2020年8月17日7 分

観光協会のホームページ作成事例:Wix でのリニューアルでアクセス数が 5 倍に

最終更新: 8月26日

のどかな自然に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる群馬県嬬恋(つまごい)村。夏秋キャベツの出荷量日本一を誇り、「愛妻家の聖地」としても知られています。多くの観光客が訪れる嬬恋村で、宿泊施設やレジャー、イベントなどに関する情報発信を担っているのが嬬恋村観光協会。

Wix で制作された公式サイトには非常に豊富なコンテンツがそろっており、嬬恋村の魅力をあますところなく伝えています。

サイトを制作したのは嬬恋村観光協会・事務局長の三ツ野 元貴さん。それまでサイト制作経験がなかったという三ツ野さんですが、Wix を活用することで外部の制作会社に頼ることなくサイトを作り上げることができたといいます。

三ツ野さんはどのようにして観光協会の公式サイトを制作していったのか。また、Wix の機能をどう使いこなしているのか。お話を伺いました。

■地域おこし協力隊として赴任、嬬恋村に魅せられて移住を決めた

――現在、三ツ野様は嬬恋村観光協会の職員として勤務されていますが、ご出身は嬬恋村ではないそうですね。

三ツ野:私はもともと神奈川県三浦市の出身で、東京のショッピングセンターで働いていました。嬬恋村に住んだのは 2016 年からです。きっかけは、地域密着の仕事がしたいと思って「地域おこし協力隊」に応募したこと。三浦市はキャベツが有名なので、キャベツ出荷量日本一の嬬恋村でまちの PR ノウハウを学びたいと考えていました。地域おこし協力隊の任期は通常、最大 3 年なのですが、暮らすうちに嬬恋村のことが大好きになり、そのまま観光協会の職員として残ることを決めました。

――そうだったのですね。嬬恋村ではどのような仕事をされていたのでしょうか。

三ツ野:嬬恋村に着任後、携わったのは観光事業です。観光協会の公式サイトをリニューアルしたり村の魅力を PR する動画を制作したりと情報発信に努めました。

――観光協会の公式サイトは Wix を活用して制作いただいています。なぜ Wix で制作しようと思われたのでしょうか。

三ツ野:旧ホームページはすごく古いもので、いわゆる“昔ながらのホームページ”でした。スマホ対応もしてませんし、情報も充実しているとはいえないものでした。運営は観光協会のスタッフが行っていたのですが、もともと外注で制作したサイトだったこともあり、自分たちでは簡単な更新作業をするのがやっとだったのです。お知らせ欄の更新くらいはできますが、デザインの変更などはどうしても業者にお願いする必要があります。そうなると手間も費用もかかりますし、タイムリーな情報発信も難しくなります。

その反省を生かして、リニューアルでは Wix を使うことにしました。Wix は使用感が良く、機能もそろっていて、サイト制作の経験がない私でも簡単にクオリティの高いサイトが作れるところが魅力です。

■コンセプトは「写真で見せるサイト」

――現在の観光協会のウェブサイトは非常に情報が充実していますね。施設ごとの写真なども豊富に掲載されています。これだけ多くのコンテンツを制作していくのは大変だったのではないでしょうか。

三ツ野:嬬恋村には様々な施設がありますから、素材を集めるのはたしかに大変です。一つずつメールや FAX で取材や素材提供のお願いをしても、なかなか思うように集まりません。そこで素材に関しては、各施設のサイトやじゃらん、楽天トラベルなどを調べて自分たちで集めました。

すると、掲載した情報を見た施設の方々から「こういう情報も載せてほしい」という要望をいただくようになったのです。そうやって協力を得ながらコンテンツを増やしていきました。

――掲載実績をつくったことで、その後の協力も得られやすくなったということですね。サイト制作におけるこだわりのポイントはありますか?

三ツ野:写真を充実させたことです。公式サイトリニューアルに際して、村長からは「写真で見せるサイトにしてほしい」という要望がありました。使用している写真については、嬬恋村で開催した写真コンクールの入賞作品を使用しております。

また、「フェアであること」にもこだわっています。観光協会は村から会費をいただいて運営している団体なので、コンテンツの掲載の仕方についてはどの施設に対しても平等であるべきだからです。

――ボリュームのあるサイトですが、何人で運営されているのでしょうか。

三ツ野:最初は私一人でしたが、現在は新しく赴任された地域おこし協力隊の方が加わり、3 名で運営しています。私以外の 2 名はデザインやライティングが得意なので、それぞれできる領域をお願いしています。

■サイトを多言語化し、ブログやチャットなど多彩な機能を使いこなす

――Wix の機能でお使いのものを教えてください。

三ツ野:サイトのビジュアルについては白紙のテンプレートからつくっています。最初はいろいろとテンプレートを使ってみたのですが、ゼロから自分たちでデザインしていくことにしました。

言語は日本語以外に英語にも対応しています。多言語化には「Wix マルチリンガル」を活用しているので、多言語サイトの作成、管理の手間が省けています。また、群馬県が台湾に積極的にプロモーションしていることもあり、嬬恋村は外国人観光客の 8 割が台湾の方なので、将来的には繁体中国語にも対応していきたいと考えています。

ブログ機能も使用しています。コンテンツのなかでもリアルタイムに伝えていきたいものについてはまずブログで発信しています。たとえば今だと直売所に関する情報の需要があるので、ブログに記事としてまとめました。SNS への拡散という点でもブログは便利です。

ユーザーからのお問い合わせについてはフォームも用意していますが、1 ヶ月ほど前からチャット機能も使っています。電話やメールだとちょっと抵抗があるという人にとって、チャットはハードルが低くて使いやすいと思います。実際にチャットからの問い合わせもけっこう来ていますね。

――様々な機能を使いこなしていただいているのですね。訪問者の分析などもされているのでしょうか。

三ツ野:Wix は Google Analytics と連携できるので、そちらで分析を行っています。よくデジタルマーケティングではサイトを訪問したユーザーにメルマガを打ったりすると思いますが、私たちはそこはあえてアナログに対応しています。たとえば以前、嬬恋村を訪れてくださった方にはポストカードを郵送することもあります。リピーターを増やしていきたいですし、実際にそうした取り組みがきっかけで再訪いただくこともあります。

――新型コロナウイルスや浅間山の噴火警戒レベルなど、観光協会のサイトとしては珍しい情報も掲載されていますね。

三ツ野:たしかに一般的な観光協会のサイトにそのような情報は載っていません。ただ、台風やコロナ、火山の情報などは観光にいらっしゃる方も知りたいはずです。実際にお問い合わせもいただきます。桜島の観光協会のサイトにも災害情報が掲載されているのを知って、私たちもきちんと情報を出していくことにしました。

■リニューアル後はアクセス数が 5 倍、問い合わせ数が 2 倍まで増加

――Wix で制作したことでどんなメリットがありましたか。

三ツ野:年間のアクセス数が旧ホームページと比べて約 5 倍になりました。また、メールや問い合わせフォームの件数はかなり増えましたね。問い合わせ数はどんどん増えていて、公開初期の 2 倍くらいになっています。

これだけ結果が出ているのも Wix が使いやすく、どんどん情報を発信できるからです。Wix はマウスで要素を動かして、ビジュアルで確認しながら簡単にウェブサイトを作ることができます。サイト制作の経験を持たないメンバーだけで運営できるのは Wix のおかげです。

――現在、観光業は大変な時期だと思います。今後の施策などについて教えてください。

三ツ野:せっかく情報がまとまっているので、観光協会のサイト上で宿泊からアクティビティまですべて予約できるようにしたいと思っています。もちろん楽しいイベントもたくさん考えています。

――最後に、これからサイトを制作しようと考えている同業者の方へメッセージをお願いします。

三ツ野:実は同業者の方から「このサイトはどうやって作ったんですか?」とたくさんお問い合わせはいただいているんです。サイト制作を自分たちでやっているというと難しそうなイメージを持たれがちですが、Wix を使えば難しくないということをぜひ知っていただきたいですね。

――ありがとうございました。

間島ゆかり
 
コミュニケーションズマネージャー