9月16日16 分
最終更新: 14分前
検索からのオーガニックトラフィックを増やすためには、「フォーカストピック」を持つことが重要です。フォーカストピックを設定することで、サイト全体の専門性がはっきりし、目的のオーディエンスにアプローチすることができます。
トピックを絞り込み、オーディエンスにアプローチする方法のひとつとして有効なのが、Web サイトに適した SEO キーワードを選択することです。
これを一つのプラットフォームで実現するために、Wix は SEO ツールを提供している Semrush と提携し、Wix ユーザーが Web サイトの専門性を確立するために必要なデータの提供を開始しました。
この記事では、この新機能を最大限に活用するための手順を説明します。
目次
Wix × Semrush とは?
Wix アカウントと Semrush を接続する
Wix で Semrush 統合を開始する
Semrush キーワード分析の効果的な使用方法
SEO チェックリストでフォーカスキーワードを使用する
Semrush は、SEO 関連のデータを提供するリーディングカンパニーです。データを活用して、自社や競合他社の Web サイトをより深く分析することができます。
Wix は Semrush とパートナーシップを結ぶことにより、Semrush が提供するキーワード調査データを Wix ダッシュボード内の SEO チェックリスト(旧名称:SEO Wiz)で閲覧できるようになりました。
利用可能なデータの詳細については追って掘り下げていきますが、まずは Semrush 統合によってアクセスできるようになったデータについて簡単にご紹介します。
Wix サイトには、基本的な SEO 設定が標準で含まれています。その上で、 Semrush の統合機能を活用すれば、より詳細なデータを活用してサイトやページのトピックに関連するキーワードを最適化していくことができます。
キーワードを効果的に最適化することで、検索結果画面(SERP)でサイトが上位表示されるチャンスを増やせるほか、質の高いトラフィックを集めて最終的に収益アップにもつなげることができます。
データを活用して最適な主要キーワードを見つけたら、SEO チェックリストに沿って必要な対策を行いましょう。
たとえば、基本となるページ(例:トップページ、会社概要ページなど)のタイトルタグにキーワードを挿入し、最適化することが可能です。(このタスクは SEO チェックリストでのみ表示されます。設定が未完了の場合でも、Wix エディタやダッシュボードのその他の機能には影響しません。)
Semrush 統合と Wix の SEO チェックリストを組み合わせた作業の流れは以下の通りです。
Semrush 統合を利用してコアキーワードを絞り込む
データを分析し、サイトに最適なキーワードを特定します。
コアキーワードを選定する
ビジネス目標やターゲットに合致するキーワードを選びます。
SEO チェックリストに沿ってキーワードを追加する
チェックリストを参照しながら、選定したキーワードをページやコンテンツに組み込みます。
次に、具体的な使用方法について説明します。Wix サイトの所有者であれば、Semrush の無料機能をそのままエディタ上で利用できます。(※無料機能には、検索回数の制限あり。)
Wix の SEO チェックリストで Semrush 統合データを利用する場合、まずは Wix アカウントと Semrush を接続する必要があります。
Wix ダッシュボード(左側のナビゲーションパネルの「マーケティング・SEO」セクション)の「 Google に提出」から SEO チェックリストにアクセスします。チェックリストに沿って操作を進めていくと、コアキーワードを選択するための Semrush 統合機能を利用するオプションが表示されます。
すでにこのプロセスを開始している場合は、SEO チェックリスト内の「詳細を編集」ボタンをクリックすると現在選定しているキーワードを変更できます。
いずれの場合も、Semrush のデータにアクセスするために、Semrush と Wix を接続する画面が表示されます
接続が確立されると、Semrush のデータベースから該当するキーワードを検索することができるようになります。
以下の2つの注意点があります。念頭に入れておきましょう。
SEO チェックリストに追加できるキーワードは最大5つまでです。
Semrush の無料版を使用している場合は、24時間以内に10件のキーワード検索を実行できます。Semrush の有料版をお使いの場合は、契約中のサブスクリプションのレベルによってアクセスできる範囲が異なります。
では、Wix サイトを Semrush に接続できたら、実際にこのツールを活用する方法を解説します。以下では、実際の使用例をご紹介します。
まず、Semrush のデータは地理的な情報に準拠します。つまり、Semrush は特定の国に特化したキーワードのアイデアやデータにアクセスするということです。選択した国によって結果が大きく異なる場合があるため、この点はよく覚えておきましょう。
Semrush 統合でキーワード検索を行う前に、正しい国を選択しているかどうかを確認しましょう。
国を選択したら、SEO チェックリストでキーワード検索が可能です。(もちろん、キーワードデータはこれ以外の用途でも活用可能です)。
まず、あなたのサイトの主要な商品、サービス、またはトピックに密接に関連付けられているキーワードを検索しましょう。
たとえば、「シーリングファン」販売しているサイトの場合は、「シーリングファン」がそのまま検索クエリで使用される可能性が高いと仮説を立てます。そして、実際にキーワードを調べ、関連するキーワードなどを参考にしながら、検索数の多いフォーカスキーワードを発見しましょう。
ご覧の通り、Semrush からたくさんのデータが返ってきました。ここで得られたデータを簡単に見てみましょう。
検索ボリューム - 指定したキーワードが毎月 Google で検索される推定頻度を示します。
トレンド - 月間検索ボリュームの時系列的な変化を示します。
キーワード難易度 - Google 検索結果画面の競合状況を考慮し、そのキーワードで順位付けすることがどれだけ難しいかを推定する複合指標です。
検索意図 - ユーザーがそのキーワードを検索する理由に関連する意図を示します。検索意図には、インフォメーショナル(情報型)、ナビゲーショナル(案内型)、コマーシャル(商業型)、トランザクショナル(取引型)などのクエリが含まれます。
この例では、Semrush が提案した最初のキーワードオプションである「シーリングファン」は月に約11万回検索され、キーワード難易度は「高」、また季節により多少左右される傾向があることがわかります(トレンドの落ち込みは、時期によって検索回数が減ることを反映していると考えられます。確かに、寒い時期にファンについて調べる人は少ないでしょう)。
毎月安定して多くの人がこのキーワードを検索しているので、「シーリングファン」でサイトの上位表示を狙いたいですよね。しかし、このキーワードは競合が強く、上位表示することは非常に難しいと言えます。
実際に Google で「シーリングファン」を検索(サイトのコンテンツを計画する際には常に行っておきましょう)すると、Amazonなど、大手 EC サイトがこぞって検索結果画面に表示されます。
個人やスモールビジネスサイトが、競争の激しいキーワードで上位表示される可能性は極めて低いと言われています。どうしても狙いたい場合、不可能ではないですが非常に長い時間と戦略が必要になるでしょう。
Semrush のデータ統合を利用して適切なフォーカストピック / キーワードを選択するには一体どうすればよいのでしょうか?
コアキーワードを選択する際のポイントは、ユーザーの目線に立つことが必要です。ニッチで検索数が限られているキーワードを探しましょう。しかし、あまりにもマニアックすぎるキーワードでは全く検索されない可能性もあります。また、月に何千回も検索されるような、一般的なキーワードをターゲットにすることは、そもそも「フォーカス」キーワードではありません。
「シーリングファン」などのキーワードで上位表示されているサイトは、それぞれの業界で長い間事業を展開しており、その分野におけるリーダー的存在です。
もしあなたのサイトが大手 EC サイトと並ぶぐらいの存在であれば、「シーリングファン」のような一般的なキーワードをターゲットに設定することも可能です。ページのタイトルタグ、見出し、本文のコンテンツなどを最適化することができます。ただし、ページの「最適化」とは検索エンジンのためではなく、ユーザーファーストで有益なコンテンツを書くことを意味します。
しかし、ほとんどのサイトにとって、この種の「ビッグ」キーワードはおそらく手が届かないものです。ビッグキーワードを使用するなら、現在のサイトのドメインランキングが成長するにつれて再度検討すると良いでしょう。
引き続き、Semrush 統合を使用してデータをさらに深く掘り下げていきましょう。キーワード調査を基に、適切なフォーカストピックを見つけることができます。(繰り返しますが、キーワードではなく「トピック」という言葉を使用している理由は、単語そのものではなく、サイト全体としてどのトピックをターゲティングしているかが重要となるためです)。
今回の例では、このサイトがシーリングファンを販売している他のサイトと差別化できる特定のニッチ商品またはメリットを持っているかどうかを確認します。たとえば、デザイナーによるオシャレなシーリングファンや特定のタイプのシーリングファンにフォーカスしているサイトであると仮定し、「シーリング ファン おしゃれ」というキーワードで調査してみます。
この場合、検索ボリュームはシーリングファンの 49,500 には遠く及びませんが、検索ボリュームは 1,600 、キーワード難易度は「低」と、はるかに達成可能なキーワードだと言えます。
しかも、これはターゲットとなるユーザーに直接アプローチが可能な、よりターゲット性の高いキーワードです。
この「シーリングファン おしゃれ」というセグメントに焦点を当てたホームページを作成すれば、自社の商品自体に興味のないユーザーをふるい分け、質の高いリードを獲得できる可能性が高まります。
具体的には「シーリングファン」というキーワードで検索するユーザーのほとんどは、一般的な商品を探していると考えられます。しかし「シーリングファン おしゃれ」を探しているひとは、ユニークでオシャレなシーリングファンを探している可能性が高いでしょう。
しかし、どのような切り口でアピールすればよいのかはっきり分からない場合もあるでしょう。そんな時は、Semrush が提供するキーワード検索結果を下にスクロールして、あなたのビジネスと親和性が高い、関連性の高いフレーズがあるかどうかを確認すると良いでしょう。
たとえば、あなたのサイトで勾配のある天井に対応しているシーリングファンを販売していると仮定します。上位表示が簡単なキーワードではありませんが、「シーリングファン」単体に比べて「シーリングファン 勾配 天井」というキーワードでのランキング入りははるかに達成可能です。ビジネスの内容にも見合っており、Google で1か月あたり1,000 回という良好な検索ボリュームを記録しています。
それでも、Google で検索すると、同じ分野で勝負している競合他社のページが検索結果画面を席巻していることがあるかもしれません。
Amazon のような巨大小売業者とメーカー会社がランキングを独占しているため、このキーワードで勝負するのは難しいかもしれません。
では、どうすべきでしょう?こういう時は、さらにもっとキーワードを掘り下げていきます。
自社で販売するシーリングファンで何かユニークな点はありませんか?もしくは、特定の顧客層に向けた商品でしょうか?たとえば、業務でファンを使用する顧客を狙ったビジネスであれば、「業務用 おしゃれな シーリングファン」を試してみるのはどうでしょう。
たとえ、このキーワードで検索する人は月におよそ 500 人以下でも、このキーワードでの上位表示ははるかに達成可能であり、シーリングファンのネットショップが実際に扱っている商品とも近いキーワードです(つまり、このキーワードでランキング入りすると、他のすべての条件が同じであっても、サイトが単にアクセスを集めるだけではなく、販売を生み出す可能性がより高いということです)。
このことから、このキーワードでの上位表示は決して簡単ではないものの、実現可能であることがわかります。「業務用 屋外 シーリングファン」をターゲットにして、ホームページ、見出し、タイトルタグなどでそのトピックに関連するコンテンツを提供することは理にかなっており、SEO チェックリストにもこのキーワードを追加すると良いでしょう。
ここで、もうひとつ簡単なポイントをご紹介します。Semrush 統合は Wix の SEO チェックリストで使用するコアトピック / キーワードの選定に活用することができますが、もちろん用途はこれだけではありません。むしろ、Semrush 統合は、商品ページやブログ記事の執筆にも役立ちます。
たとえば、シーリングファンを検索すると、Semrush の分析では「60 インチ シーリングファン」といったキーワードも提案されました。
このような特定の製品をサイトのメインにすることはありませんが、毎月 390 人がこの製品を検索していること、この用語はトランザクショナル(取引型:検索者が購入意図を持っている)であること、そしてキーワード難易度が低いことから、このキーワードを商品詳細ページに追加するのも効果的だと考えられます。また、60 インチの屋外用シーリングファンについてのブログ記事を書くのも良いでしょう。
このセクションでお伝えしたいポイントは、Semrush のデータは Wix の SEOチェックリストを完成させるだけでなく、対象の商品についてのコンテンツのアイデアが欲しいときにも役立つということです。
次は、ネットショップではなく、情報コンテンツ(ブログなど)に焦点を当てて別の例を見てみましょう。今回は園芸についてのブログを取り上げます。
Semrush で「園芸」というキーワードを検索すると、このような結果が返ってきます。
この結果の検索ボリュームは非常に多く、難易度も高いか、園芸ブログとは無関係な(またはその両方の)提案が多く含まれています。
もう一度、検索する内容をよく考えてみましょう。園芸の歴史について語るブログですか?それとも、園芸のコツを発信しますか?
後者のブログを想定して、再度 Semrush で「園芸 コツ」を検索してみます。
さて、「園芸 コツ」というキーワードはほとんどの場合競争が厳しく、園芸に関するあらゆる種類のヒントを含むかなり広い用語であるため、このキーワードだけで上位表示は難しいでしょう。その代わり、たくさんあるコツのうちの1つに絞ってみることにします。
今回の例のブログは、園芸初心者向けのコンテンツに重点を置いていると仮定します。その場合、「初心者向け 園芸 コツ」(上図)は、今でも毎月の検索ボリュームは1,000だということがわかります。検索から多くのトラフィックを呼び込んでくれるほか、キーワード難易度も高くはないため、論理的にみてもよい開始地点ではないでしょうか。
繰り返しますが、ここで得られるトピックのヒントやキーワードは、SEO チェックリストを完了させるためだけに役立つのではありません。Semrush のデータから、あなたのサイトが他にどんなトピックを取り上げられるか深堀りしてみましょう。たとえば、「初心者向け 園芸 コツ」でフォーカスキーワードになったものを検索すると、ブログ記事で活躍してくれそうなアイディアがいくつも得られます。
サイトの主なトピックとは少し異なるにしても、「初心者 花 園芸 コツ」や「初心者 野菜 園芸 コツ」といったブログ記事をサイトに掲載すれば、初心者向けの園芸のコツというコアテーマの基盤をより固めることができるでしょう。
また、Semrush にまったく別のキーワードを入力し、他のコンテンツのアイディアを見つけることもできます。
下のスクリーンショットでは、「園芸 土」を検索したところ、「園芸用土と培養土の違い」という結果が返ってきました。ブログ記事で掘り下げてみたい面白そうなテーマだと思いませんか?
さらに繰り返しますが、Semrush 統合は SEO チェックリストに関連するページ以外でもフル活用することができます。ぜひうまく活用して、サイト内のコンテンツを充実させていきましょう。
また、この機能には Wix のダッシュボードから直接アクセスすることができます。
より詳細なデータが見たい場合は、Semrush の有料版ですべてのツールを利用できます。このときも Wix のダッシュボードで直接 Semrush アカウントのアップグレードが可能です。
最後に、Semrush 統合によって選定したフォーカスキーワードをどうするかについて、一通り復習しておきましょう。
ここでは、上記で決定した「業務用 屋外 シーリングファン」というキーワードを使用します。まず、この種類のファンのみを販売するサイトの場合は、ホームページのタイトルタグを次のように作成します。
業務用の屋外シーリングファン | (ビジネス名)
Wix エディタを開かなくても、SEO チェックリストから直接タイトルタグにキーワードを追加できます。
それと合わせて、このサイトが業務用屋外シーリングファンの販売に特化していることを伝えるコンテンツをトップページに掲載します。そのためには、サイトがその種類の商品を販売していることを説明する H1 または H2 見出しを追加し、比較的短い文章でサイトが提供しているものについてさらに説明します。
また、業務用の屋外シーリングファン以外の商品を提供しているサイトもあることでしょう。たとえば、業務用のファンを複数タイプ販売していると仮定します。その場合は「業務用屋外シーリングファン」に特化した専用のランディングページやコレクションページを用意するのも良いでしょう。これらの特設ページも同様にタイトルタグを記述し、見出しや本文の内容が商品に沿ったものになるよう最適化していく必要があります。
最後に、良いコンテンツとは、特定のフレーズを特定の場所に配置することではなく、ユーザーに焦点を当てたものであることを再度お伝えしておきたいと思います。ユーザーファーストを意識し、ターゲット層の意向に沿うしっかりとした構造のコンテンツを作ることに注力すれば、自然と SEO のベストプラクティスに沿ったコンテンツが出来上がるはずです。
SEO 対策で重要となるのは、ユーザーの体験を可能な限りシームレスにし、目的を達成するための質の高いコンテンツを作成することです。この定義を念頭に置いて優れたコンテンツを作成し、サイトのトラフィックとパフォーマンスを底上げしていきましょう。