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物撮りのコツは?売れる商品写真を撮る方法

更新日 2023年9月4日(公開日 2015年9月10日)

商品写真を撮影し、スマホで編集する

多くの場合、一枚の写真は言葉での説明に勝ります。優れた商品写真は収益に直結すると言っても過言ではありません。

米国の消費者調査では、なんと 83%にものぼる消費者が、購入を決める過程で商品写真が大きく影響すると回答しています。これは商品レビュー(75%)よりも上位に位置しています。


この記事では、物撮り、すなわち商品撮影を成功させるために欠かせないコツを紹介します。自分のブランドを最高に見せるネットショップ開業の基礎知識と併せて読んでみてください。



物撮りに必須のアイテム


何はともあれ、質の高い商品写真を撮るには適切な道具が必要です。とはいえ、最初から高価なデジタル一眼レフカメラが必要だというわけではありません。ごく一般的な機材でも大丈夫です。


  • スマートフォンまたはカメラ:最新のスマートフォンには優れた写真撮影機能が備わっています。高画質で細部まで撮影できるハードウェアだけでなく、画像を最適化できる機能も数多く搭載されています。最高の商品写真を撮影するには、マニュアル操作を含め自分のスマートフォンの機能をしっかりと把握しましょう。もちろん、商品の魅力を最大限に引き出せるよう、予算に合ったカメラやレンズに投資する手もあります。

  • 三脚:三脚を使えば、カメラを完全な水平に保つことができるほか、高さと角度も正確に設定できるため、すべての商品写真を同じように撮影できます。スマートフォン用の三脚であれば 1,500 円から 5,000 円程度で手頃なものを購入できます。カメラを三脚に設置し、タイマーやリモコン(もしあれば)を利用すれば、手ブレの心配もありません。

  • 照明:プロのように物撮りするには、光の調節もカギとなります。自然光が有効な場合もありますが、撮影中に変化してしまう可能性があるため、一貫性や細部の写し込みが必要な純粋な商品写真の撮影には必ずしも最適ではありません。プロ仕様の照明やフラッシュに投資することもできますが、手始めとしては普通の照明でも十分です。まぶしすぎたり影が強すぎる場合は、白い平らなシートや紙、白いゴミ袋などを利用したディフューザーで光を和らげましょう。お手製のディフューザーを使う場合は、照明の熱などで燃え出さないように十分に注意してください。ソフトな光を作る別の小道具として、レフ板を手作りまたは購入してもよいでしょう。

  • 背景:商品に集中させるべき視線を逸らす要素を取り除くため、クリーンで落ち着いた背景を用意します。適切に設定すれば、テーブルと壁との間の境界線に邪魔されることや、肉眼では気づかなかった背景の傷を誤って写し込むことを避けられます。大きなロール紙、背景シート、布などを使って背景を手作りすることもできます。背景となる材料の上部を専用のフレームや壁、椅子の背もたれ、撮影ボックスの後部などに取り付けます。

  • 撮影ボックス(オプション):商品の大きさによっては、撮影ボックスを使って照明効果を最大限に発揮できるようにします。撮影ボックスには、光を拡散させて影を減らすためのスクリーンが設置されています。小型撮影ボックスを安く手作りする方法は、インターネットでもたくさん見つけられます。カメラ用品店で購入することも可能です。

  • マネキン、スタンド、棚(オプション):いずれも、商品を固定して分かりやすく並べるための一般的な小道具です。必要に応じて両面テープや接着剤で商品を固定します。

  • 画像編集ソフト:Adobe Lightroom や Adobe Photoshop のようなプログラムは、商品画像をより鮮明にしてくれます。これらのソフトウェアでは、さまざまな画像効果やフィルター、グラフィック機能を使用できます。とはいえ、複雑な編集機能がすべて必要なわけではありません。高額な投資をする前に、 Wix エディタに搭載されている Photo Editor 機能など、無料の機能を活用してみてください。


Wix の AI 搭載画像編集機能


質の高い商品写真を撮る10のコツ


01. 基本を理解する


優れた商品撮影の方法を学んで必要な道具を揃えるのも大事な準備作業ですが、実際の撮影を始める前に、もう一つ重要なステップがあります。物撮りにあたっての基本的な戦略の理解です。

たとえば、撮影する商品写真の基準を設定しておけば、品質や一貫性を保つことができます。また、イメージをどう使うかについての構想を十分に練ることで、計画不足による二度手間や再撮影の必要を避けられます。特にモデルやプロダクション会社を雇う場合は、戦略的なニーズに基づいた撮影スケジュールの効率的な計画は、コストを抑えるために欠かせません。

以下のような項目について、考えをまとめておきましょう。


  • 自分のブランドを商品写真でどう表現しますか?商品写真を通じてブランドのアイデンティティを伝える方法は数多くあります。それぞれの写真でどのような感性に訴えかけるか、それを実現するにはどのような配色、背景、小道具が役立つかを考えましょう。

  • どの商品写真にも共通して備わっているべき要素は何でしょうか?販売する商品のカテゴリーや顧客層によって、最も重要となる写真のタイプが変わってくるでしょう。たとえば、ランニング愛好家に向けてランニングシューズを販売するのであれば、ランナーがこだわる靴底や、取り外し可能な中敷きのクローズアップ写真を撮影するべきかもしれません。各商品について一貫性を持たせたショットリスト(後述)を作成することで、買い物客の信頼を得られます。買い物客は、あなたの商品写真であればどの商品についても必要な情報が含まれていると分かるからです。

  • 商品写真の画像水準に関しては、どのような点に注意を払うべきでしょうか?一番の優先事項はクリエイティブな方法でブランドのアイデンティティーを表現することですが、同時に、掲載する場所や方法が変わるたびに新しく画像セットを作らずに済むよう、汎用性の高い商品写真にすることも必要です。各プラットフォームや EC モール(それぞれ独自の画像要件あり)、異なる媒体(印刷物やデジタル媒体など)によって、写真がどのように見えるか十分に検討しましょう。


02. ショットリストを作成する


これまでのヒントを念頭に、ショットリストを作成してみましょう。名前が示すとおり、ショットリストは撮りたい商品写真一枚一枚について、さまざまなアングルや配置、セッティングなどの詳細を記載したチェックリストです。


それぞれの写真に込められた意図を、具体的に伝えましょう。たとえば、陶製の手作りティーポットを撮影するのであれば、ポットの取っ手に表された職人技を見せる写真を含めます。また、商品写真のタイプについても考慮します。


スタジオショット 商品のメイン写真として最もよく使われる画像で、商品を正面から撮影しています。例として、 Sticky Lemon は無地の背景を使って商品がはっきりと見えるようにしています。

スタジオショットの例


シチュエーションカット

シチュエーションカットは実際の利用シーンを想定して商品を撮影したものです。商品そのものの詳細に焦点を当てるのではなく、実生活で商品を使っている場面を顧客が想像できるようにします。また、顧客が商品のサイズ、フィット感、使用方法を把握するためにも役立ちます。 Sticky Lemon は先ほどのスタジオカットとあわせて、カバンの使用感を伝えています。



シチュエーションカットの例


クローズアップ


マクロ撮影はレンズをかなり被写体に近づけたうえでピントを合わせ、商品を美しい詳細なクローズアップで撮影するテクニックで、複雑な形や要素を備えた品物を細かい部分まで引き立たせるのに適しています。下の写真は、 Lionheart の指輪にはめ込まれたダイヤモンドの鮮明なクローズアップです。


クローズアップの例


集合商品カット


複数のアイテムを相互補完的に見せるカットです。同じ商品のサイズ違いや、セット商品、コレクションに含まれる一連の商品を紹介する場面で用いられます。 COTA Skin は、魅力あふれる集合商品カットでスキンケアセットに対する消費者の関心を惹きつけています。


集合商品カットの例


デモンストレーションショット

シチュエーションカットに似ていますが、デモンストレーションショットは商品の使用方法を示したものです。これは、特に商品の正しい使い方を表す場合に用いられます。たとえば、Ultasmile はホワイトニングストリップの使い方をステップごとに写真付きで説明しています。


デモンストレーションショットの例


03. ライティングをマスターする


どんなに豪華な機材を使っても、ライティング(照明)が悪ければ良い商品写真を撮ることはできません。撮影場所は時間をかけて慎重に選びましょう。窓の多い部屋や、ライティングを調節しやすい作業スペースなどが考えられます。


ライティングの主な種類は次の 2 つです。

  • ソフトライティング:被写体をあらゆる角度から照らして後光のような繊細な効果を生み出します。この方法では商品の隅々に光が届き、細部や輪郭がぼやけてしまうような強い陰影ができません。これは、立体物を撮影する場合に特に重要です。

  • ハードライティング:光と影のコントラストが強くなります。影の輪郭がよりくっきりと出て、光と影の差が明瞭になります。この方法は写真を劇的に見せる効果があり、動きのある商品写真などで効果を発揮します。


商品の撮影や物撮りでは、柔らかいライティングがより一般的に使用されています。前述のように、柔らかいライティングは手作りのディフューザー、レフ板、または撮影ボックスで作り出すことができます。

自然光を使う場合は、商品を窓際に置くと柔らかいライティングになります。室内の人工照明をすべて消し、影や色合いが競合しないようにしましょう。


04. アングルを工夫する


物撮りにおいては、アングルによって買い物客がその商品をどのように見るかが大きく変わってきます。また、買い物客が現物を見られないという状況を補うため、さまざまな角度から商品を見せるとより効果的です。

高級中古鞍を扱う Double Oak Tack は、正面、側面、背面、俯瞰、全体、クローズアップなどあらゆる角度から鞍を見られるよう配慮した写真を掲載しています。



05. 背景を賢く使う


商品の見た目を損なわず、むしろ引き立てるような背景を選びたいのは言うまでもありません。無難な方法は、まっさらな白い背景で商品写真を撮ることです。ただし、商品によっては暗い色の背景のほうが引き立つ場合や、ブランドイメージが際立つことがあります。


遊び心のあるブランドの場合は、明るい色を多用するのもよいでしょう。レトロな魅力を求めるのであれば、白黒やセピア色を選ぶことも考えられます。

背景の色によって喚起される感情が変わる可能性があるため、ターゲットとする買い物客の心理を考慮する必要があります。背景に適切な色を使えば商品を高価に見せる効果が生じますが、選択を誤ると商品が貧弱に見えてしまうかもしれません。




あるいは、よりダイナミックな背景を使うことで輝きを増す写真もあります。たとえば Bimber 蒸留所は、商品であるウイスキーをオーク樽の前に並べて紹介しています。写真全体に温かみが生まれる一方で、背景が暗くぼやけているため商品に視線を引きつけられます。



06. 構図を工夫する

構図とは、視覚的な要素を互いに引き立て合うような配置やアレンジにすることです。複数の商品を合わせて撮影する際は、可能な限り違った並べ方を試して最適な配置を決めましょう。あれこれ試すうち、商品を別々に撮影したほうがいいと気づくこともありますし、その逆の場合もあります。


商品に高級感を出し、ブランドの価値さえ高められるテクニックとして、小道具や装飾的な小物を使うことも検討してみましょう。観葉植物は食品関連の写真に活気を与え、商品を新鮮に見せてくれます。また、持続可能な方法で作った石けんを販売しているのであれば、木製のソープディッシュに石けんを乗せて背景に植物を添えることで、ブランドと自然との調和を演出できます。

小さい商品や商品自体がシンプルな場合は、小道具を使って印象を作りましょう。たとえば、ピアスであればピアススタンドに掛け、本であれば後ろに箱を置くなどして商品を自立させ、目立たせることができます。こうした小道具は、できるだけ商品撮影に影響を与えないように工夫することも考えられますが、逆手に取って、商品をより際立たせるために利用することもできます。




07. 説明文を付ける

商品撮影が終わったら、次はオンラインストアにアップロードする番です。


興味をそそる商品説明は、写真そのものと同じくらい大切です。当たり前に思えるかもしれませんが、商品の寸法、素材、重さの説明を加えることで、買い物客の購入プロセスに大きな違いをもたらします。また、きちんと説明することで、返品や苦情を減らす効果も期待できます。


文章は短く、要点を押さえます。商品を紹介するページに、商品とはあまり関係のない不要な情報を詰め込まないようにします。アイデアが欲しい場合は、自分の店と似た雰囲気を持つ大手企業のページを見つけ、どのように商品を紹介しているか参考にしましょう。

すべての商品写真に代替テキスト( alt テキスト)を添えるのを忘れないでください。 Google は代替テキストを添付して、それが何の写真かを理解します。代替テキストは、 2~3 語からなる商品説明にします。ショップのサイトが検索エンジンの上位に表示されるよう、代替テキストには SEO を考慮した最適なキーワードを含めましょう。


08. ファイルサイズに注意する


商品ページの読み込み速度は、Eコマースの SEO 対策においてユーザーエクスペリエンスと並んで極めて重要です。読み込み時間がかかってしまう主な原因の一つはファイルサイズの大きさです。

そこで、サイトに写真をアップロードする前に画像サイズを変更しましょう。写真を掲載するサイトの画像の最大幅は 800 px なのに、すべての画像がその 2 倍のサイズになってしまっていることもあり得ます。

そのような場合は、画面幅(開発者用語で「画像コンテナ」サイズ)に合わせて画像を縮小する必要があります。画像のサイズを見るには、調べたいサイトの商品画像を右クリックします。「検証」をクリックすると、「Styles」パネルに寸法が表示されます。


編集ソフトを使って画像のサイズを変更します。 Wix が提供する画像エディタツールを使えば、ホームページ上での画像サイズの変更も簡単です。ほかにも、ブラウザ上で使える、画像サイズ変更ツールなどをつかい、事前に画像サイズを変更しておくこともおすすめです。

画像を圧縮すれば、ファイルサイズをさらに小さくできます。 TinyJPG のような無料ツールでも、ファイルサイズを縮小できます。


09. ユーザー生成コンテンツを活用する


顧客は、購入するブランドによって自己表現したいと望んでいます。すなわち、今後は多様なサイト訪問者を反映するモデルが選ばれるということです。

そこで、ソーシャルメディアだけではなく、ホームページでもユーザー生成コンテンツ(UGC)の取り入れを検討してみましょう。さまざまな生活の場面を借りて商品を紹介できるだけでなく、あなたが顧客満足を重視していることを表現できます。

モチベーションがさらに高まる事実をお伝えします。調査に参加した消費者の 77%が、 UGC を使って購入を決めていると答えています。また、 UGC はブランド自体が提供するコンテンツの 6.6 倍の影響力があるという報告もあります。


下の TripleRComposites の例では、顧客のインスタグラム投稿を取り上げて、自動車に実際に取り付けられたスタイリングパーツを見せるとともに、投稿が掲載された顧客に無料プロモーションを提供しています。




10. 視覚的な技術を活用する


商品写真は買い物客が理解しやすく、インターネットの容量をあまり必要としない利点があります。一方で、視覚に訴える新しいツールの登場に伴い、販売戦略においても柔軟に対応してこれを補完していく必要があります。


たとえば、動画であれば、オンラインショッピングの体験に音や動きを取り入れられます。使用法の実演からライブストリーミングによるお買い物イベントまで、動画は見込み客のコンバージョン率を上げ、好みが異なる買い物客たちにもアピールできます。

物撮りを行う際は、動画と写真を両方撮影し、複数のチャネルで使い回しができる素材を用意しましょう。


AR(拡張現実)のような新しい技術の利用も検討してみましょう。 Visitor Analytics によれば、 74%の人がカスタマーエクスペリエンスだけで購入を決定しています。 AR を使用したショッピング体験で、コンバージョン率が 94%も高くなるという報告もあります。

Wix Eコマースのようなプラットフォームは 360 度画像もサポートしており、上記のようなトレンドを活用するのに大変便利です。業界を組み換えつつあるソーシャルコマースなど、Eコマース業界のトレンド情報についてもぜひ見てみてください。



商品写真の加工におすすめのAIツール


EC業界では、ネットショップなどのビジネスの運営効率を飛躍的に向上させる AI ツールが次々と開発されています。このようなツールを商品写真の作成に使えば、イメージどおりの写真があっという間にできあがります。以下では、画像生成 AI 機能が利用できるウェブサイトをいくつか紹介します。




Stable diffusion を搭載し、背景コンセプトを入力するとイメージに合った写真を生成してくれます。将来的にはブランドイメージ統一機能や CVR 分析などの機能も加わる見込みです。無料お試し、スターター(980 円/月)、ベーシック(4,980 円/月)、プロ(19,800 円/月)の各プランがあります。


背景を自動生成するFotographer.ai



AI によるシーンの生成、背景の消去、写真の一部消去、色の変更、画像アップスケールなどの基本機能が無料で利用できます。 Android や iOS 向けのアプリもダウンロード可能です。プロ向けの有料プログラムもあります(9.99 ドル/月、59.99 ドル/年)。現在は英語のみの案内となっています。


AIが商品写真編集をアシストするPIXELCUT



AI 生成による画像や動画が作成でき、動画にはアニメーション画像も取り込めます。100 以上のテンプレートの色彩を自動で統一することも可能です。無料プラン、プロプラン(29 ドル/月、144 ドル/年)、ビジネスプラン(149 ドル/月、1,188 ドル/年)があります。現在は英語のみの案内となっています。


動画も生成可能な商品写真AI、CreatorKit



写真をアップして生成したいテーマを入力すると、17 パターンの写真を作成してくれます。毎月 40 枚の画像が無料生成でき、各インターフェースに対応するよう画像の大きさや形も変更できます。基本プラン(19 ドル/月、179 ドル/年)とプロプラン(39 ドル/月、379 ドル/年)があります。現在は日本語での案内はありません。


無料で使える商品写真AIツール Pebblely


まとめ

E コマースで使われる商品写真は、消費者の購買行動に大きな影響を与えます。だからといって、多額の出費をする必要はありません。


慎重に戦略を立て、必要な機材を揃えるだけでも、本格的な商品写真の撮影が可能になります。商品写真の質を上げることで、買い物客が思わず「欲しい」と感じる魅力的な、ブランディングができるようになります。商品の形やサイズだけでなく、ブランドアイデンティティが伝わる、本格的な商品写真を撮影を目指していきましょう。


編集者:Miyuki Shimose SEO & ブログ コンテンツマーケター

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