアップのためには、他の写真家のチュートリアルや文献を参考に学び続けることが大切。時に型破りな手法も試してみたり、他人からの批判を受け入れる柔軟性も必要だ。



06. Nathaniel Merz



韓国を拠点とする風景写真家 Nathaniel Merz さんのサイトです。Nathaniel さんは渓谷の山頂にしがみつくかのように生えていた松の木に魅了され、その姿が彼の想像力の源となったとのことです。写真の中で大きな存在感を出している松とその風情が感じられる印象的な仕上がりです。また、Nathaniel さんのギャラリー「Korean lowlands」や「Montains of Korean」を見ると分かるように、あえて霧がかったタイミングを狙い、景観の静けさや、幻想的な雰囲気を演出しています。


身近な風景を活かす撮影のコツ

風景写真家としてありがちなミスは、見栄えを意識しすぎるために定番スポットでの撮影にとらわれすぎてしまい、身近な場所にあるシャッターチャンスを逃してしまうことだ。と Nathaniel さんは自身のブログで綴っています。

具体的な撮影チャンスの見つけ方を、Nathaniel さんは自宅周辺にある川を例に出して解説しています。「この川は普段ぬかるみがかっていて魅力的な撮影スポットとは言えないけれど、近くのダムが水を放水する夏の早朝は、美しく霧がかった風景に変わる。近所の川だって、視点を変えれば木々が水面に反射する美しい姿を写真に収めることができるんだ。」被写体へ向ける視点、撮影する時間帯、さらには季節を変えるだけで、普段見慣れている風景が素晴らしい撮影スポットに成り得ることを読者に向けて語っています。



07.Albert Dros



タイム誌、ハフポスト、ナショナルジオグラフィックに取り上げられるなど、数々の輝かしい受賞歴を誇る写真家 Albert Dros さん。サイト上では動画やブログにて自身の撮影技術を公開し、価値ある情報を読者へ共有することに努めています。


風景写真撮影にドローンを活用するコツ

空中からの風景写真のためにドローン撮影も行っている Albert さん。自身のブログの中でドローン撮影のコツを公開しています。

「ドローンのメリットは、写真家の手の届かない位置から広範囲に渡って撮影できることだが、上空から撮影した風景写真が必ずしも良いとは限らない。多くの要素が写真に写り込んでしまうことで見る人の視点が定まらなくなってしまう場合があるからだ。特定の被写体に近づいたり、低飛行で遠方を写したりと、様々な高さや角度を試すことでより良い構図を生み出すことができる」と綴っています。ドローンの柔軟性を活かし、地上からでは写しだすことのできない様々な表情を捉えてみましょう。



08. Mark Norton



自然を愛するフリーランスフォトグラファー Mark Norton さんのサイトです。グレイシャー国立公園などアメリカ国内を活動拠点としています。Mark さんの作品は、満天の星空、カメラの前にそびえ立つ山、躍動感溢れる滝など、迫力ある風景が力強く再現されているのが特徴です。


迫力ある風景の撮り方

壮大な風景を広い範囲で撮影する場合に広角レンズを使用することが一般的ですが、広域に撮影ができる一方、主題が不明瞭な漠然とした作品になりがちです。主題を明確にした上で、視線を誘導する効果のあるリーディングラインなどの基本の写真構図を取り入れたりと、目の前の迫力ある風景を写真に収めましょう。



09. Frans van der Boom



スペイン旅行をした際に友人が貸してくれたカメラがきっかけとなって、写真に夢中になったという若手写真家 Frans van der Boom さん。風景を芸術作品として捉える Frans さんの作風は、ダイナミックで訴求効果のある作品に仕上がっています。


滝の躍動感を演出する 6 つのテクニック

躍動感のある水の流れを忠実に表現することは、風景写真家にとって挑戦的な課題です。Frans さんは自身のブログの中で、滝を撮影のためのコツを以下のように公開しています。

  1. シャッタースピードを低速にする:低速シャッターの場合、水の流れを滑らかに写し出す効果がある。一方で高速シャッターの場合、水の流れが止まって見える。

  2. 三脚を使用する:低速シャッターはブレやすくなるため、三脚を使用することで手ぶれ防止になる。

  3. ISO 感度を低くする:ISO を最小値にすることで、画質が向上するだけでなく、シャッタースピードも低速になる。設定は ISO100 がお勧め。

  4. F 値を大きくする:レンズを通る光の量を少なくするため F 値を大きくする。風景写真の場合、F11 や F16 がお勧め。

  5. ND フィルター(Neutral Density)を使う:明るい場所だと設定したシャッタースピードが充分に低速でない場合がある。その場合は、光量だけを低下させることができる ND フィルターで調節する。

  6. レンズが濡れないよう保護する:滝のしぶきでレンズが濡れる、雲ってしまうことを防ぐため、防滴のレンズカバーを装着するなどし、大事なカメラを保護すべき。



10. Ole Henrik Skjelstad



ノルウェー出身の写真家、また数学教師という顔を持つ Ole Henrik Skjelstad さんの風景写真サイトです。Ole さんの作品は、暖かく優しい光線が射し込むマジックアワーの時間帯と夜明け前の空が美しいブルーアワーの時間帯に撮影した雪景色を中心としています。


一面に広がる雪景色を上手に撮影するコツ

銀世界を美しく描写するには、露出補正がポイントです。明るい雪景色が白く明るく写るよう露出をプラスに補正しましょう。

また、雪景色が朝焼けや夕焼けの色に染まっている瞬間や、コテージやオーロラなど白以外の色を写し込んでみるなど、真っ白な風景の中に差し色をつけることで印象的な仕上がりを演出することができます。



11. Jorge Ruiz Dueso



カメラフィルターブランド「Kase Filters」をスポンサーとして、風景からポートレートまで多彩な写真ジャンルを手掛ける Jorge Ruiz Dueso さん。Jorge さんの風景写真は、氷河や雪山、滝の風景を中心に、自然美を追求した臨場感のあるダイナミックな仕上がりとなっています。幻想的な色彩の星空写真など、情感豊かな独自の表現性が印象的です。


幻想的な星空撮影のテクニック

夜景の写真は、芸術性の高い作品となり、その中でも「星空」は幻想的な雰囲気を演出できる人気ジャンルの 1 つです。以下、星空撮影のコツを紹介します。


ISO 感度:ISO 感度が大きいほど暗い場所に有利です。感度は ISO1600 ~ 6400 の幅を目安とし、撮影しながら最適な感度を決めましょう。

絞り(F 値):広角レンズの絞りはなるべく低く設定。絞り値が低いと、一度に光を多く拾うことができます。

シャッタースピード:オートでの星空撮影は難しいため、露光時間を調整しましょう。15 ~ 30 秒程度のスローシャッターが良いとされていますが、絞り値や ISO 感度によって微調整する必要があります。

三脚:星空の撮影はスローシャッターで行うため、ブレ防止のために三脚が必須です。

ピント:星空はオートフォーカスでピントを合わせにくいため、マニュアルフォーカスを使用してピントを合わせます。星を拡大してピントを確認し、一度ピントを合わせたら、撮影を終えるまでピントを動かさないように注意しましょう。


また、露光時間を 20 分~ 1 時間と長くすることで、星の軌跡を写真に収めることができます。露光時間が長ければ長いほど、光線も長く伸びます。カメラ上級者の方はセンスが光る印象的な作品を生み出すために、撮影技法の幅を広げてみましょう。



12. Lisa Michele Burns



旅行ガイドブック「ロンリープラネット」への作品提供の他、オリンパスやハフポストなど数々のメディアから取材を受けている、トラベルジャーナリスト兼写真家の Lisa さん。Lisa さんの作品は、豊かな感性から生まれる独自の色彩表現が特徴です。


海を表現豊かに描写するコツ

一瞬ごとに表情を変える海は、打ち寄せる波や朝焼け・夕焼けに染まる海などシャッターチャンスで溢れています。

穏やかな海を撮るには低速シャッターで滑らかな海面に、ダイナミックな海を撮るには高速シャッターで躍動感を演出することができます。また、海にいる生き物や植物、船などをフレーム内に取り込み、海の表情をより豊かにする工夫もできます。



13. Sharon Wellings



オーストラリア出身の写真家 Sharon Wellings さんの風景写真サイトです。曇がかった風景や霧のような空間を意図的に狙い、自身の世界観を表現した最新の作品を見ることができます。


曇りの日を活かした風景写真の撮り方

パっとしない空模様でも、ISO 感度を高めに設定することで明るさを保持できます。曇りの日は、晴れの日に比べると影の量が少なく薄くなり、写真が優しい雰囲気になるという特徴があります。雲一つない晴天の日には見ることのできない、柔らかく優しい光が射した風景を収めてみましょう。また、遅めのシャッタースピードで雲の動きを出したり、気に入った色味が出ない場合は白黒写真にする、といった工夫で表現の幅を広げることができます。



14. Erika Valkovicova



世界最大規模の写真コンテスト「Sony World Photography Awards」での受賞歴を持つ Erika Valkovicova さん。旅をしながら世界各地の絶景を撮影。これまで世界 60 ヵ国と 250 のユネスコ世界遺産を訪れ、壮大な風景を写真に収めています。


シンメトリー構図を活用するコツ

シンメトリーとは、左右対称、または上下対称である状態のことを指します。この構図は建築物などの人工物に多く見られるデザインですが、風景写真では、Erika さんのサイトのトップページのように被写体の水面反射を写すテクニックがよく使われます。 シンメトリーを風景写真に取り入れるコツとして、カメラを構える高さや向きに変化をつけ、左右または上下対称となるアングルを見つけます。その際に、軸となる水平線が斜めにならないように気を付けましょう。

シンメトリー構図を含めることは、自然のスケール感をより忠実に表現、そして被写体の美しさを引き立てる効果をもたらします。



15. Ashley Hadzopoulos



ロサンゼルス在住の写真家 Ashley Hadzopoulos さんは、休日を利用してハイキングや旅行に出かけ、新鮮な空気の中で雄大な光景を写真に収めています。そんなAshleyさんの作品は、3 分割構図や日の丸構図、リーディングラインなど多くの審美的な構図を取り入れ、時とともに著しく変貌する自然の姿を捉えています。


冬の撮影の魅力を楽しむ 

Ashley さんの心を掴んで離さない「冬」の魅力に関してこのように自身のブログで語っています。「日照時間が短く、寒い天候の中の撮影は、あまり乗り気にならないかもしれませんね。でも、ドラマチックな空模様と気まぐれな天気が絶好のシャッターチャンスを与えてくれるんです。きらびやかな雪景色は魔法のようだし、冬の朝日や夕陽は心に染みる美しさ。冬という素晴らしい季節を毎年楽しみにしているわ。」また、Wix の写真ブログでは、冬にしか見れない絶景を集めた特集記事を用意しています。撮影アイデアを見つけてみましょう。



16. Aviv Maister


イスラエル出身の写真家 Aviv Maister さん。Aviv さんは、イスラエルの死海、そしてノルウェーのロフォーテン諸島で輝くオーロラを中心に撮影しています。一貫した撮影テーマを掲げた Aviv さんの作品は、詩情あふれる風景で一層魅力的に仕上がっています。


オーロラの撮影テクニック

オーロラの撮影は、暗い中で揺れ動きながら光る被写体を撮影するという特殊なものです。光り輝くオーロラを写真に収めるために、以下、3 つのポイントを押さえましょう。

  1. F 値:夜間の撮影時は明るいレンズが有利。レンズの明るさは「F2.0」「F2.8」といった表記で表され、数値が低いほど明るいレンズとなります。

  2. シャッター速度:動きが活発なオーロラの場合はシャッター速度を短くし、薄いオーロラの場合はシャッター速度を長くするとよいとされます。

  3. ISO 感度:ISO とはカメラが光を感じる度合を指し、この ISO 感度の数値が高いほどより敏感に光を感じ、F 値が低いレンズを使用していても夜間での撮影が可能となりまする。ここでの注意点は、ISO 感度が高感度になるほどノイズも増え、解像度に影響する場合があるということです。そのため、F 値とシャッタースピードとの理想的なバランスをあらかじめつかんでおく必要があります。



17. Mark Cornick



イギリスの風景写真コンテスト「Landscape Photographer of the Year(ランドスケープ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー) 」での受賞歴のあるロンドンを拠点とする写真家 Mark Cornick さん。Mark さんの作品は、ミニマルで、どこか荒涼とした風景写真が中心です。


抽象的な風景写真を撮影するコツ

ICM(Intentional Camera Movement)とは、写真作品を抽象的で芸術性のある仕上がりにするために、露光中に、意図的にカメラを動かして撮影するテクニックです。ノスタルジックな雰囲気を醸し出す Mark さんの上記ページの写真は、ICM テクニックを使用して撮影されています。Mark さんの自身のブログでこの撮影技法を実践するための必須アイテムと撮影のコツが公開されているので紹介します。


必須アイテム

  1. マニュアル操作ができるカメラ:最近ではスマートフォンアプリにも入っている。

  2. 夕焼けの撮影には A 6 Stop の ND フィルター:この設定は、長時間露光に有利。Lee Filters Little Stopper のフィルターがお勧め。

  3. 16 GB の SD カード:複数のバリエーションを記録するため、少なくても 16 GB がお勧め。


Mark さん自身の経験によると、2 ~ 3 秒の長めの露光時間が適切のようです。

露光時間の計算には、スマートフォンアプリ「Lee Stopper Guide App(IOSAndroid)」 の活用もお勧めしています。



18. Daniel Casson



イギリス中部シェフィールド出身の写真家 Daniel Casson さん。自身の Instagram に写真を投稿したのをきっかけにフォロワー数が一気に60万を超え、一躍名の知れる写真家となりました。Daniel さんの撮る風景は、独自の感性を風景と融合し、被写体そのものが持つ魅力をさらに引き立てます。


奥行き感を演出できる S 字構図を活用するコツ

写真の中に曲線を取り入れる撮影テクニックで、見る人の視線をコントロールできる効果があります。川や道などの被写体はS字構図を作りやすいと言われています。Daniel さんのトップページの写真の場合、前景として突き出した崖の先端と山に挟まれた道が一線に連なり、遠近感と奥行き感を演出、そして柔らかでゆったりとした印象をも与える1枚に仕上がっています。比較的写真に取り入れやすい S 字構図は、初心者の方でも試しやすいテクニックです。



19. Andy Smith



自然風景や都市風景、カラー写真とモノクロ写真など、幅広い撮影ジャンルで多彩な表情をカメラに収めるイギリス出身の写真家 Andy Smith さん。被写体の持つ質感を伝えながら、色と構図で風景の素晴らしさがより際立つ作品に仕上がっています。


多方面から風景を分析する

絶景地まで足を運んだら、風景をよく観察して様々な切り口からシャッターチャンスを狙いましょう。たとえば、上記の絶景地の場合、離れたところから全体の風景をフレームに収める、高台から見下ろすアングルにする、湖に近づき水面に反射する山をの反射を写すなど、多方面に手を出すことができます。



20. John Aavitsland


1971 年から写真を撮り続けているベテランの写真家 John Aavitsland さん。ふるさとであるノルウェー、サルプスボルグの市制施行から 1000 年を迎える祭典で、自身の作品の1つが記念切手のデザインに採用されるなど輝かしい実績をお持ちです。 John さんはカラー写真に加え、今でも変わらずモノクロ写真を撮り続けています。彼のモノクロ写真のバリエーションは実に様々で、色彩豊かなカラー写真では出すことのできない抽象的な空間を演出しています。


風景写真の撮影スキルを一歩高める前景の活用方法

前景とはフレームに納める一番手前側の部分。前景は、見る人を写真へ引き込むきっかけを作り、視線を自然と被写体へ誘導する役割を果たします。また、1つの風景を前景・中景・遠景に分けて意識的にフレーム内に配置することで、写真に奥行き感や距離感を持たせることが出来ます。たとえば、上記ページを例に湖の風景を撮る場合、湖の周りに咲く鮮やかな花を前景として入れ、中景を湖、そしてその先にそびえ立つ山を遠景とすることで写真により深みがでます。



21. Daniel Wretham



イギリス南西部の地域ドーセット出身の Daniel Wretham さん。故郷ドーセットの景色を愛してやまない Daniel さんは、イギリス屈指の絶景で世界遺産にも登録された「ドーセット及び東デヴォン海岸」と呼ばれる美しい海岸線をカメラで追い続けています。被写体の本質が際立っている魅力的な作品に仕上がっています。


風景写真を上達させる5つのコツ

Daniel さんの写真ブログでは、風景写真の撮影スキルを高めるための技法が紹介されています。


  1. 撮影時間帯を選ぶ:ゴールデンアワーの日没 30 分後、愛らし空色が見える時間帯がお勧め。ただし、自身の作品テーマに合わない場合、あえてゴールデンアワーを狙う必要はない。

  2. 背後の風景も気に留める:目の前の景色ばかりに気を取られがちだが、自分の背後にも美しさが存在することを覚えておくこと。特に日没直前の文句なしの綺麗な空の色や運が良ければ虹だって見ることが出来るかもしれない。

  3. 前景を活用する:フレームに前景を入れると、写真全体に奥行き感が出る。岩や花などあらゆるものを前景として取り入れることができ、それがアクセントとなり見栄えが一層引き立つ。

  4. レンズを使い分ける:広角レンズの使用は風景写真の基本だが、ただ広域に写せばいいというわけではない。広角ズームレンズ 16 - 35 mm の他に、標準ズームレンズ 24 - 70 mm 、望遠ズームレンズ 70 - 200 mm と使い分ける。

  5. 写真加工は適度に抑える:Lightroom や photoshop のように写真の後処理ができるソフトが大幅に進歩している。写真編集・加工ソフトを使うにあたり後処理を最小限に押さえた写真は、過度な加工を施した不自然な写真よりも、より現実味があり、自然な仕上がりになる。



22. Rach Stewart



EPSON やナショナルジオグラフィックなど数々の写真コンテストの受賞歴を誇る風景写真家 Rach Stewart さん。光学フィルターのトップブランド「NiSi」のアンバサダーを務めながら、海や山、春夏秋冬、寒色・暖色の空など、Rach さんの故郷であるニュージーランドの大自然を表情豊かに捉えています。


2 分割構図の活用方法

2 分割構図とは、上下または左右を均等に 2 分割する写真構図です。風景写真では、空と海、空と山のコンビネーションが最適な構図と言われており、主題を 2 つ置くことで互いの存在感により写真全体が引き立ちます。また、上下あるいは左右に対象のものを配置すれば、シンメトリー構図にもなります。この構図テクニックを取り入れた Rach さんの写真は、まるで鏡かのように水面の山がくっきり反射し、作品の美しさを一段と高めています。



23. Jonathan Zaharek



アメリカのオハイオ州出身の写真家 Jonathan Zaharek さんの写真サイトです。「トラベルフォトグラファー」として、これまでアメリカ国内と世界 30 ヵ国以上の旅を通じ、そこでしか撮れない瞬間にこだわりの感性を持って撮影に挑んでいます。「ASTROPHOTOGRAPHY(星空)」「LANDSCAPE(風景)」「BLACK AND WHITE(モノクロ)」の 3 つのジャンルに焦点を絞ったギャラリーでは、息を呑むような美しい写真の数々が掲載されています。


色補正に欠かせないホワイトバランスと色温度を知る

夕焼けにもっと赤みを入れたい、曇り空を明るめにしたい、など色合いに補正をかけたい時にこのホワイトバランスと色温度を調節します。

ホワイトバランスとは、撮影環境での光の色の影響を適切な白色に補正して、白を白く写すために調整する機能です。「蛍光灯」「白熱電球」「太陽光」「曇天」などの設定から選択します。

色温度とは、光源が発している光の色を数値(ケルビンという単位)で表したものです。数値が小さいほど暖色系で赤みが強くなり、数値が大きいほど寒色系で青みが強くなります。


調節のポイント

・赤みの多い光源では「白熱電球」「蛍光灯」に設定し、青みの補正をかける

・青みの強い光源では「太陽光」や「曇天」に設定し、赤味の補正をかける


Jonathan さんの撮影した写真のようにマジックアワーの時間帯の空は温かみのあるオレンジ色となるため、ホワイトバランスは暖色系に設定すると良いでしょう。また、この時間帯の色温度は 3000 ~ 5000 ケルビンを目安に、その時の空の様子に合わせて微調節しましょう。



24. Jelle Canipel



風景写真からポートレート、広告写真、ウェディング写真まで幅広いジャンルを手掛ける写真家 Jelle Canipel さんのサイトです。Jelle さんの風景写真は、大自然の中にそびえたつ雪山のような自然風景から、ビル群が立ち並ぶ都市風景、自然と調和する街並みまで、多角的視点を持っているのが特徴的です。


対角線構図の活用方法

対角線構図とは、被写体を対角線上に斜めに配置する構図です。必ずしも対角線上に沿う必要はなく、カメラ自体を傾けて撮ったり、斜めに配置されているものも含まれます。上記ページの中央にある写真を例として見ると、均等に並んでいる建物が対角線上に写っています。この構図は、自然の風景や建物に使いやすく、立体感、奥行きを表現できるものもあれば安定感を演出する効果もあります。



25. Roberto Vámos



ブラジル、リオデジャネイロ出身の写真家 Roberto Vámos さんの風景写真サイトです。モノクロ写真を専門とする Roberto さんは、ブラジルを拠点とし数々の個展を開催、また複数のブラジルのメディアに取り上げられるなど、幅広く活躍しています。Roberto さんの作品は、ダイナミックな南米の大自然を、モノクロであるにもかかわらず生き生きと描写しているのが特徴です。


モノクロ撮影のテクニック

一見単調な被写体や風景に思えても、今まで気づくことの出来なかった奥深さを発見できるのがモノクロ写真の魅力でもあります。手持ちのカメラのモードをモノクロに切り替える手軽な方法から、マニュアルで ND フィルターや ISO 感度を調節したり Photoshop のような写真ソフトを使う高度な方法まで、モノクロの世界を表現する手段は十分にあります。カラー写真では」表現するのが難しい、時が止まったような静寂感やノスタルジックな雰囲気を作品に取り入れてみましょう。



インスピレーションは湧いてきましたか?まずは 1 つでもいいので、今回紹介した風景撮影テクニックを試してみましょう。いい写真が出来上がったら、ポートフォリオサイトを作成して写真を掲載してみてはいかがでしょうか。



東福 千恵

コミュニティ マネジャー


#写真 #フォトグラフィー


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