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Wixが独自開発したAIモデルが大きな変化をもたらす理由

  • 6月30日
  • 読了時間: 7分
最高責任者(CEO)アビシャイ・アブラハミがWix独自開発のAIモデルについて解説するブログ記事のアイキャッチ画像。

数か月前、私は AI を活用したホームページ作成体験である Wix Harmony が、自社開発のモデルで稼働するようになったことをお伝えしました。そして2025年6月に Wix に加わった Base44 が本日、独自開発の LLM(大規模言語モデル)「Base 1」を発表し、世界で初めて自社 LLM を持つアプリ作成プラットフォーム(バイブコーディング)になったことを、誇りを持ってお伝えします。

これは、2 つの別々のチームがそれぞれ独立して同じ結論にたどり着いた、という話ではありません。Wix と Base44 が 1 つになったときに何が可能になるのか、という話です。


両チームはどちらも自社モデルを開発しました。そして、その理由は同じです。モデルを自社で所有すれば、品質もコストも改善のペースも、すべて自分たちでコントロールできます。もう受け身の立場ではなくなるのです。



Wix が自社AIモデルを開発した理由


私たちのモデルは、たった 1 つのことのために作られています。Wix Harmony のホームページを作成することです。そして、ホームページ作成に特化しているからこそ、その作業を極めて高いレベルでこなします。処理は速く、エラーは少なく、外部モデルを使っていたときと比べて、成果物の質は格段に向上しています。


最先端のモデルは、本当に目を見張るものがあります。それらが成し遂げてきたことは驚異的で、私たち自身も活用し、敬意を抱いています。ただ、こうしたモデルはあらゆる人のあらゆる用途に応えるために作られており、インターネット全体のデータで学習され、幅広さを重視して最適化されています。


私たちは、自分たちの専門領域を誰よりも深く理解しています。毎日実際にホームページを作成している数百万人もの人々から、豊富で具体的な、現実に根ざしたフィードバックを膨大に得ています。ユーザーがどのように行動し、何を作ろうとし、どこでつまずき、どうすれば成功できるのかを、私たちは把握しています。そして、想像しうるあらゆるホームページを作成してきた、20 年分の知見があります。


モデルを自社で所有していれば、そのフィードバックにすぐ対応できます。四半期ごとでも、大型リリースのサイクルに縛られるのでもなく、毎日です。改善のペースは、完全に私たちの手の中にあります。


そして、コストについても、外部モデルに支払っていた費用よりもはるかに低く抑えられています。これは、私たちのビジネスにとって構造的な変化です。



Base44、AI 活用プラットフォームから本格的な AI 企業へ


私たちが Base44 を買収したとき、手に入れたのは優れたプロダクトだけではありません。私たち自身の理念と重なるビジョンも手に入れたのです。


マオール・シュロモ ( Base44 創設者兼最高経営責任者)と Base44 チームは、目覚ましい成果を上げました。独自の LLM を発表した世界初のアプリ作成プラットフォームとなり、しかもそれを短期間で実現したのです。


このモデルは、プラットフォーム上での数千万件にのぼる実際のユーザーとのやり取りを使ってファインチューニングされました。これは、ほとんどの組織がアクセスできない、質が高く特定の領域に特化したデータです。その結果生まれたのが、複雑なマルチターンの対話、コーディング、ツールの利用、ランタイム管理、バックエンドの操作までこなせる、汎用的な AI エージェントです。これは、すでにユーザーに提供されている、実用レベルの高性能なモデルです。


マオール・シュロモはこう語っています。「自社モデルを持つということは、時間をかけて改善を続けられるということであり、外部ベンダーへの依存度を下げられるということです。これは決して簡単な取り組みではありません。深い専門知識、大規模なインフラ、そしてほとんどの組織が持ち得ない、豊富で多様なデータへのアクセスが必要です。


彼の言うとおりです。そして Wix と Base44 は、力を合わせることで、この 3 つすべてを備えています。


これが実現できたのは、Base44 が、業界をリードする Wix のデータサイエンスチームに頼ることができたからです。Wix Harmony のモデルを学習させたのと同じチームが、苦労して得てきた知見を新しい領域に応用しました。これこそが、この組み合わせの持つ力です。Base44 は、この能力をゼロから築き上げる必要はありませんでした。Wix に加わったその瞬間から、長年積み重ねられてきた深い専門知識、実績あるインフラ、そして堅牢な実験パイプラインを利用できたのです。


Wix には、長年にわたり協働してきた業界トップクラスのデータサイエンスチームがあります。このチームは AI、機械学習、モデル最適化の分野で幅広い研究を重ねており、このレベルの独自 AI モデルを構築し、学習させ、継続的に改善していくために必要な、専門性の深さを私たちにもたらしています。これが実現できたのは、Base44 がこのチームに頼ることができたからです。Wix Harmony のモデルを学習させたのと同じチームが、苦労して得てきた知見を新しい領域に応用しました。トップクラスの推論プロバイダーとの協業、そして堅牢な実験パイプラインによって、私たちは、これからも速いペースで進化し続けるものを生み出すための基盤を手にしています。



技術的革新のその先へ。この取り組みが重要な理由


自社モデルの開発は、簡単ではありません。才能、インフラ、データ、そして強い信念が必要です。多くの企業がこれに挑戦しないのは、外部ベンダーを使って「十分なレベル」に到達するほうが、はるかに近道だからです。しかし「十分なレベル」は、それ以上は越えられない上限でもあります。


必要となるリソースの規模の大きさに加えて、モデルの構築は、きわめて複雑な営みです。求められるのは、高等数学や統計学から、機械学習の研究、システムエンジニアリング、大規模分散コンピューティングに至るまで、きわめて専門性の高い幅広い分野にわたる習熟です。チームは、込み入ったアーキテクチャの意思決定をこなし、学習パイプラインを最適化し、数値的な不安定さに対処し、無数のハイパーパラメーターを調整しなければなりません。しかも、フィードバックの機会は限られ、結果も予測しづらいなかでの作業になります。必要とされる知識は、幅広いだけではありません。最先端で、絶えず進化し続け、しかも 1 か所にまとまって存在することはめったにありません。これは、身につけるのに何年もかかる専門性であり、真に競争力のあるものを生み出すために必要なレベルで人材を採用し、引き留め、まとめ上げることは、きわめて困難です。


モデルのスタックを自社で所有すれば、ロードマップも自分たちのものになります。何を最適化するかは、自分たちで決められます。自分たちのスピードで進められます。第三者が次のリリースで自社のユースケースを優先してくれるのを、待つ必要はありません。自分たちのデータを使い、自分たちのスケジュールで、ユーザーのために改善を進められます。そして、最初の成果はすでに、私にとって非常に心躍るものになっています。


ここには、見過ごせない財務的な側面もあります。計算処理と推論にかかるコストは、AI を中核とするあらゆるビジネスにおいて、最大級のコスト要因の 1 つです。モデルを自社で所有することは、こうしたコストを管理するための、直接的で強力なてことなります。手を抜くのではなく、より賢く、より効率的に開発することによってです。Base44 にとって、これは粗利益率の大幅な改善につながります。Wix 全体にとっては、AI の能力を持続的に拡大していく力を強化することになります。



これから目指すもの


私たちが成し遂げてきたこと、つまり Wix Harmony を支える独自モデル、そして本番環境で稼働する Base44 の独自 LLM を振り返るとき、私はそこに、2 つの技術的な節目以上のものを見ています。


私たちは、ただ AI を使うだけの企業ではありません。私たちは AI を自ら開発し、形づくり、所有しています。


私は以前、私たちは現代のプログラミング言語の誕生以来、企業のつくられ方においてかつてない規模の変化のただ中を生きている、とお話ししました。この時代に成長していくのは、AI を単なる出来合いの道具として消費する企業ではありません。 AI に集中し、注意深く開発し、自分たちが支える人々に対して妥協なく向き合い続ける企業です。


Wix では、まさにそうした企業を築いています。


Wix.com 共同創設者兼最高経営責任者 

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