2022年5月2日7 分
最終更新: 2日前
コロナ禍でテレワークが定着してきた昨今、オフィスの意味があらためて見直されています。社員が集まって一緒に仕事をするだけでなく、社員の創造性を高めたり、企業としての一体感を醸成したりする場所として、オフィスが位置づけられる時代になりました。
そうした中で注目を集めるのが「アート」の存在です。絵画やオブジェなどのアートをオフィスに設置することで、働く人々の心理状況に良い影響があることがわかってきました。企業の社風やミッションに合ったアートをオフィスに設置したいというニーズも生まれています。
そんなニーズに応えるべく、2022 年 1 月からサービスを開始したのが、オーダーメイドアートサービス「Art Me!」です。企業の理念や想いをヒアリングした上で、国内外のアーティストに作品制作を依頼。
同サービスのウェブサイト制作には Wix が活用されており、サービスの概要やアーティストの紹介がシンプルにまとまっています。事業を始めるにあたって、なぜ Wix を選んでウェブサイトを立ち上げたのか。Art Me! を運営する株式会社 REM の代表取締役・和田 健佑さんにお話を伺いました。
ーーまずは、Art Me! 事業について教えてください。
Art Me!は、企業の理念や想いを表現することを目的としたオーダーメイドアートを提供しております。お客さまにヒアリングを行った上で、当社が契約しているアーティストに依頼し、作品をゼロから制作して納品しております。制作するアートの種類は絵画、水墨画、書道、オブジェ、モニュメントなど様々です。一般的な企業のオフィスはもちろん、病院やホテルからのご依頼もいただきます。
ーー事業を始めたきっかけや想いについて教えてください。
私は以前、銀行員としてドイツに滞在していたことがありました。その際、現地で多くのアーティストと知り合い、彼らがアートだけでは食べていけない現実を目の当たりにしたのです。2020 年に日本に帰国したのですが、その際に日本はドイツよりもさらに厳しい状況にあることに驚きました。アジア内で比較しても、韓国では国民 1人あたりの文化予算額が 5,597 円ですが、日本では 819 円という調査結果が出ています(出典:文化庁、2017 年)。アーティストが国内で継続的に活動していく上で、経済的な問題は避けて通れないのです。
ーーたしかに、日本で自宅に絵画や写真を飾っている人は少ない印象です。美術館でアートを鑑賞することはあっても、「アートを買う」市場は育っていないのかもしれません。
そこで私が、アーティストを支援したいという想いから立ち上げた事業が Art Me! です。実は日本国内でも、先進的な企業はオフィスにアートを導入することが増えています。アートをオフィスに設置することで、従業員の創造性が向上したり、ストレスが軽減できたり、会議等での意見発信の促進につながったりと、ビジネスに様々な好影響が出るということがわかってきたためです。
ーーアートを通じてビジネスを活性化していくというのは、新しい考え方ですね。そこで働く人たちにも、少なからず良い影響がありそうです。
社員だけではなく取引先の方も含め、オフィスには多くの人が出入りします。そこでアートに触れ、アートのある生活の良さを実感できれば、個人としてもアートを導入したいという気持ちになってくれるかもしれません。誰もが当たり前にアートを自宅に設置する理想の社会に向けて、まずはオフィスにアートが設置される社会を目指したいのです。
ーーArt Me! の Web サイトは Wix で制作いただいていますが、なぜ他のツールではなく、Wix を選んだのでしょうか。
Wix はドイツにいた頃から名前は知っていました。パワーポイントでプレゼンテーションを作るような感覚で、ノーコードで Web サイトが制作できる。しかも、時間もかからないし、見た目もプロフェッショナルな雰囲気に仕上がるところが気に入りました。
実は以前、個人的に WordPress を使っていたことがあったのですが、ちょっとデザイン面など融通が利かない印象があって今回は選択肢に入りませんでした。もちろん、プラグインやテーマでカスタムすればいいのでしょうけど、そのやり方を覚えるのにも時間がかかりますし、やはり Wix のように直感的かつ機敏にデザインを変更できる、その利便性には勝てなかったです。
ーー外部の Web 制作会社に依頼することは考えましたか。
その選択肢は考えていなかったです。理由は、スピードとコストを重視したかったからです。外部業者にお願いすると、どうしても多額の費用がかかりますし、開発期間も長くなります。当社には Web デザイナーが社内にいるので、彼にお願いしてデザイン面を仕上げてもらうことも不可能ではありませんが、やはり期間はかかります。
私は Art Me! については、そのような進め方でサイトを作る必要性を感じていませんでした。Art Me! というサービス自体が、これから試行を重ねないといけない段階です。そうであれば、まずはスピード感を持って Web サイトを構築できる点と、随時アップデートをしていくことができる点で、 Wix が最適な選択だと判断したのです。
ーーWix での Web サイト制作はどのように進めていかれたのでしょうか。
私自身が手を動かして、1 人で制作しました。2021年11月頃から始めて、構想期間を含めても 1 ヶ月もしないうちに立ち上げることができました。デザインや情報などは社内のメンバーに見せてフィードバックをもらったり、見知らぬ人にも見せて感想を聞いたりしていました。それこそ、カフェの店員さんとか、ときには隣に座っている方とか。社内メンバーだけではなく、完全に初見の方にも感想を聞きたかったのです。
ーーそのような検証の結果、トップページだけでも事業の概要がよくわかる Web サイトになったのですね。Wix の機能で活用しているものを教えていただけますか。
アーティストの作品を見せるために、Wix プロギャラリー機能を使っています。Web サイトではサービス内容やアーティストの情報をどれだけしっかり伝えられるかという点を重視していたので、この機能があってよかったです。
また、私はデザインについてはアマチュアなんですが、文字のフォントを統一し、行間にこだわって読みやすく整え、各要素のレイアウトにも自分なりに気を配りました。パワーポイントで、ものすごく小さい字で埋め尽くされているプレゼンテーションがあるじゃないですか。あれがすごく嫌いなんです(笑)。サイト訪問者に見やすいサイトを作るという点では、手を動かしながら直感的に仕上げられる Wix のエディタに助けられました。
ーー事業をスタートされたばかりですが、Wix で Web サイトを制作された効果をどのように感じていらっしゃいますか。
事業を立ち上げる際には Web サイトがあることで、どんなサービスなのか伝えやすくなり、信頼度が高まったと感じています。コールドメールを送るときでさえも、自分たちの Webサイトや独自ドメインを持っているかどうかという点で、反応に違いが出てくると思います。
ーー今後の展望について教えてください。
Wix のマルチリンガル機能を活用した海外展開に可能性を感じています。現在、英語と日本語に対応していますが、今後は中国語とロシア語にも対応したいと考えています。特に中国は香港を中心にアートの文化が成熟しつつあります。これから伸びていく市場として、期待できるのではないでしょうか。
ただし、海外の様々な地域で展開するにあたって、単に翻訳すればいいというわけではありません。各国の文化を尊重し、それぞれに合わせた最適な見せ方を模索する必要があります。
そのあたりは試行錯誤が何度も続くと思っています。ただ、いくら頻繁にアイデアが出てきたとしても、Web サイトの制作環境がそのスピード感についてきてくれないと意味がありません。その点でも、思いついたときにすぐにサイトに反映できて、自ら手を動かすことでフレキシブルな対応ができる Wix は、最適なソリューションだと感じています。
今後は Wix ブログの機能なども活用して、アーティストの想いを発信するなどといったアイデアも浮かんでいます。Wix を活用して、新たな試みにも取り組んでいきたいですね。
ーースピード感を持って、Wix 上でアイデアを次々と形にしていく。力強さとスピード感を持って事業を展開する和田さんが、なぜ Wix を選び、ご活用いただいているのかが、非常によくわかるお話でした。本日はありがとうございました。
取材者:櫻井 泰斗
マーケティングディレクター